【アナリスト水田雅展の銘柄分析】メディアスホールディングスは16年6月期収益改善基調、3%台の配当利回りなど割安感

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 メディアスホールディングス<3154>(JQS)は医療機器販売事業を展開している。株価はやや反発力の鈍い展開だが調整は概ね一巡したようだ。16年6月期収益改善基調を評価して反発展開が期待される。1桁台の低PER、3%台の高配当利回り、1倍割れ水準の低PBRという指標面の割安感も注目点だ。

■医療機器・医療材料の販売が主力、M&Aで営業エリアと規模の拡大を推進

 医療機器・医療材料の販売事業を主力として、介護・福祉機器の販売・レンタル事業も展開している。静岡県・神奈川県を地盤とする協和医科器械、およびオズの首都圏・愛知県エリアへの営業強化策に加えて、M&Aを積極活用して営業エリアと規模の拡大戦略を推進している。

 10年7月に栗原医療器械店(群馬県太田市)、12年7月にネットワーク(東京都新宿区)、13年7月に秋田医科器械店(秋田県秋田市)、14年7月にジオット(福島県郡山市)を完全子会社化した。14年10月には福井県内でトップシェアを誇る福井医療(福井県福井市)と資本業務提携した。

 14年10月には子会社ケアフォースを設立した。医療・介護用移乗機器および電動ベッドなどの輸入・販売事業を展開する。また海外展開は、インドにおける鴻池運輸<9025>との医療データベース合弁会社CARNA MEDICAL DATABASEで、医療物流プラットフォームの構築を推進している。

■手術室運営支援ソフトウェアなど複合的サービスを強化

 商品戦略では医療機関への医療機器・医療材料の販売に加えて、手術室運営支援ソフトウェア、医療材料データベース、プライベートブランド商品などの販売も促進し、複合的サービスを強化している。

 手術室運営支援ソフトウェア「サージレーン」は、効率の良い病院手術室運営を提案して機器・備品売上の拡大に繋げる戦略商品である。14年6月期末時点の導入施設数は大病院を中心に8施設で、16年6月期には新たに3施設の導入を予定しているようだ。

 医療材料データベース・医療材料分析サービス「メッカル」は、医療材料価格の最適化を支援するツールで、14年6月期末時点で84施設に導入している。

■16年6月期は大幅増益予想で収益改善基調

 15年6月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(7月~9月)339億31百万円、第2四半期(10月~12月)384億20百万円、第3四半期(1月~3月)390億48百万円、第4四半期(4月~6月)347億69百万円、営業利益は第1四半期1億03百万円の赤字、第2四半期3億70百万円、第3四半期5億52百万円、第4四半期1億42百万円の赤字だった。

 医療機関の設備投資予算執行が集中する年度末(1月~3月)にあたる第3四半期の構成比が高い収益構造だが、15年1月~3月は前年同期の消費増税前駆け込み需要の反動影響を受けた。なお全体の製品別売上構成比は備品が約4分の1、消耗品が約4分の3だった。またROEは14年6月期比8.6ポイント低下して5.5%、自己資本比率は同1.4ポイント上昇して18.3%となった。配当性向は58.0%だった。

 今期(16年6月期)の連結業績予想(8月11日公表)は、売上高が前期比7.9%増の1577億円、営業利益が同62.4%増の11億円、経常利益が同49.9%増の15億50百万円、そして純利益が同2.1倍の9億円としている。配当予想は前期と同額の年間80円(期末一括)で予想配当性向は28.8%となる。

 備品については、医療機関の設備投資意欲の大幅な回復は見込めないが、提案中の案件を含めた一定の備品需要を着実に獲得するとしている。一方で利益率の高い消耗品の売上が増加基調であり、SPD(病院医療材料管理業務)契約増加も寄与する。

 コスト面ではのれん償却の終了やシステム投資の一巡も寄与する。首都圏営業強化策に伴う人件費の増加などを吸収して大幅増益予想だ。収益は改善基調だろう。

 社会保障費抑制という国の基本方針に伴って急性期病院・病床数の減少が進むなど事業環境に厳しさもあるが、中期的には首都圏および愛知県エリアなどへの営業強化、M&A・アライアンスによる営業エリア拡大、新規取引先の獲得、SPD(病院医療材料管理業務)事業の拡大、複合的サービスの強化、さらに大量購買による仕入価格低減や業務効率の改善などが寄与して収益拡大が期待される。

■株価は調整一巡

 株価の動きを見ると、悪地合いも影響して8月25日の年初来安値2130円まで水準を切り下げた。その後は2200円~2400円近辺で推移している。やや反発力の鈍い展開だが調整は概ね一巡したようだ。

 9月28日の終値2216円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS277円59銭で算出)は8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間80円で算出)は3.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2627円85銭で算出)は0.8倍近辺である。なお時価総額は約72億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、8月の年初来安値で長い下ヒゲをつけて調整一巡感を強めている。16年6月期収益改善基調を評価して反発展開が期待される。1桁台の低PER、3%台の高配当利回り、1倍割れ水準の低PBRという指標面の割安感も注目点だ。

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