【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アドヴァンは第2四半期累計増額修正を好感して年初来高値更新、通期も増額の可能性

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 アドヴァン<7463>(東1)はタイルやフローリングなどの建材を輸入販売している。競争力の高い商品の生産をOEM委託するファブレス機能が特徴だ。5日に第2四半期累計(4月~9月)業績予想の増額修正を発表し、これを好感して株価は年初来高値を更新した。指標面に割高感はなく、16年3月期通期業績予想の増額の可能性も評価して上値追いの展開だろう。

■建材の輸入販売を展開、生産を委託するファブレス機能が特徴

 タイル、大理石、御影石、レンガ、洗面台、フローリング、床材、ボロン、ウッドデッキ、さらに薪ストーブ・暖炉などの建材を輸入販売している。デザイン性・機能性・コストにこだわった競争力の高い商品を、世界中の建材工場の中からトップ工場を選定してOEM生産委託するファブレス機能を特徴としている。

 営業面では国内8ヶ所の営業拠点・ショールーム、物流面では国内3拠点の自社物流センターを置き、ゼネコン・工務店向け建材販売、およびホームセンター向けDIY商品卸売を展開している。

■第4四半期の構成比が高く住宅着工なども影響する収益構造

 なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)39億45百万円、第2四半期(7月~9月)42億38百万円、第3四半期(10月~12月)44億83百万円、第4四半期(1月~3月)47億84百万円、営業利益は第1四半期10億02百万円、第2四半期11億25百万円、第3四半期12億98百万円、第4四半期12億66百万円だった。

 建築関連のため基本的には第4四半期の構成比が高くなり、新設住宅着工戸数や、住宅・マンションのリフォーム需要の影響も受けやすい収益構造だが、四半期ベースで収益拡大基調のようだ。

 なお15年3月期の売上総利益率は14年3月期比0.2ポイント低下して49.2%、販管費比率は同2.6ポイント低下して22.4%、ROEは同2.0ポイント上昇して12.0%、自己資本比率は同3.2ポイント上昇して75.7%だった。また配当性向は21.3%で、自社株買いを含めた総還元性向は30.3%だった。

■16年3月期第2四半期累計を増額修正、通期も増額の可能性

 10月5日に今期(16年3月期)第2四半期累計(4月~9月)連結業績予想の増額修正を発表した。前回予想(4月6日公表)に対して、売上高は3億16百万円増額して前年同期比13.9%増の93億16百万円、営業利益は7億71百万円増額して同37.3%増の29億21百万円、経常利益は8億22百万円増額して同29.6%増の27億72百万円、純利益は6億49百万円増額して同34.6%増の17億99百万円とした。

 新設住宅着工戸数が回復傾向を強める中、積極的な営業施策や業務効率化の効果も寄与して、売上高、各利益とも期初計画を大幅に上回ったようだ。

 通期の連結業績予想は前回予想(4月6日公表)を据え置いて売上高が前期比10.0%増の192億円、営業利益が同0.2%増の47億円、経常利益が同24.9%減の42億50百万円、純利益が同24.3%減の25億50百万円としている。

 円安進行に伴う仕入価格の上昇、物流費の上昇、販売競争の激化などで営業利益は横ばい予想としている。また18年3月期末の為替水準については17年3月期末と同水準と想定している。このためデリバティブ評価益(15年3月期に8億32百万円計上)の洗替処理によって、一部評価損益が損益計算書への計上から貸借対照表の純資産への直接計上となるため、経常利益と純利益は減益予想としている。

 ただし通期会社予想に対する修正後の第2四半期累計の進捗率は、売上高が48.5%、営業利益が62.2%、経常利益が65.2%、そして純利益が70.6%と高水準である。通期会社予想も増額の可能性が高いだろう。

 配当予想については、9月9日発表の株式2分割(効力発生日15年10月1日)に伴って、前回予想(4月6日公表)の年間36円(期末一括)から、年間18円(期末一括)に修正している。ただし株式2分割を考慮すると実質的に変更はなく、前期の年間36円(期末一括)との比較でも実質的に同額である。予想配当性向は28.2%である。

■株価は第2四半期累計増額修正を好感して年初来高値更新

 9月9日に、基準日15年9月30日(効力発生日15年10月1日)とする株式2分割、および株式2分割に伴う16年3月期配当予想の修正(期末一括で年間36円を期末一括で年間18円に修正だが実質的に変更なし)を発表している。

 また7月7日発表の自己株式取得についても9月9日、株式分割に伴う取得株式総数の変更を発表している。変更後は取得株式総数の上限12万4000株で、取得価額総額の上限(変更なし)1億円、取得期間(変更なし)15年7月8日~16年7月7日となる。なお8月31日時点の累計取得株式総数は4万8300株、取得価額総額は8341万5200円である。

 なお利益配分に関する基本方針は、業績や財務状況などを勘案しながら、自社株買いも含めて積極的に株主還元に努めるとしている。

 株価の動き(15年10月1日付で株式2分割)を見ると、悪地合いの影響は限定的で株式2分割も好感して堅調な展開が続いている。そして10月5日には第2四半期累計業績予想の大幅増額修正を好感して年初来高値を更新し、一時は前日比109円(11.26%)高の1077円まで急伸する場面があった。

 10月5日の終値1014円を指標面(1株当たり数値は15年10月1日付株式2分割後)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS63円90銭で算出)は15~16倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は1.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS744円75銭で算出)は1.4倍近辺である。なお時価総額は約546億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線が上向きに転じた。また週足チャートで見ると地合い悪化局面は26週移動平均線近辺から反発し、その後は13週移動平均線がサポートラインとなって水準を切り上げている。強基調に回帰した形だ。指標面に割高感はなく、16年3月期通期業績予想の増額の可能性も評価して上値追いの展開だろう。

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