成田国際空港と東京ガスが新会社を設立、成田空港に世界最大規模の太陽光発電設備を導入

■成田国際空港の脱炭素化に貢献するエネルギー供給会社

 成田国際空港株式会社(NAA)と東京瓦斯<9531>(東証プライム)は2月20日、成田国際空港にエネルギー供給を行う「株式会社Green Energy Frontier」を設立(両社が50%を出資)し、2023年4月1日から事業を開始すると発表。

 Green Energy Frontierは、2023年4月1日にNAAからエネルギー供給設備の移管※1を受け、成田国際空港へエネルギー(電気・熱)の供給を開始し、空港に供給するエネルギーの2050年脱炭素化に挑戦する。新たなエネルギープラントの建設や空港では世界最大規模※2となる180MW※3の太陽光発電設備の導入等、2050年までに1000億円規模を投資予定。

・会社名=株式会社Green Energy Frontier
・所在地=千葉県成田市
・事業開始日=2023年4月1日
・資本金=18億2750万円
・出資比率=成田国際空港株式会社(NAA):50%、東京ガス:50%
・代表者=未定(3月に開催する株主総会で決定)
・事業内容=(1)電気・熱の安定供給を担うエネルギー供給事業、(2)空港の脱炭素化事業

 日本の空の玄関口である成田国際空港は、世界的な航空需要の増大や、アジア近隣諸国からの旅行者増大、さらに、国際的な空港間競争に対応するため、大規模な機能強化に取り組んでおり、2050年に空港施設で使用するエネルギーや業務用車両から排出するCO2を実質ゼロにすることを掲げている。

 Green Energy Frontierは、NAAが保有している特高受電設備や熱源設備等、エネルギー供給設備を引き継ぎ、東京ガスグループがこれまで培ってきた大規模エネルギープラントの建設・運営ノウハウや大規模太陽光発電、e-methane※4等の脱炭素に関する技術を活用することで、エネルギー供給事業と空港の脱炭素化事業に取り組んでいく。

■成田国際空港の脱炭素化に向けて

 Green Energy Frontierは空港に供給するエネルギーの2050年脱炭素化に挑戦。脱炭素への移行期間においては、既存プラントのマネジメントの高度化や新プラントの建設によるエネルギー効率の向上等、着実な低炭素化に取り組んでいく。その後は、大規模太陽光発電設備の導入や水素やカーボンリサイクル等次世代の脱炭素技術の導入を行う計画で、2050年までに1000億円規模の投資を行う。環境性とレジリエンスを両立した「空港の脱炭素モデル」を成田国際空港で世界に先駆けて構築し、その技術・ノウハウを応用して空港周辺の都市開発や工業団地へ展開することも視野に取り組みを進めていく。

■具体的な取り組み

(1)既存プラントを最新鋭のエネルギープラントに更新
経年した中央受配電所、中央冷暖房所を新たなエネルギープラントに段階的に更新
(完成予定:新中央受配電所2027年度上期、新中央冷暖房所2034年度上期)
最新鋭のエネルギーマネジメントシステムの導入や保安のDX化等先進技術の導入により、徹底的な低炭素、レジリエンス強化を実現

(2)空港では世界最大規模となる180MWの太陽光発電設備の導入
成田国際空港の滑走路近傍や建物の上等に約200haの太陽光設置ポテンシャル
2030年度末に75MW、2045年度末までに105MWと段階的に計180MWの設置を計画
地産地消のエネルギーにより、一般家庭約7万世帯分※5の電力を脱炭素化

※1:NAAからGreen Energy Frontierへの供給事業にかかる財産譲渡について国土交通大臣に対し認可申請中
※2:NAA・東京ガス調べ
※3:発電パネル容量
※4:グリーン水素等の非化石エネルギー源を原料として製造された合成メタンに対して用いる呼称。既存の都市ガスインフラや消費機器が活用でき、スムーズなカーボンニュートラル化への移行と追加的な社会コスト抑制の両立が可能。
※5:試算条件
  太陽光発電設備利用率:16.8%(出典:経済産業省資料)
  一般家庭の電気使用量:3,708kWh/世帯・年(出典:環境省HP)
(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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