【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アルコニックスは15年3月期利益再増額の可能性を評価して上値追い

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 「非鉄金属の総合商社」を目指すアルコニックス<3036>(東1)の株価は、12月8日に上場来高値となる2107円まで上伸した。その後利益確定売りや地合い悪化で一旦反落したが、今期(15年3月期)利益見通し再増額の可能性を評価して上値追いの展開だろう。

 軽金属・銅製品(伸銅品、銅管、アルミフィンなど)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う非鉄金属分野の専門商社である。

 レアメタル分野に強みを持つことも特徴だが、中期成長に向けては「非鉄金属の総合商社」を目指し、非鉄金属の周辺分野も含めた川上(製造)~川中(流通)~川下(問屋)を網羅するビジネス展開で、積極的なM&A戦略を推進している。

 13年1月金属・化成品メーカーの米ユニバーティカル社を子会社化、13年3月アルミ合金スクラップ販売の大阪アルミセンターを子会社化、13年4月産業機械用精密加工部品メーカーの大羽精研を子会社化、14年4月住宅建設関連資材メーカーのケイ・マックを持分法適用関連会社とした。また14年11月には子会社のアルミ銅センター(大阪アルミセンターが14年9月1日付で商号変更)が、稲田商会(福岡県北九州市)が北九州で展開する銅リサイクル事業を譲り受けた。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しについては11月6日に売上高を減額、利益を増額修正して、売上高が前期比9.4%増の2010億円、営業利益が同18.2%増の41億20百万円、経常利益が同37.5%増の49億50百万円、純利益が同11.3%増の35億円としている。

 配当予想については年間36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。14年8月1日付の株式2分割を考慮して前期の年間65円を年間32円50銭に換算すると、実質的に前期比3円50銭増配となる。

 通期の売上高はレアメタルの単価下落などで期初計画をやや下回るが、電子材料分野や海外取引などが好調に推移して、利益は期初計画を大幅に上回るようだ。純利益は減益見通しから一転して増益見通しとなった。修正後のセグメント別経常利益の計画は、軽金属・銅製品が同68.5%増の27億50百万円、電子・機能材が同11.8%増の18億50百万円、非鉄原料が同2.1倍の1億90百万円、建設・産業資材が同20.9%減の1億60百万円としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比9.1%増収、同28.1%営業増益、同72.8%経常増益、同27.2%最終増益だった。売上高は計画をやや下回ったが、スマホ・タブレット端末向け電子材料関連、海外の自動車関連や半導体関連などが好調に推移した。利益は計画を大幅に上回った。増収効果、貸倒引当金戻入による販管費の減少に加えて、ケイ・マックの持分法適用関連会社化に伴う負ののれんを含む持分法投資利益が寄与した。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.3%、営業利益が58.4%、経常利益が62.8%、純利益が65.4%と高水準である。積極的なM&A戦略が奏功して自動車関連やスマホ関連を中心に増収基調であり、営業外収益でのケイ・マックの持分法投資利益も寄与して通期利益見通しは再増額の可能性が高いだろう。

 14年5月に発表した新中期経営計画(15年3月期~17年3月期)では目標値として、17年3月期経常利益50億円超、純利益35億円超、ROE13~15%程度、NET/DER1.0~1.3倍程度を掲げ、3年間の投融資総額はM&Aを中心に150億円の計画としている。

 重点戦略としては、電子材料分野では原料(レアメタル・レアアース)から製品(電子材料・機能材料)までを網羅したビジネス展開、環境対応関連分野では省エネ・環境対応素材からリサイクル事業まで国内外での積極展開、海外事業では地場取引や三国間ビジネスの拡大および海外ネットワークの充実、そして新規投融資の積極推進に取り組む方針としている。17年3月期経常利益50億円超、純利益35億円超という目標値は15年3月期に前倒し達成の可能性が高まっている。中期的にも収益拡大基調だろう。

 株価の動き(14年8月1日付で株式2分割)を見ると、10月17日の直近安値1298円から切り返しの展開となり、今期の利益見通し増額修正や再増額の可能性を好感して上伸し、12月8日には上場来高値となる2107円まで上伸した。その後は利益確定売りや地合い悪化で16日の1861円まで一旦反落したが、17日には1900円台まで戻している。好業績見通しを評価する流れに変化はないだろう。

 12月17日の終値1906円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS274円01銭で算出)は7倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間36円で算出)は1.9%近辺、前期実績PBR(前期実績に株式2分割を考慮した連結BPS1638円21銭で算出)は1.2倍近辺である。

 日足チャートで見ると、25日移動平均線が接近して目先的な過熱感が解消した。また週足チャートで見ると、26週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。指標面に割高感はなく、今期利益見通し再増額の可能性を評価して上値追いの展開だろう。

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