セイコーエプソン、東北大学発スタートアップの高機能な導電性繊維を開発・製造する『エーアイシルク』へ出資

 セイコーエプソン<6724>(東証プライム)とエプソンクロスインベストメント(セイコーエプソンの100%子会社)は5月15日、両社の出資するEP-GB投資事業有限責任組合を通じて、高機能な導電性繊維「LEAD SKIN」を開発・製造する東北大学発スタートアップのエーアイシルクに対して、出資したと発表。

 これまで、生体センシングやEMS※などの用途で車載部品用や各種ウエアラブル機器用素材として使われている導電性繊維は、導電抵抗の影響によるセンシング精度や、肌触り・変質(サビ)といった快適性・安全性、製造コストや耐久性などに課題があった。

 エーアイシルクが開発・製造する高機能な導電性繊維「LEAD SKIN」は、こうした課題を解決し、シルクやポリエステル、不織布、スエードなど、さまざまな素材の導電化に成功した。これは、東北大学で発明された技術をもとに、独自の導電性高分子塗布技術を取り入れて製造方法を大幅に改良したことにより実現したもの。この技術によって、導電抵抗の低減によるセンシング精度の向上や、肌触り・着心地といった快適性・耐久性の向上、製造コストの低減化も実現している。

 エーアイシルクでは、今回の第三者割当増資を通じて、「LEAD SKIN」の量産拡大を図るとともに、海外展開を進め、国内外で需要が高まっている車載部品用素材やEMS製品など各種ウエアラブル機器用素材として販売するとともに、メディカル領域への拡販も視野に入れている。

 エプソンは、多様なライフスタイルを選択でき、心と身体の健康に基づく彩のある暮らしの実現を目指している。さまざまな生活シーンで生体情報を取得、新たな価値に転換していくためのインターフェイス技術として「LEAD SKIN」を評価し、今回の投資を実行した。

 今後もエプソンは、独自のテクノロジーや商品・サービスを基盤にさまざまなパートナーとシナジーを創り出し、持続可能な社会の実現に向け貢献していく。

■エプソンクロスインベストメントについて

 エプソンクロスインベストメントは、情報関連機器、精密機器メーカーであるセイコーエプソンが100%出資するCVC(Corporate Venture Capital)。CVC運営に強みを持つ独立系ベンチャーキャピタルであるグローバル・ブレインをゼネラルパートナーとしたファンド(EP-GB投資事業有限責任組合)を組成して、投資活動を行っている。

■エーアイシルクについて

 東北大学におけるシルクを用いた導電性繊維のシード技術をもとに、2015年6月、会社設立。その後、シルクのみならず、ポリエステル、綿、不織布、スエード等のさまざまなベース繊維素材に対して、染色技法を用いて導電性高分子をコーティングする量産技術を確立した。ベース繊維の素材感を損なわず、滑らかで肌触りの良い導電性繊維を電極として組み込んだ肌着等で生体情報を測定することや、導電性繊維を応用したウェアラブルセンサー、タッチセンサーなどを製作している。ポリエステルをベース繊維とした導電性繊維は、電気刺激トレーニングウェアの素材として採用され、日本国内多数の消費者に利用されている。

【会社概要】

・会社名:エーアイシルク株式会社
・設立:2015年6月1日
・事業内容:(1)エーアイシルク(電極)の製造・販売、(2)エーアイシルク(電極)の応用関連商品の製造・販売
・本社:宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-40 T-Biz
・代表者:代表取締役CEO 岡野秀生
・資本金:9,900万円(2023年4月1日現在)
・従業員:21名(2023年4月1日現在、派遣社員を含む)

※EMS(Electrical Muscle Stimulation):微量の電気によって筋肉を刺激して動かし、筋力トレーニングのような効果が期待できる機器
※「LEAD SKIN」は、エーアイシルク株式会社の商標または登録商標。
※「AI SILK」は、エーアイシルク株式会社の登録商標。
(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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