【アナリスト水田雅展の銘柄分析】星光PMCは調整一巡して反発のタイミング、今期収益改善期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 製紙用薬品の星光PMC<4963>(東1)の株価は、全般地合い悪化も影響して1000円~1200円近辺のモミ合いから下放れの形となり、8月安値938円を割り込んで10月17日には864円まで調整した。ただしその後は900円台に戻して下げ渋り感を強めている。調整のほぼ最終局面であり、来期(15年12月期)の収益改善期待で反発のタイミングだろう。

 DIC<4631>の子会社で製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業を展開している。高付加価値・差別化商品の市場投入・拡販、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)、導電性ナノ材料(銀ナノワイヤ)、光学弾性樹脂(OCA)など成長市場・新分野開拓の戦略を推進している。さらに事業領域拡大に向けて14年4月、興人フィルム&ケミカルズの化成品事業を承継したKJケミカルズを子会社化した。

 次世代素材CNFは自動車用樹脂の強度・寸法安定性向上や金属部材からの置き換え、家電・モバイル機器の軽量化などでの需要が期待され、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のCNF開発プロジェクトの中核企業として早期事業化を目指している。13年2月には経済産業省イノベーション拠点立地推進事業に採択され、補助金を活用して竜ヶ崎工場にパイロットプラントを設置した。また14年6月にはナノセルロースの研究開発、事業化、標準化を促進するため、産官学連携型のコンソーシアム「ナノセルロースフォーラム」が設立され、当社を含めて100社以上が参画している。

 今期(14年12月期)の連結業績見通し(7月31日に減額修正)は売上高が242億70百万円、営業利益が4億円、経常利益が4億40百万円、純利益が60百万円の赤字としている。決算期変更で9カ月決算だった前期との単純比較はできないが、前年同期間(13年1月~12月)との比較で見ると12.9%増収、56.7%営業減益、65.7%経常減益で、純利益は9億16百万円悪化となる。配当予想については前回予想(2月12日公表)を据え置いて前期(年間9円)と実質的に同額の年間12円(第2四半期末6円、期末6円)としている。

 製紙用薬品の販売数量増加やKJケミカルズの新規連結などで増収見通しであり、KJケミカルズ子会社化に伴う負ののれん発生益3億70百万円も寄与するが、ロジンなど原材料価格上昇と製品価格への転嫁遅れ、プロダクトミックスの悪化、新規開発経費の負担増、中国事業の収益悪化などで営業減益となり、営業外での為替差損益の悪化、中国事業に係る固定資産減損損失計上も影響して最終赤字の見通しだ。

 ただし第3四半期(7月~9月)以降は、原材料価格上昇に対応した製品価格是正、中国事業の収益改善策の効果発現などが寄与する。四半期ベースで見ると今期第2四半期(4月~6月)をボトムとして収益改善基調となり、来期(15年12月期)はプロダクトミックス改善、KJケミカルズの減価償却費減少、中国事業の収益改善本格化、営業外損益や特別損益の改善も寄与して好業績が期待される。

 中期経営目標としては18年12月期売上高350億円(既存事業245億円、海外事業70億円、新規事業35億円)、営業利益35億円、売上高営業利益率10%を掲げている。

 株価の動きを見ると、全般地合い悪化も影響して1000円~1200円近辺のモミ合いから下放れの形となり、8月の安値938円を割り込んで10月17日には864円まで調整した。ただしその後は900円台に戻して下げ渋り感を強めている。調整のほぼ最終局面だろう。

 10月29日の終値917円を指標面で見ると、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は1.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS663円98銭で算出)は1.4倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、調整のほぼ最終局面であり、来期の収益改善期待で反発のタイミングだろう。

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