【アナリスト水田雅展の銘柄分析】トシン・グループは下値固め完了して切り返し、低PBRや継続的な自己株式取得を見直し

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 トシン・グループ<2761>(JQS)は電設資材などの卸売事業を展開している。8月17日に新たな自己株式取得の実施を発表した。これを好感して株価は年初来安値圏2400円近辺から切り返しの動きを強めている。下値固めが完了したようだ。16年5月期は増益予想であり、0.7倍近辺の低PBRや継続的な自己株式取得という株主還元姿勢を見直して反発展開だろう。

■首都圏中心に電設資材や住宅設備機器の卸売事業を展開

 首都圏を中心として、電設資材や住宅設備機器などの卸売事業を展開する持株会社である。小口多数販売や、専門部署による得意先営業活動支援サービスなどを特徴としている。

 取扱商品や営業拠点網の拡充などで事業基盤強化を推進している。15年1月には小山営業所、15年6月には佐野営業所を開設した。

■16年5月期は増益予想

 15年5月20日期の四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(5月21日~8月20日)110億05百万円、第2四半期(8月21日~11月20日)115億38百万円、第3四半期(11月21日~2月20日)106億94百万円、第4四半期(2月21日~5月20日)120億34百万円で、営業利益は第1四半期4億81百万円、第2四半期6億円、第3四半期5億55百万円、第4四半期5億88百万円だった。

 また15年5月20日期の配当性向は25.2%だった。ROEは14年5月20日期比0.7ポイント低下して5.8%、自己資本比率は同2.3ポイント低下して79.6%となった。

 今期(16年5月20日期)の連結業績予想(7月3日公表)は売上高が前期比0.1%増の453億円、営業利益が同3.9%増の23億10百万円、経常利益が同2.7%増の32億20百万円、そして純利益が同2.0%増の18億80百万円としている。配当予想は前期と同額の年間52円(第2四半期末26円、期末26円)で予想配当性向は24.6%となる。

 17年4月の消費税の追加増税を控えていることに加えて、長期化する円安に伴う原材料価格の上昇など厳しい事業環境が続くとして、微増収微増益の会社予想だ。

 ただし14年4月の消費増税の影響一巡、営業拠点網拡充や新規得意先開拓の効果、小口多数販売の強化、得意先営業活動支援サービスの体制・機能強化など、グループ総合力を活かした付加価値サービス拡充の効果での増収増益基調が期待される。

■株価は下値固め完了して切り返し

 14年8月11日発表の自己株式取得(取得株式総数の上限60万株、取得価額総額の上限18億円、取得期間14年8月18日~15年7月31日)については、15年7月31日時点の累計取得株式総数9万6000株、取得価額総額2億6270万1600円となって終了した。

 そして8月17日には新たな自己株式取得の実施を発表した。取得株式総数の上限50万株、取得価額総額の上限15億円、取得期間15年8月18日~16年7月31日としている。

 株価の動きを見ると調整局面が続き、地合い悪化も影響して8月13日の年初来安値2403円まで調整したが、17日発表の自己株式取得を好感して切り返しの動きを強めている。下値固めが完了したようだ。

 8月21日の終値2514円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS211円53銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間52円で算出)は2.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3671円89銭で算出)は0.7倍近辺である。

 週足チャートで見ると戻りを押さえていた13週移動平均線突破の動きを強めている。16年5月期は増益予想であり、0.7倍近辺の低PBRや継続的な自己株式取得という株主還元姿勢を見直して反発展開だろう。

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