【どう見るこの相場】横一線の「バフェット勝手連」では鉄、バイク、ロボットに照準を絞り「兜町の賢人」を期待

 つくづく日本は、「黒船」と「神風」の国である。国難は常に外圧であり、国難が極まると神風が吹いて事なきを得る。株式市場も、例外ではない。今回の金融システム不安や米国景気のリセンション入り懸念のネガティブ・マインドを解き放なってくれた「神風」は、米国の著名投資家、「オマハの賢人」と称えられるウォーレン・バフェット氏である。同氏が、日本株への追加投資に意欲を示したと伝えられた途端に株価は急騰、日経平均株価は前週末に一時、2万8500円台に乗せ、同氏の追加取得が明らかになった総合商社株には、上場来高値を更新した銘柄も出た。

 こうなると当然、次に問題になるのは「神風」の風向きと強さになる。バフェット氏が、総合商社5社に続くターゲット銘柄に何をチョイスしどの程度の買い物を入れるかである。すでにマーケットやメディア大手では、日々この相場テーマが持ち切りであり、追加投資銘柄を自分流に勝手読みする「バフェット勝手連」の下馬評で持ち切りとなっている。

 これが「当たらずとも遠からず」となるのか、「群盲象を撫でる」に終わるのかは、「神風」のみが知るところとなるが、バフェット氏の日本株の選び方は、総合商社5社のまとめ買いに明らかなように独自性があり、一般投資家にはややサプライズがあった。総合商社は、いまでは資源関連株として一括りにされた感があるが、取り扱う商品が「ラーメンからミサイル」までと形容されたように広範であり、グループ会社に資金提供する商社金融や業界再編劇には必ず顔を出すオルガナイザー機能などは、通常の業績分析からは捉え難い。それをバフェット氏は、自社の投資会社と類似点があるとして5%超を取得、それを今回7.4%まで買い増し、先行き9.9%まで保有比率を高めることを示唆した。

 だから「総合商社の先に総合商社はなく、総合商社のあとに総合商社なし」となるかもしれない。しかし独自のビジネスモデルを展開し、株価が割安水準に置かれ、増配や自己株式取得などの株主還元策に積極対応しているのは総合商社のみに限らない。とういことなら、ここは個人投資家も、横一線の「バフェット勝手連」のスタートラインに立ち、自分流にバフェット関連株を絞り込み試してみる価値はある。仮にこの銘柄選びが的を射ることになれば、もちろんあとからバフェット氏の大援軍の「神風」が期待できることになり、「兜町の賢人」と称えられる可能性さえある。

 銘柄選びの条件は、オールドエコノミー系で分かりやすい業態に加え、割安株(バリュー株)であること、増配や自己株式取得など株主還元策に積極的な銘柄が中心で、世界的なプレゼンスがあれば申し分がないはずである。そこで今週の当特集の「勝手連」では、こうした条件をクリアしそうな鉄鋼株、オートバイ株、産業ロボット株をバフェット氏に推薦することにした。「賢人」と称えられるか、「ただの投資家」に終わるかトライしたい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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