巡航相場到来なら初代長官の再度の「バサロ」発揮でスポーツ関連株にメダル獲得を期待=浅妻昭治

編集長の視点

多くの個人投資家の共通の願望といえば、相場が1日も早く巡航速度を取り戻してくれることだろう。確かに日経平均株価は、9月30日の中間期末の「お化粧買い」をキッカケに10月にかけて7日続伸して25日移動平均線をクリアし、一呼吸置いた連休前の9日も、3連休控えにもかかわらず、大引けが高値で引ける「金曜日の引けピン」となったが、指数先行型のリバウンド相場の印象を拭えないためだ。保有株の多くが、まだ買いコストに届かない水浸し状態で、なお戻り売りなどの後処理に迷い、前向きには姿勢転換できていないと推察される。その証拠に、東証1部売買代金は、9日こそSQ(特別清算指数算出)絡みで3兆円に迫ったが、日々は総じて2兆円台下位と全員参加型の底上げ相場というのには程遠い。

連休明け後も、またまた日米企業業績や国内景気の先行き懸念に加えて、ロシアが、シリアに向けて巡航ミサイルを発射する中東の地政学リスクの高まりなどの悪材料が出て予断を許してくれそうもない。しかし、8月、9月と世界同時株安に巻き込まれて再三にわたり下値を試してきただけに、いい加減に悪材料が打ち切りとなり、それでなかったら少なくとも値幅的にも日柄的にも悪材料織り込み済みくらいになってもいいのではないかとの期待も膨らむ。「金曜日の引けピン」の余勢に乗って、保有株が、買い値を回復すれば、腰を落ち着けて前向きに相場に取り組む余裕も生まれてくるはずだ。

さて相場が、何はともあれ巡航速度を取り戻してくれるとしてとして、その局面ではどうような投資行動をとるのが正しいのか迷うところである。いろいろな選択肢が想定されるが、そのなかで敢えてこれまでとは違う視点で買いポジションを採り、これまで投資圏外にいた銘柄へフォローすることを提案したい。投資圏外に放置されていた銘柄なら、戻り売りも薄く、意外と上値が軽いという幸運に恵まれるかもしれない。そこで、その幸運を期待してツキ男に乗ってみるのである。相場格言で「当たり屋につけ」と教えている通りにそのツキ男関連株に網を張るのである。ツキ男とは、スポーツ省の鈴木大地初代長官だ。この10月に相次いでノーベル賞を受賞した2人の科学者ほどでないが、鈴木長官は、下世話で「運も実力のうち」というまさにその強運を持っているように見受けるのである。

というのも、当のスポーツ庁は、今年10月1日に文部科学省の外局として発足したばかりだが、実は当初、今年4月1日に設置が予定されていた。それが、関係省庁間の調整や法案の準備状況の関連で半年ズレ込んだのである。当初の計画通り4月にスタートしていたら、その後の今年7月の新国立競技場の建設計画や同9月の2020年東京オリンピック・パラリンピックの公式エンブレムの各白紙撤回のゴタゴタに巻き込まれたことは間違いなく、逆風のなか苦渋の船出となったはずだ。それが図らずも一連の難題がひとまず落ち着いたあとの無風時での就任となったのである。

もともと鈴木新長官は、1988年のソウルオリンピックの100メートル背泳ぎで金メダルを獲得したトップ・アスリートであった。「黄金の足を持つ」といわれたバサロキックのパイオニアで、ソウル五輪の同種目の決勝では、バサロキックのキック回数を通常より2回多く打ち、潜行距離を5メートル伸ばし、同時の世界記録保持者の米国選手に競り勝ち金メダルを獲得した。低迷していた日本の水泳競技にとっては、16年ぶりの金メダル獲得であった。新聞報道によると長官就任の挨拶に出向いた首相官邸では、安倍首相から「『バサロ』というクリエイティブな泳法で金メダルを取った経験を持っているので創造的に挑戦してほしい」とエールを受けた。

しかも就任に前後して、英国で開催されているラグビーのワールドカップでは、「桜のジャージー」に身を包んだ日本代表が、優勝候補の一角を占める南アフリカ共和国を破る大金星を上げ、ベスト8には届かなかったものの、一次リーグで史上初めて3勝し、またサッカーのワールドカップのアジア2次予選では「ハリル・ジャパン」が、シリアを破ってグループ首位に浮上するなど盛り上がりを見せた。こうなると長官就任後の記者会見で発言した来年のリオデジャネイロオリンピックでの2ケタの金メダル獲得、続く2020年東京オリンピックでは、過去最高の16個以上の金メダル獲得を目指すことも、あながち夢物語とはいえない実感を持たせる。折から昨12日は「体育の日」であり、新長官の「黄金の足」ならぬ「黄金のスポーツ強化手腕」と「運」を追い風にスポーツ関連株にもメダル獲得を期待してマークしてみるのも一法となりそうだ。

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