【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ソフトクリエイトHDの自社株式取得を評価、EC関連やサイバーセキュリティ関連も注目

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東1)は、ECサイト構築パッケージソフトを主力としてソリューション事業を展開している。株価は8月の年初来安値から反発して下値を切り上げている。悪地合いの影響は一時的・限定的のようだ。16年3月期増収増益予想や自己株式取得を評価し、EC(電子商取引)関連やサイバーセキュリティ関連のテーマ性にも注目して続伸展開だろう。

■ECサイト構築ソフトで首位

 ECソリューション事業(ECサイト構築パッケージソフト「ecbeing」の販売・保守から、ECサイト構築・運用支援、データセンターでのホスティングサービス提供、ECプロモーション提供までの総合サービス)を主力として、SI事業(自社グループ開発ソフトの販売、基幹系システムの受託開発)、物品販売事業(法人向けIT機器販売など)も展開している。

 顧客のEC事業立ち上げ時の戦略コンサルティングから、ECサイト構築パッケージソフト「ecbeing」の販売・カスタマイズ・保守、ECサイト構築・運用支援、さらにリスティング広告・SEO対策などのプロモーションサービスまで、総合的なサービスを提供していることが強みだ。

 ECサイト構築実績は中堅・大手優良企業向けを中心に、国内断トツ首位の800社以上に達している。そしてECサイト構築実績の積み上げに伴う運用支援・保守などストック型収益が拡大基調である。

■中期成長戦略でeビジネス総合デベロッパー目指す

 中期成長戦略としては、単なるECシステム提供企業からeビジネス総合デベロッパーへの発展を目指して、インターネット広告や運用支援などデジタルマーケティング市場にも積極展開してビジネス領域を拡大している。

 アライアンス戦略では13年5月に日本ユニシス<8056>と資本・業務提携、13年9月に東芝テック<6588>と業務提携した。

 15年5月には子会社ソフトクリエイトが、サイボウズ<4776>の「CYBOZU AWARD 2015」において「セールスアドバイザ・オブ・ザ・イヤー」を受賞したと発表した。本アワードは年間を通じてサイボウズ製品の提案・営業活動で際立った実績を残したSA認定者に贈られる。

 15年7月には子会社ソフトクリエイトが、Windows Serverのディレクトリ・サービス「Active Directory」をクラウドスタイルで提供する「SCCore Directory」のサービスを開始した。

 15年8月には子会社ソフトクリエイトが、社内ネットワークへの不正接続を検知・遮断するセキュリティシステム「L2Blocker」に、エンドポイントのセキュリティ対策「Endpoint Monitor Option」を有償オプションとして販売開始した。

■16年3月期増収増益予想

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)27億22百万円、第2四半期(7月~9月)30億89百万円、第3四半期(10月~12月)28億17百万円、第4四半期(1月~3月)33億11百万円、営業利益は第1四半期2億81百万円、第2四半期3億86百万円、第3四半期3億51百万円、第4四半期4億48百万円だった。第2四半期と第4四半期の構成比が高い収益構造だ。

 また15年3月期の配当性向は28.7%だった。ROEは14年3月期比1.2ポイント上昇して15.4%、自己資本比率は同2.6ポイント上昇して15.4%だった。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月8日公表)は、売上高が前期比1.0%増の120億60百万円、営業利益が同1.3%増の14億85百万円、経常利益が同1.0%増の15億40百万円、そして純利益が同2.0%増の9億60百万円としている。配当予想は前期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)で予想配当性向は28.1%となる。

 ECソリューション事業では、中堅・大手優良企業のECサイト構築需要の増加に伴って、ECサイト構築パッケージソフト「ecbeing」の販売・カスタマイズ・保守が好調に推移する。ECサイト累計構築数は増加基調のためストック型収益も拡大基調だ。ネット広告需要の増加でデジタルマーケティングビジネスの拡大も期待される。

 システムインテグレーション事業では、企業のセキュリティ対策意欲の高まりやクラウドサービス需要の拡大が追い風となり、不正接続PC検知・排除システム「L2Blocker」が好調のようだ。物品販売事業ではウインドウズXPサポート終了に伴う入れ替え需要の反動影響が一巡する。

 費用面では、製品機能充実のための費用の増加、知名度向上のための広告宣伝費の増加、新卒社員の積極採用に伴う人件費の増加はあるが、増収増益基調だろう。

 第1四半期(4月~6月)は、売上高が前年同期比2.9%増の28億円、営業利益が同4.8%増の2億94百万円、経常利益が同13.1%増の3億42百万円、純利益が同39.5%増の2億78百万円だった。

 ECサイト構築パッケージソフト「ecbeing」を活用したECソリューション事業が順調に伸長し、企業のセキュリティ意識の高まりを背景にセキュリティビジネスや当社独自サービスである「SCクラウド」も寄与して増収増益だった。

 セグメント別に見ると、ECソリューション事業は売上高が同5.2%増の13億10百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が同23.7%増の3億03百万円、システムインテグレーション事業は売上高が同9.0%増の6億13百万円で、営業利益が同1.2%増の1億99百万円、物品販売事業は売上高が同4.1%減の8億76百万円で、営業利益が同59.6%減の6百万円だった。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が23.2%、営業利益が19.8%、経常利益が22.2%、純利益が29.0%である。やや低水準の形だが、第2四半期と第4四半期の構成比が高い収益構造のため特にネガティブ要因とはならない。通期ベースでも増収増益基調に変化はないだろう。

 またEC関連市場は拡大基調であり、国内断トツ首位のECサイト構築実績を武器として、中期的にも収益拡大基調が期待される。

■株価は悪地合いの影響限定的、自己株式取得も好感

 株主優待制度は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は保有株数に応じてオリジナルQUOカードを贈呈(3000株以上保有株主に対してQUOカード3000円分など、詳細は会社ホームページを参照)し、2年超の継続保有株主に対しては長期保有優待制度も実施している。

 9月16日に自己株式取得を発表した。取得株式総数の上限30万株(自己株式を除く発行済株式総数に対する割合2.22%)、取得価額総額の上限3億円、取得期間15年9月17日~15年12月16日としている。

 株価の動きを見ると、悪地合いが影響した8月25日の年初来安値818円から素早く反発し、急落前の900円台に戻して下値を切り上げている。9月16日発表の自社株式取得も好感して、悪地合いの影響は一時的・限定的のようだ。

 9月24日の終値942円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS71円15銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS486円45銭で算出)は1.9倍近辺である。なお時価総額は約130億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線を回復した。16年3月期増収増益予想や自己株式取得を評価し、EC(電子商取引)関連やサイバーセキュリティ関連のテーマ性にも注目して続伸展開だろう。

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