【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アールシーコアは受注底打ちと4%台の高配当利回りを評価、戻り歩調に変化なし

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 アールシーコア<7837>(JQS)はログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売を展開している。第1四半期(4月~6月)は増収営業増益となり受注底打ち感を強めている。株価は7月の年初来高値から一旦反落したが緩やかな戻り歩調に変化はなく、受注底打ちや4%台の高配当利回りを評価して続伸展開だろう。

■ログハウスのオリジナルブランド「BESS」を販売

 自然材をふんだんに使った個性的な木の家であるログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売(国内直販部門、連結子会社のBP社、および国内販社)を展開し、東京・代官山「BESSスクエア」と神奈川県「BESS藤沢展示場」の直営展示場2拠点も運営している。

 中期経営計画では、目標数値(事業環境変化を勘案して契約棟数を1900棟から1600棟に修正)として、17年3月期の売上高180億円、営業利益率8%、ROE18%を掲げている。

 重点戦略として「BESS」ブランドの深耕、強みであるログハウスを主軸に据えたマーケティング・商品戦略、商品の納期短縮・コスト削減・価格競争力向上、営業拠点と営業員の拡充、営業スキル向上と営業力強化に向けたBESS営業(ホームナビゲーター)資格制度導入、展示場50拠点展開などを推進している。

 15年3月期は営業拠点として香川県高松市、千葉県柏市、新潟県新潟市、静岡県吉田町の4拠点を新設して、15年3月期末の契約販社数は27社、営業拠点数は全国43拠点(直営2拠点、BP社2拠点、販社39拠点)となった。さらに埼玉県、京都府、長野県にも新拠点開設を予定している。中期経営計画目標の50拠点に向けて着実にネットワーク拡大が進展しているようだ。

 ログハウス強化では14年11月に新世代ログハウスとして新商品「G-LOG」を発売した。またΩ戦略室で法人向け等の事業開発に着手した。

 なおカントリーログハウスのキット部材を製造販売するカナダの連結子会社BFM社の株式をカナダAAA社に譲渡する件(14年11月発表、1月に譲渡価格と譲渡日程の変更を発表、2月に譲渡日程の変更を発表)については、カナダAAA社において本件に係る資金調達に支障をきたしているため、3月に譲渡を一旦中止すると発表した。ただしファブレス化の選択で経営資源をマーケティングや商品開発に集中させる方針に変更はなく、今後は他の譲渡候補先も視野に入れてカナダAAA社との交渉も継続するとしている。

■16年3月期は戦略的投資で減益予想だが、受注は回復基調

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)28億11百万円、第2四半期(7月~9月)32億75百万円、第3四半期(10月~12月)29億16百万円、第4四半期(1月~3月)29億39百万円で、営業利益は第1四半期1億14百万円、第2四半2億23百万円、第3四半期1億95百万円、第4四半期1億45百万円だった。

 また15年3月期の配当性向は43.6%だった。ROEは14年3月期比5.2ポイント低下して10.2%、自己資本比率は同2.8ポイント上昇して42.7%だった。

 7月31日に発表した今期(16年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比1.7%増の28億59百万円、営業利益が同13.1%増の1億29百万円、経常利益が同3.1%減の1億09百万円、純利益が同10.5%増の78百万円だった。

 BESS藤沢展示場の売上増加、販社部門の好調な期中受注によるブランドロイヤリティ収入の増加などで増収、営業増益だった。今期予定している営業力強化のための本格的な費用投下を実施していない段階だが、営業利益は第1四半期としての過去最高を更新した。

 契約(受注)高は同45.3%増の22億17百万円だった。第1四半期としては消費税率引き上げ前の駆け込み需要があった一昨年の過去最高額22億41百万円に迫る大幅改善だった。セグメント別には直販部門が同24.7%増の5億43百万円、BP社が同78.4%増の3億14百万円、販社部門が同53.3%増の13億43百万円だった。

 集客面の動向を見ると、全国BESS展示場への新規来場者数は8200件で同1.3%減少したが、強化ポイントとしている再来場者数は6000件で同10.5%増加した。

 最重要課題として取り組んでいる営業員の質・量の拡充については、BESS事業全体の営業員数(成約稼働ベース=トレーニング実施済み)が142名となり、15年3月期末比2名増加した。

 通期の連結業績予想は前回予想(5月14日公表)を据え置いて、売上高が前期比11.4%増の133億円、営業利益が同33.6%減の4億50百万円、経常利益が同36.9%減の4億30百万円、純利益が同38.4%減の2億60百万円としている。利益面では中期成長に向けた諸施策への費用投下を積極的に行うため減益見込みだが、受注環境の改善や受注回復施策の効果で増収見込みとしている。

 契約(受注)高の推移を四半期別に見ると、15年3月期第1四半期は15億25百万円(前年同期比31.9%減)、第2四半期は30億47百万円(同26.2%減)、第3四半期は24億42百万円(同38.6%増)、第4四半期は34億75百万円(同2.0%減)、そして16年3月期第1四半期は22億17百万円(同45.3%増)となる。受注は底打ち感を強めている。

 16年3月期の契約(受注)高は15年3月期比24.9%増の131億円(契約棟数は同293棟増加の1200棟)の計画としている。消費増税の影響一巡や雇用・所得環境の改善で受注は底打ちした可能性が高く、収益も底打ちが期待される。

 配当予想は同3円増配の年間45円(第2四半期末22円、期末23円)で予想配当性向は76.3%となる。なお利益配分についての基本方針は、DOE(純資産配当率)を重視した長期的視点での安定的配当を実施するとしている。15年3月期のDOEは4.5%で、16年3月期のDOEは4.7%となる見込みだ。

■株価は戻り歩調に変化なし、受注底打ちと4%台の高配当利回りを評価

 株主優待については3月に優待内容の改訂を発表した。毎年3月末・9月末時点で100株以上保有株主に対して、保有株数に応じて「BESS指定工事請負契約にかかる優待割引」「フェザント山中湖タイムシェア・別荘オーナー制度・メンバー制度の優待割引」「フェザント山中湖宿泊利用割引・サービス利用割引」「BESSオリジナル外部用防腐スプレー販売割引」などの優待券を贈呈する。15年3月末から適用した。

 株価の動きを見ると、7月23日の年初来高値から一旦反落したが、7月9日の直近安値1020円まで下押すことなく切り返す動きだ。14年10月の838円をボトムとする緩やかな戻り歩調に変化はないようだ。

 8月12日の終値1065円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS58円98銭で算出)は18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間45円で算出)は4.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS964円78銭で算出)は1.1倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線がサポートラインとなって水準を切り上げている。受注底打ちや4%台の高配当利回りを評価して続伸展開だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■更新前のスーパーコンピュータの約4倍の計算能力  富士通<6702>(東証プライム)は2月21日…
  2. ■両社の資源を有効活用しSDGsに貢献  伊藤忠商事<8001>(東証プライム)グループのファミリ…
  3. ■純正ミラーと一体化し、左後方の視界を広げる  カーメイト<7297>(東証スタンダード)は、純正…
2024年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■投資と貯蓄の狭間で・・・  岸田内閣の「資産所得倍増プラン」は、「貯蓄から投資へ」の流れを目指し…
  2. ■「ノルム(社会規範)」解凍の序章か?植田新総裁の金融政策正常化  日本銀行の黒田東彦前総裁が、手…
  3. ■「日経半導体株指数」スタート  3月25日から「日経半導体株指数」の集計・公表がスタートする。東…
  4. ■投資家注目の適正株価発見ツール  日銀の価格発見機能が不全になる可能性がある中、自己株式取得が新…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る