【アナリスト水田雅展の銘柄分析】シンプロメンテは下値固め完了して出直り

銘柄分析

 飲食店などに店舗設備・機器メンテナンスサービスを提供するシンプロメンテ<6086>(東マ)の株価は、10月下旬の直近安値圏1000円割れ水準から反発して11月上旬に1100円台を回復する場面があった。その後は1000円~1050円近辺でモミ合う展開だが、3月の上場来安値940円まで下押す動きは見られない。下値固めが完了して出直り展開だろう。

 大手飲食・小売チェーンを主要顧客として、店舗における内外装および各種設備・機器(厨房機器、給排水・衛生設備、空調・給排気・ダクト設備、電機設備、照明機器、ガス設備、看板、自動ドア・ガラス・鍵・シャッターなど)の不具合を解決するメンテナンスサービスを提供している。

 事業区分としては、ワンストップメンテナンスサービスとメンテナンスアウトソーシングサービスを展開している。ワンストップメンテナンスサービスでは、各種設備・機器の突発的なトラブル発生時に対応する緊急メンテナンスサービスを主力として、各種設備・機器の点検・整備・洗浄・清掃を定期的に行う予防メンテナンスサービスも提供している。メンテナンスアウトソーシングサービスは、当社のメンテナンス体制を厨房機器メーカーにOEM的に提供することで、メーカーのメンテナンス業務のサポートを行っている。

 全国の店舗から24時間365日、修理・メンテナンスの依頼を受け付け、依頼の種類・地域・内容などに応じて全国の協力業者(メンテキーパー)から適切な業者を選定・手配し、店舗の設備・機器等の不具合を解決するサービスが特徴だ。前期(14年2月期)末時点の顧客店舗数は前々期比8.4%増の2万8507店舗、メンテキーパー数は同5.1%増の4831社となった。

 今期(15年2月期)の業績(非連結)見通しについては、前回予想(4月11日公表)を据え置いて売上高が前期比14.3%増の42億円、営業利益が同19.1%増の2億20百万円、経常利益が同23.3%増の2億20百万円、純利益が同20.3%増の1億24百万円、配当予想が前期から記念配当5円を落として年間10円(期末一括)としている。

 第2四半期累計(3月~8月)は外注・材料費など原価の高騰、長期的な受注増加を見据えた人員確保に伴う販管費の増加などで前年同期比32.5%営業減益、同32.5%経常減益、同30.8%最終減益だった。しかし緊急メンテナンスサービスでの新規顧客開拓、既存顧客との取引量拡大、夏場のエアコン機器メンテナンス依頼件数の増加などで同18.1%増収と大幅増収だった。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が53.5%、営業利益が32.3%、経常利益が32.3%、純利益が33.9%である。利益進捗率が低水準だが、売上高の進捗率は順調だ。売上面では緊急メンテナンスサービスでのサービスエリア拡大、新規顧客開拓、既存顧客との取引量拡大などで飲食店向けを中心に依頼件数が順調に増加する。増収効果で人件費増加などを吸収し、下期の利益挽回が期待される。

 中期成長に向けた重点戦略として新規顧客開拓によるシェア拡大を目指している。ワンストップメンテナンスサービスでは外食業界以外の小売、理美容、教育、医療・介護、宿泊・娯楽などの業界にも新規顧客開拓を推進する。メンテナンスアウトソーシングサービスでは、サービスをOEM的に提供する企業の増加を目指すとともに、個人経営店舗向けの提供も視野に入れてシェア拡大を図る方針だ。

 外食業界や小売業界などでは、店舗の老朽化や人手不足の深刻化、店舗の衛生環境改善や従業員の労働環境改善に対する意識の高まりも背景として、メンテナンス業務のアウトソーシング化が一段と進展することが予想される。新規サービス開発なども寄与して中期的に収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、10月下旬の直近安値圏1000円割れ水準から反発して11月上旬に1100円台を回復する場面があった。その後は1000円~1050円近辺でモミ合う展開だが、3月の上場来安値940円まで下押す動きは見られず下値固め完了感を強めている。

 12月12日の終値1050円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想EPS71円87銭で算出)は14~15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.0%近辺、前期実績PBR(前期実績BPS454円80銭で算出)は2.3倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形となったが、1000円近辺が下値支持線のようだ。下値固めが完了して出直り展開だろう。

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