【株式評論家の視点】アイ・アールジャパンはコーポレートガバナンス・コードの運用開始で順風

株式評論家の視点

■今3月期通期未公表だが大型案件寄与見通し

アイ・アールジャパンホールディングス<6035>(JQS)は、本年2月2日、単独株式移転の方法により、株式会社アイ・アールジャパンの完全親会社として設立され、同日東京証券取引所JASDAQ市場に上場。企業のIR・SR(株主対応)活動に専門特化したコンサルティング業を行う子会社等の経営管理及びそれに附帯関連する業務を行っている。

前2015年3月期業績実績は、売上高32億0900万円、営業利益5億4900万円、経常利益5億5100万円、純利益3億6500万円に着地。

今2016年3月期・第1四半期業績実績は、売上高10億1500万円(前年同期比16.3%増)、営業利益3億2000万円(同9.6%増)、経常利益3億2000万円(同9.4%増)、純利益2億0900万円(同14.7%増)に着地。

今3月期第1四半期は、株主の議決権行使に関わるSRコンサルティングが前年同期と比較し20.3%の増加。5月、6月の株主総会シーズンにおいて、水面下での株主からの提案や正式な株主提案を受けた企業に対するプロキシーアドバイザリー業務が増加したほか、議決権行使助言会社が、過去5年平均のROEが5%未満の企業のCEO選任議案に反対するという基準を設けたり、機関株主が社外取締役・社外監査役の独立性基準に基づき厳しい判断をするようになったことに伴い、機関株主との対話(エンゲージメント)の重要性が高まり、同社グループのSRコンサルティング業務も大幅に拡大。さらに、6月からコーポレートガバナンス・コードの適用が始まり、ガバナンスの基本方針の策定やコーポレートガバナンス報告書の作成などのコーポレートガバナンス・コード対応コンサルティングも順調に推移し、足元の業績は好調。

通期業績予想は、業績に与える大型案件が年々増加する傾向にあり、明らかにしていないが、年間配当予想は20円(前期比8円増)を予定。業績予想については予想可能となった段階で速やかに公表する見通し。

株価は、3月27日につけた上場来の高値1451円から8月25日安値650円と調整を挟んで8月31日高値900円まで上昇。その後、800円を軸にモミ合っている。同社グループの四半期における売上高は、コア事業であるIR・SRコンサルティングの特性上、日本企業が株主総会を開催する6月前後の第1四半期、第2四半期に集中する傾向があるものの、大型案件の通期化、時期を選ばない投資銀行業務、証券代行業務等が第3四半期、第4四半期においても収益機会が増加し、季節的変動は縮小していく傾向にあり、通期業績予想は前年実績を大きく上回ると観測されている。11月5日に予定されている第2四半期決算の発表に対する期待感はある。ここから地合の悪化に押され下押す場面があれば、買い好機になりそうだ。(株式評論家・信濃川)

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