双日はレアアース(重希土)の日本向け供給確保、豪州ライナス社への追加出資

 双日<2768>(東証プライム)と独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は3月7日、2011年に共同で設立した日豪レアアース株式会社(JARE)を通じ、Lynas Rare Earths Limited(本社:豪州・パース、ライナス社)への総額2億豪ドル相当の追加出資を決定したと発表。

 同出資による資金は、ライナス社が掲げる中期成長計画の実行に充当され、軽希土類の増産や重希土類の分離開始などが計画に含まれている。双日とJOGMECは、同出資に伴い、ライナス社が生産するマウント・ウェルド鉱山由来の重希土類であるジスプロシウムおよびテルビウムの最大65%を日本向けに供給する契約をライナス社と締結した。同件は日本企業が参画する鉱山からの重希土類一貫生産プロジェクトにおける初の日本向け供給契約となる。

■日本市場へのレアアース安定供給に貢献

 レアアースは軽希土類と重希土類に大別され、電気自動車や風力発電のモーター用磁石を中心に、さまざまな産業で使用される。

 ライナス社は豪州のマウント・ウェルド鉱山でレアアース鉱石を採掘しており、現在日本へ供給される軽希土類は、モーター用磁石の主原料として使用されている。脱炭素化の実現に向け、磁石は今後も需要の拡大が見込まれており、軽希土類の長期に渡る安定供給のため、ライナス社は生産能力の拡大を行う。

 更に、ライナス社は、磁石に耐熱性を付与する重希土類であるジスプロシウムおよびテルビウムの生産を開始する。現在、これらを生産しているのは中国のみだが、同出資により中国以外のサプライソースが加わることで、日本へのジスプロシウムおよびテルビウムの安定供給に寄与する。

 双日は、2011年にライナス社が生産するレアアース製品の日本市場における独占販売契約を締結しており、磁石を含めたさまざまな用途の需要家にレアアースを安定供給している。同出資によって、軽希土類に加え、重希土類を日本市場向けに供給することが可能となり、日本需要家への安定供給をさらに目指していく。

 JOGMECは、双日からの資金支援要請を受け、本出資が日本へのレアアース資源の安定供給に寄与すると判断し、今回の出資採択を決定した。

 双日とJOGMECは、同出資を通じて、ライナス社が掲げている中期成長計画の早期かつ確実な実現を支援することにより、ライナス社との協力関係の維持・強化と日本市場へのレアアース安定供給に貢献していく。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る