【銘柄紹介】デクセリアルズはソニーのDNA受け継ぐ高技術・高収益、7月上場後の値動き良好

銘柄紹介

■今期年55円配当で中期買い場

デクセリアルズ<4980>(東1・100株単位)は今年7月に新規上場、1550円でスタートした。ソニーのDNAを持つ高技術・高収益が特徴で今3月期には年55円配当を実施する。押し目狙いで仕込むのがよさそうだ。

<歩み・規模・銘柄特性>

1962年(昭和37年)にトランジスタラジオの需要拡大を見越し回路用銅箔製品及び工業用接着剤製品の製造・販売を目的にソニーの全額出資によりソニーケミカルとして設立。1987年7月に東証2部に上場、2000年1月にソニーの100%子会社となり上場を廃止した。2012年10月に現社名に変更、今年7月に上場した。

『Value Matters=今までなかったものを。世界の価値につながるものを。』をビジョンに掲げ、卓越した独自の技術を組み合わせ顧客の価値を創造することを目指している。エレクトロニクス分野をはじめ、環境・新エネルギー分野などに高度な材料開発技術、プロセス技術にささえられた、新しい機能性材料を提供することで社会に貢献することを目的としている。社名は英語のデクスター(賢い・機敏)と、マテリアル(材料)からつけたもの。

同社の一ノ瀬隆社長はメッセージで、「当社の経営理念である、『Integrity誠心誠意・真摯であれ』を心がけている。その真摯に取り組む姿勢が技術開発や製品品質の向上につながり顧客に喜んでもらえる付加価値の高い製品を生む当社の基礎(いしづえ)となっている」と語っている。

年商約700億円、従業員数約2400名。ROEは20%台、営業利益率約14%台と高収益の内容、海外比率は約7割。発行済株式数は約6300万株の中型銘柄でマーケットでは高技術関連、高ROE関連、輸出関連、FFD関連、スマホ関連、タッチパネル関連、電子部品関連としての人気が指摘されている。連動して動きやすい銘柄として日東電工、カナカなどが候補銘柄として挙げられている。

<事業内容・強さ>

主要営業品目は異方性導電膜(ACF)、光学弾性樹脂(SVR)、太陽電池用タブ線接合材料、工業用接着剤、工業用接着テープ、熱伝導シート、光ディスク用紫外線硬化型樹脂、スパッタリングターゲット、光学関連フィルム、タッチパネルモジュール、表面実装型ヒューズ、無機波長板、無機偏光板なsど。

セグメントでは、(1)光学材料部品事業が全体の約4割、(2)電子材料部品事業が約6割という構成比率となっている。

ソニーとの資本関係はないが、ソニーのDNAを持つ高技術という点が一番の特徴であり強さといえるだろう。東京本社(品川区)と大阪オフイス(大阪市)のほか鹿沼事業所(第1・第2・第3工場=栃木県)、多賀城事業所宮城県)、なかだ事業所(宮城県)、根上事業所(石川県)、海外にアメリカ、シンガポール、中国、ホンコン、台湾、韓国などに生産・販売拠点を展開している。

<業績推移>

決算期は3月。7月上場後、8月6日に発表した2016年3月期・第1四半期が初決算。売上147億8200万円、営業利益18億2400万円、純益12億4700万円という成績。営業利益率は12.3%。

「光学材料部品事業」は、売上は前年同期比0.5%の微減だったが、営業利益では22.5%増えた。光学性樹脂の新製品ハイブリットFSVRの拡販効果が寄与した。「電子材料部品事業」は売上3.4%増収、営業利益でも4.2%増益だった。前年同期にあった蛍光体シートのスポット売上が減少したが、異方性導電膜が伸長した。

2016年3月期は、売上は前期比15.4%増の756億円、営業利益23.8%増の119億円、純益は移転補償の特別利益がなくなるため34.7%減の70億円、1株利益111.1円の見通し。営業利益率は15.7%、配当は年55円(中間27.5円)の予定。なお、第1四半期での営業利益進捗率は15.3%。

<株価推移と展望>

7月29日の上場初値は1550円でその直後にチャイナショックに巻き込まれ8月25日には1450円まで下げた。しかし、すぐに切り返して9月1日に1790円と初値から約15.4%高、8月安値から23.4%高となった。

再び、全般相場の下げから調整となっているが、1500円前後は日足チャートが底打ちの展開となっている。7日(水)の終値1510円は利回り3.64%、PERでも13.5倍と割安水準といえる。

上場後の高値と安値の「中間値」は1620円で、足元ではやや中間値を下回っている。中間値を株価が大きく下回っていれば、買方の上値に対する期待が萎むが、中間値の近辺なら上値に対する期待は強いといえる。地合いが好転すれば一気に上値追いとなる可能性を含んでいる。1500円前後での押し目買いで向かうのがよいだろう。

本日のアクセスランキング

  1. 島津製作所が新たな水中通信技術を開発、防衛装備庁の事業の一環として海洋での実験を実施
  2. ソフトバンク、1対10株式分割と株主優待制度の新設を発表、投資家層の拡大を目指す
  3. あさくまが急騰、株主優待制度拡充へ、年2回の優待と豪華賞品抽選
  4. KeePer技研、日本中の郵便局の集配車を「フレッシュキーパー」で蘇らせる
  5. 東洋水産が出直り強める、投資家グループが配当の引き上げなど提案と伝えられ注目強まる
  6. ドリコムが後場一段と強含む、リメイク版を5月からニンテンドースイッチ、PSなどにリリース、期待強い
  7. あさくま、株主優待制度拡充へ、年2回の優待と豪華賞品抽選
  8. エレコム、日本アンテナを完全子会社化し放送アンテナ関連事業基盤を強化
  9. 巴工業は上値試す、24年10月期は上振れの可能性
  10. NTT、世界初の光ファイバ分岐技術で通信ネットワークを柔軟に構築、通信断なく多種多様な光ファイバを接続

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る