【アナリスト水田雅展の銘柄分析】トーソーはモミ合い煮詰まり感、0.5倍近辺の低PBRも見直し

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 トーソー<5956>(東2)はカーテンレール・ブラインド類の大手である。株価は9月に急落する場面があったが素早く切り返し、その後はモミ合い煮詰まり感を強めている。16年3月期は収益改善基調であり、0.5倍近辺の低PBRも見直してモミ合い上放れの展開が期待される。なお10月30日に第2四半期累計(4月~9月)の業績発表を予定している。

■カーテンレール・ブラインド類の大手

 カーテンレールやブラインド類の大手である。室内装飾関連事業を主力として、ステッキなど介護用品事業も展開している。

 中期戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として、高付加価値商品の拡販、新商品開発のスピードアップ、ホテル・商業施設など非住宅分野における需要の取り込み、海外売上高の拡大、原価低減や総費用低減、新規領域としての介護用品事業の拡大などを掲げている。

 なお円安に伴う原材料価格上昇に対応して、15年7月6日受注分からカーテンレールおよび関連部品の価格改定を実施した。また10月5日受注分からデザインブラインドおよび関連部品の価格改定を実施すると発表している。

■営業利益改善基調

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)53億10百万円、第2四半期(7月~9月)55億38百万円、第3四半期(10月~12月)53億38百万円、第4四半期(1月~3月)62億81百万円、営業利益は第1四半期9百万円、第2四半期2億25百万円、第3四半期1億04百万円、第4四半期4億67百万円だった。営業利益は改善基調だ。

 また15年3月期の配当性向は30.4%だった。ROEは14年3月期比1.2ポイント上昇して3.2%、自己資本比率は同3.0ポイント上昇して52.7%となった。

■16年3月期収益改善基調

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期比4.6%増の235億円、営業利益が同11.8%増の9億円、経常利益が同12.2%増の8億80百万円、純利益が同44.9%増の5億円としている。

 15年3月期は住宅関連市場における消費増税の反動影響が長期化して減収営業減益だったが、16年3月期は消費増税の影響一巡、営業強化、高付加価値製品の拡販、製品価格改定などの効果で増収営業増益予想だ。

 また純利益は前期計上した厚生年金基金解散損失引当金繰入額の一巡も寄与して大幅増益予想である。配当予想は前期と同額の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)で予想配当性向は21.0%となる。

 なお9月10日の大雨による鬼怒川の決壊で当社生産場所の一部が冠水し、受注生産品の一部について一時的に受注を停止したが、基幹工場であるつくば工場および水海道工場については、被害はないとしている。

 第1四半期(4月~6月)は、売上高が前年同期比7.9%減の48億93百万円で、営業利益が1億69百万円の赤字(前年同期は0百万円)、経常利益が1億65百万円の赤字(同6百万円の赤字)、純利益が1億05百万円の赤字(同3百万円の赤字)だった。

 セグメント別売上高は、室内装飾関連事業が消費増税後の落ち込みからの回復遅れで同8.2%減の48億03百万円、その他事業がステッキを中心とした介護関連用品の販売活動強化で同13.4%増の89百万円だった。

 第1四半期は減収で営業赤字だったが、通期ベースでは高付加価値製品の拡販や製品価格改定などの効果が期待され、継続的なコスト削減や生産性向上策の効果も寄与して収益改善基調だろう。

■株価はモミ合い煮詰まり感

 株主優待は毎年3月31日現在の株主に対して実施し、1単元(100株)以上所有株主に対して1000円相当の優待品、10単元(1000株)以上所有株主に対して3000円相当の優待品を贈呈する。また環境保全活動の一環としてインドネシア共和国における「植林活動への寄付」も設けている。

 株価の動きを見ると、立会外分売発表を嫌気して急落した9月7日の年初来安値460円から、立会外分売中止発表を好感して急反発し、急落前の500円~520円近辺のモミ合いレンジに回帰した。

 10月7日の終値507円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円59銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は2.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1091円41銭で算出)は0.5倍近辺である。なお時価総額は約60億円である。

 週足チャートで見ると急落局面の長い下ヒゲ陽線で反発した。その後は13週移動平均線と26週移動平均線が上値を押さえる形だが、下押す動きも見られずモミ合い煮詰まり感を強めている。16年3月期は収益改善基調であり、0.5倍近辺の低PBRも見直してモミ合い上放れの展開が期待される。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  2. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…
  3. ■節約志向が市場を動かす?  日本の消費者は、節約志向と低価格志向を持続しており、これが市場に影響…
  4. ■投資家の心理を揺さぶる相場の波  日米の高速エレベーター相場は、日替わりで上り下りと忙しい。とく…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る