【人】村山貢司さん:気象予報士・経済評論家・山岳ツアーガイド

■気象予報と共に42年、「わかりやすくソフト」の語り口で定評、花粉研究の先駆者

人・ひと 分かりやすく、ソフトな語り口でお茶の間の根強い人気を持つ気象予報士の村山貢司さん、64歳。気象予報の仕事を始めて42年になるという。民放で10年、NHKで21年間、お天気キャスターを務めた。お馴染みの顔である。

村山貢司さん

花粉症研究の先駆者でもあり、花粉飛散の時期ともなれば、全国から講演依頼が相次ぐ。さらに、気象と経済の関係にも研究領域を拡大、異常気象の今日と相まって全国を講演で飛び回る日々という。しかも、資格を持っている山岳ツァーガイドの仕事もこなしている。

気象との出会いは、いつ頃のことですか。『小さいころから山登りの好きだったことがあったと思います。とくに、山登りと気象は親戚関係のようなものですから、ごく自然に気象に関心を持つようになったと思います。なぜ、山登りが好きだったかという背景には、私の育った東京八王子は野山に囲まれたところですから小さい頃から山は遊び場のようなものでした。小学校3年生のときには谷川岳の登頂に挑戦しました』と、少し目を細めて昔を懐かしんでいる表情をみせていた。

早くも中学3年のときには自ら天気図を描いたという。さらに、好きだった生物研究のクラブにも入り、東京教育大学ではクェン酸の酵素に関する研究を専攻、今でいうバイオのハシリを手がけていたという。このことが花粉研究の下地となったようである。インタビューで伝わってくるのは旺盛な研究心である。

大学を卒業されるにあたっては、どのように?『やはり、フィールド(野外)での仕事をやりたいとの思いが強くありました。気象会社はフィールドでの仕事が多いと聞いていましたので迷わず気象会社を選びました。しかし、入社したら予報部門に配属となって、以来、今日まで気象予報と共に42年歩んで来ました』と、微笑む。

NHKでは、ニュースの宮田修アナウンサーとのコンビが印象に残っています。『宮田さん、ディレクターの植地さんとはすごく気が合いました。とくに、秒単位の仕事ですから、お互いの呼吸がぴったり合っていたことは仕事を進めるうえでよかったと思います。今でも、宮田さん、植地さんとは、時々、お会いしていますが、宮田さんは、いまは神主さんですからNHK時代とは違った話で好きな日本酒で盛り上がっています』。

気象予報士として心掛けていることはどのようなことですか。『やはり、分かりやすくということが一番です。専門用語を使うことはできるだけ避けるようにしています。それに、予報士が目立ちすぎてはいけません。あくまで、主役は、予報図のテレビ画面です』。42年の経験の重さが感じられる。

気象と経済、花粉関係の話は、当紙(日本インタビュ新聞)に毎月、寄稿いただいているのでそちらでご覧いただくとして、締め括りに、山岳ツァーガイドについて少し紹介しよう。
週末に富士山や南アルプスを中心にツァーガイドを仕事として年30~40回やっているということだ。12人に1人のガイドが基本だそうで、6人のパーティならガイド1人の村山さんに全責任がかかってくる。『折角、来たのだからということでつい無理をすることにもなりやすいので、私は決して無理をさせないことにもっとも心がけています』。

急変しやすい山の天気を早めに把握することに持ち前の気象予報士の腕前が発揮され、長い山岳ガイド歴において一度も事故はないそうである。

ベテラン気象予報士としての表情に日焼けした山男の逞しさも浮かぶ。『山岳ガイドは70歳を目標に続けるつもりです』。もうひとつの全国での講演は、各地の旨い「酒」を良き友としてますます円熟の境地のようである。【写真=山岳ツアーガイドとして、「冬の八ヶ岳主峰赤岳」で】(文=犬丸正寛)

 

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