【アナリスト水田雅展の銘柄分析】パイプドビッツは今期大幅増収増益見通しを評価してボックス上放れ

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 情報資産プラットフォーム事業のパイプドビッツ<3831>(東1)の株価は、衆院解散・総選挙観測を材料視して11月12日の1926円まで急伸した。その後は一旦反落したが10月直近安値1370円まで調整することなく1600円~1700円近辺で推移している。大勢として概ね1400円~1800円近辺でのボックス展開だが、今期(15年2月期)大幅増収増益見通しを評価してボックス上放れが期待される。

 国内最大規模の情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業(データ管理などクラウドサービス提供)、広告事業(アフィリエイトASP一括管理サービス「スパイラルアフィリエイト」など)、ソリューション事業(ネット広告制作、アパレル・ファッションに特化したECサイト構築・運営受託、子会社ペーパーレススタジオジャパンのBIMコンサルティング事業など)を展開している。

 情報資産プラットフォーム事業では「スパイラル」、アパレル特化型ECプラットフォーム「スパイラルEC」、会計クラウド「ネットde会計」「ネットde青色申告」、クラウド型グループウェア×CMS×SNS連携プラットフォーム「スパイラルプレース」に加えて、薬剤・医療材料共同購入プラットフォーム「JoyPla」、美容関連のヘアカルテ共有サービス「美歴」、地域密着型SNS「I LOVE 下北沢」、政治・選挙プラットフォーム「政治山」、BIM建築情報プラットフォーム「ArchiSymphony」などを展開し、14年3月にアズベイスを子会社化してコールセンタープラットフォームサービス「BizBase」にも事業領域を広げている。

 14年3月発表の「中期経営計画2017」では、15年2月期から17年2月期を「次世代ITベンダーへと革新する3ヵ年」と位置付けて、目標数値に17年2月期売上高92億円、営業利益28億円を掲げている。

 また14年9月には純粋持株会社制への移行検討開始を発表している。経営効率の向上、組織再編の柔軟性・機動性確保、グループ全体の最適化とガバナンス機能の強化を目的として、15年5月下旬開催予定の定時株主総会での承認等が得られることを条件として、15年9月1日を目途に純粋持株会社制へ移行する方針だ。

 なお12月8日には、情報資産プラットフォーム「スパイラル」が12月6日付で、一般財団法人マルチメディア振興センターが審査する「IaaS・PaaSの安全・信頼性に係る情報開示認定制度」の認定を更新したと発表している。

 今期(15年2月期)の連結業績見通しは前回予想(3月31日公表)を据え置いて売上高が前期比27.1%増の32億円、営業利益が同23.9%増の7億円、経常利益が同23.7%増の7億円、純利益が同22.6%増の4億20百万円、配当予想が同3円増配の年間16円(第2四半期末7円、期末9円)としている。

 主力の情報資産プラットフォーム事業で「スパイラル」新バージョンの投入も寄与して有効アカウント数が順調に増加し、全体収益を牽引する。広告事業では「スパイラルアフィリエイト」を中心に販売活動を強化し、ソリューション事業ではビッグデータ関連の大型案件獲得を目指すとしている。

 第2四半期累計(3月~8月)は前年同期比25.6%増収、同37.7%営業増益、同35.8%経常増益、同29.5%最終増益だった。売上高、利益とも期初計画を上回り、第2四半期累計として過去最高の営業利益を達成した。情報資産プラットフォームの機能強化の効果などで有効アカウント数が堅調に推移し、人件費や支払手数料の増加などを吸収した。第2四半期末の有効アカウント数(全事業合計)は1万0898件で前期末比802件増加している。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.3%、営業利益が43.6%、経常利益が42.4%、純利益が41.39%である。ストック型の収益構造であることを考慮すれば概ね順調な水準だろう。情報資産プラットフォーム事業が牽引して中期的に収益拡大が期待される。

 株価の動き(11月11日付で貸借銘柄)を見ると、10月16日の直近安値1370円から切り返し、衆院解散・総選挙観測を材料視して11月12日の1926円まで急伸した。その後は利益確定売りで一旦反落したが、10月安値水準まで調整することなく1600円~1700円近辺で推移している。

 12月15日の終値1662円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS53円86銭で算出)は31倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は1.0%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS271円44銭で算出)は6.1倍近辺である。

 週足チャートで見ると、大勢として概ね1400円~1800円近辺でのボックス展開だが、13週移動平均線と26週移動平均線を突破して下値切り上げの動きを強めている。今期大幅増収増益見通しを評価してボックス上放れが期待される。

>>パイプドビッツのMedia-IR企業情報

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  2. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…
  3. ■節約志向が市場を動かす?  日本の消費者は、節約志向と低価格志向を持続しており、これが市場に影響…
  4. ■投資家の心理を揺さぶる相場の波  日米の高速エレベーター相場は、日替わりで上り下りと忙しい。とく…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る