「3割高下に向かえ」の相場格言にトライして安値更新銘柄に「リターン・リバーサル」を期待=浅妻昭治

編集長の視点

<マーケットセンサー>

今年の夏相場は、8月、9月と散々であった。日経平均株価の今年2015年の日々の下落幅順位の第1位から第4位までがこの2カ月間に集中した。なかでも下落幅第4位の9月29日には、日経平均株価の構成銘柄225銘柄がすべて値下がりして年初来安値まで売られる銘柄も続いて、714円安の1万6930.84円と心理的なフシ目の1万7000円台を約8カ月半ぶりに割り、1月14日ザラ場につけた年初来安値(1万6592.57円)にあと338円と迫った。今年の日経平均は、昨年末大納会終値から6月高値まで約3500円高したが、この上昇幅が消し飛んで、年初来高値からの下落幅は約4050円となった。

これだけ大きく値下がりすると、続く30日、10月1日は2日間合計で791円高と急反発しても、市場関係者の間では、株価が底打ちしたなどとする観測は、まだつぶやき程度の自信のなさにとどまっている。国慶節の休場明けの中国市場がどう動くのか、ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の排ガス試験不正問題が欧州景気にどうカゲを落とすのか、さらに日本時間の2日夜9時過ぎに発表予定の9月の米雇用統計を見極めたいとのムードも強かったためだ。案の定、9月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数の増加が市場予想を下回り、ニューヨークダウ工業株平均は、午前中は258ドル安と続急落し、大引けでは、FRB(米準備制度理事会)の金利引き上げが来年にズレ込むとの観測が強まって200ドル高と急反発した。為替相場も、やや円高方向に動いた。

こうした海外市場の動向を受けて、週明けの東京市場がどうスタートするか注目されることになるが、もし日本株に吉、ポジティブと出るようならぜひ試してみたい銘柄群がある。日経平均株価構成銘柄で9月29日に年初来安値を更新した銘柄の「リターン・リバーサル」狙いである。下げた株ほど良く戻すとするこの投資セオリーからすれば、底上げ展開、リバウンド幅の拡大も期待できるからだ。実は、この安値更新銘柄のなかには、前週末に安値から急反発し、「リターン・リバーサル」の萌芽が窺えた銘柄も一部浮上したのである。同銘柄群は、多くが中国関連株、VW関連株として先行きが過度に懸念され、すでに今年の年初来高値から3割以上の大幅調整をしていた。相場格言からいえば、まさに「3割高下に向かえ」の教え通りに安値での打診買いが入ったフシが強いのである。

代表株は、マツダ<7261>(東1)である。同社株は、日本の自動車株として唯一、エコカーとしてクリーンディーゼルへの展開を積極化し、これが逆にVWの排ガス試験不正問題のトバッチリを受けて株価が急落、9月29日の年初来安値(1759円9まで年初来高値からは39.5%、6月の戻り高値からでも36.0%の大幅下落となった。ところが、同社が、9月29日にホームページ上で排ガス規制への適合対応についてVWのように、違法なソフトウエアもディフィートデバイス(無効化機能)も一切使用していないとキッパリ否定するコメントを明らかにしたことも手伝って、週末には2020円までリバウンド、このリターン率は14.8%にも達し、一気に25日移動平均線を上回った。安値更新銘柄では、同社株以外にも前週末に大きく持ち直す銘柄があり、この10月相場での一段の「リターン・リバーサル」期待が高まると想定され、要マークということになるはずだ。

本日のアクセスランキング

  1. 【株式市場特集】逆日歩300銘柄超が浮上、師走相場で「掉尾の一振」候補が台頭
  2. IHI、超小型衛星「IHI-SAT2」打ち上げ成功、森林管理と解析技術を強化
  3. 味の素、「味の素KKコンソメ」初のプーさん限定パッケージ、70万個を投入
  4. 王子ホールディングス、青山の保有不動産を譲渡へ、特別利益199億円を計上
  5. 【株式市場】日経平均846円安、5日ぶり大幅反落、日銀利上げ観測で売り優勢
  6. インフォマート、「BtoBプラットフォーム 請求書」導入で福島県いわき市が年間10万件の請求書を電子化へ
  7. 小室哲哉プロデュース新ユニット「365°」公式ロゴ募集、始動前から期待高まる新プロジェクト
  8. 【株式市場】日経平均950円安、5日ぶり大幅反落、日銀利上げ観測で売り拡大
  9. 【どう見るこの相場】師走相場に「掉尾の一振」勃発!逆日歩銘柄が裏街道の主役に浮上
  10. 餃子の王将、具沢山の「五目あんかけラーメン」冬季限定で販売開始、持ち帰りは電子レンジ対応容器

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■環境要因は50%、漁獲圧は25%、状態空間モデルで初の定量評価  東京大学は11月1日、日本周辺…
  2. ■ドジャース、球団史上初の2年連続制覇  ロサンゼルス・ドジャースは、2025年MLBワールドシリ…
  3. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■売り方手仕舞いで需給改善が後押し  師走相場では、リスクの大きい銘柄であっても、逆日歩のつく信用…
  2. ■師走相場は最終レースさながら、勝ち負け分ける「掉尾の一振」に熱視線  師走である。礼節一点張りの…
  3. ■金利環境改善が銀行株に追い風、逆張りの買いも有力視  今週の当コラムは、銀行株に注目することにし…
  4. ■「トリプル安」も怖くない!?逆張りのバリュー株ローテーションからは銀行株になお上値余地  「神風…
  5. ■気温急低下がシーズンストック相場発進を後押し  今週のコラムでは、バリュー株選好の別の買い切り口…
  6. ■「押し」のAI株より「引き」のバリュー株選好で厳冬関連株の先取り買いも一考余地  「押してだめな…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る