DICと出光興産はバイオマスポリスチレンの製造に向けた検討開始に合意、プラスチック原料のバイオマス化を加速

ビジネス ビル 企業

■CO2排出量削減に向け新たなサプライチェーンを構築

 DIC<4631>(東証プライム)と出光興産<5019>(東証プライム)は3月9日、新たなバイオマスプラスチックのサプライチェーンを構築し、バイオマスポリスチレン(バイオマスPS)の製造に向けた検討開始に合意したと発表。この合意は、CO2排出量削減に向け新たなサプライチェーンを構築し、プラスチック原料のバイオマス化を加速することを目的としている。

 気候変動は世界的な課題であり、資源循環やカーボンニュートラル実現に向けた取り組みが加速している。両社はこの課題を経営課題と認識し、環境負荷の低いバイオマスPSの製造に向けた検討を開始することとした。

 バイオマスナフサは再生可能資源から製造されることから、石油由来のナフサと比べてCO2排出量を抑制することが可能である。出光興産が製造するバイオマスナフサ由来のスチレンモノマー(※1)(以下「バイオマスSM」)は、「ISCC PLUS認証」(※2)を取得しており、同認証に基づくマスバランス方式(※3)を採用した製品を供給する。DICは2023年後半までに「ISCC PLUS認証」を取得予定であり、バイオマスSMを原料としたポリスチレン(※4)を製造する予定である。

 両社は今回新たに構築するサプライチェーンを通して、プラスチック産業のCO2排出量の削減目標に貢献する基本方針に合意している。同連携により、今後も顧客やサプライヤーとの連携を強化し、サプライチェーン全体でカーボンニュートラルと循環型社会の実現を目指していく。

※1 スチレンモノマー:芳香族炭化水素の一種であり、ベンゼンの水素原子の一つがビニル基に置換した構造を持つものである。天然物質として自然界に存在し、一般的には原油やナフサなどから得られたエチレンとベンゼンを化学反応させて製造される。ポリスチレンやABS(アクリルニトリルブタジエンストレレングルセル)の原料である。
※2 ISCC(International Sustainability and Carbon Certification)認証:持続可能性およびカーボンフットプリントの削減を目的とした国際的な認証制度である。ISCC PLUSは、食品以外の分野(化学品、プラスチック、テキスタイル等)に適用される。
※3 マスバランス方式:再生可能資源由来の原料と化石資源由来の原料を混合して使用する場合に、再生可能資源由来の原料が製品中にどれだけ含まれているかを計算上で管理する方法である。
※4 ポリスチレン:スチレンモノマーから重合反応させて作られる熱可塑性樹脂であり、透明性や耐衝撃性に優れている。食品容器や電気製品など幅広い用途に使われている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る