【アナリスト水田雅展の銘柄分析】エフティグループは16年3月期増収増益・増配予想、株主還元積極姿勢も評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 エフティグループ<2763>(JQS)は法人向けの情報通信機器・環境関連商品の販売を主力に、ストック型収益・業容拡大戦略を推進している。株価は戻り歩調の展開だ。16年3月期増収増益予想、増配や自己株式取得などの株主還元積極姿勢、1桁台の低PERや3%台の高配当利回りといった指標面の割安感を評価する動きが強まりそうだ。なお11月5日に第2四半期累計(4月~9月)の業績発表を予定している。

■法人向けLED照明、ビジネスホン、OA機器などの販売が主力

 13年6月にTOBで光通信<9435>の連結子会社となり、15年8月に会社分割によって持株会社へ移行し、社名をエフティコミュニケーションズからエフティグループに変更した。

 事業を承継した新設のエフティコミュニケーションズとエフティコミュニケーションズウエストなど傘下の事業会社で、法人事業(中小企業・個人事業主向けLED照明等環境関連商品、ビジネスホン・OA機器・SOHOスモールサーバー等情報通信機器の販売、およびWEB制作サービスやインターネットサービスの提供)、コンシューマ事業(一般消費者向けインターネットサービスの提供、およびドコモショップ運営)を展開している。

 海外展開では、14年7月設立したタイ子会社をASEAN地域への事業展開拠点として、LED照明など環境商材の販売を推進している。

■M&Aも積極活用してストック型収益と業容を拡大

 LED照明や空調などの環境商材を重点分野と位置付け、中期成長に向けた重点戦略として、定額保守サービスなどストック型収益の積み上げ、M&Aも活用した業容拡大、そして海外展開やプラットフォーム事業も推進している。

 M&Aも活用した業容拡大戦略では、13年10月ネットワークセキュリティ機器製造のアレクソンを子会社化、13年11月ビジネスホン・OA機器販売のグロースブレイブジャパンを子会社化、13年12月ノンフロン新自然冷媒ガス販売・施工のニューテックを子会社化、スマートフォン・タブレット端末で個人間プラットフォーム事業・マルチ決済ソリューションを展開する子会社ViewPointを設立、14年9月インターネット事業を担当する子会社アイエフネットがWEBサイト制作の外注先であるアドマウントを子会社化した。

 15年9月には、連結子会社エフティコミュニケーションズウエストおよびグロースブレイブジャパンが、レカム<3323>広島支店の通信機器等販売事業を譲り受けた。既存事業のマーケットシェア拡大に繋がるとしている。

 プラットフォーム事業では、スマホカード決済サービス「ペイコレ」や、子会社ViewPointが14年7月開始した中古車個人取引サイト「mieruCAR(ミエルカ)」を強化している。

 15年3月には中古車個人取引サイト「mieruCAR」が日本最大級のインターネットオークションサイト「ヤフオク!」と連携開始した。子会社ViewPointの「mieruCAR」掲載車両を「ヤフオク!」内に設置された「ミエルカストア」に連携出品して個人間売買の活性化を図る。

 10月1日には子会社ViewPointが「ヤフオク!」を通じて、自動車やオートバイを購入する利用者に向けて安心取引サービス「ミエサポ」の提供を開始した。落札後の取引に「ミエサポ」を利用することにより代金授受、名義変更、納車までを一括サポートすることが可能になる。

■ストック型収益構造で営業損益拡大基調

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)82億33百万円、第2四半期(7月~9月)88億68百万円、第3四半期(10月~12月)87億73百万円、第4四半期(1月~3月)89億30百万円で、営業利益は第1四半期9億28百万円、第2四半期10億13百万円、第3四半期10億77百万円、第4四半期10億91百万円だった。ストック型収益の積み上げで営業損益は拡大基調だ。

 また15年3月期の配当性向は29.6%だった。ROEは14年3月期比7.5ポイント低下して29.4%、自己資本比率は同4.2ポイント上昇して29.4%となった。

 なお16年3月期から、営業外収益に計上していた受取ロイヤリティーを取引形態ごとに、売上高に関連して獲得するものは売上高に含めて計上し、仕入高に関連して獲得するものは売上原価から控除する方法に変更した。親会社との会計処理の統一を図るとともに、今後も受取ロイヤリティーの規模の拡大が予想される中、取引形態の見直しを行い、経営成績をより適切に表示する。

■16年3月期増収増益予想

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月14日公表)は売上高が前期比8.7%増の380億円、営業利益が同11.4%増の50億円、経常利益が同10.2%増の50億円、純利益が同8.3%増の30億円としている。事業別売上高の計画は法人事業が同8.7%増の320億円、コンシューマ事業が同0.6%増の60億円としている。

 法人事業ではLED照明、自然冷媒ガス、SOHO向けスモールサーバー、ビジネスホンなどの拡販に取り組むほか、工場向けのライン監視カメラ・センサーといった監視装置関連の需要増加に対応して施工管理体制を強化する。

 コンシューマ事業では、NTT東日本・NTT西日本による光回線卸売サービスである光コラボレーションモデル開始(15年2月)に伴って、FVNO(仮想固定通信事業者)として、自社ブランドの法人向け光回線サービス「FT光」およびコンシューマ向け光回線サービス「ひかり速トク」を、当社インターネット接続サービス「アイエフネットインターネットサービス」とのセットプランで拡販を推進する。

 第1四半期(4月~6月)は売上高が前年同期比2.1%減の80億85百万円で、営業利益が同11.4%減の8億59百万円、経常利益が同12.3%減の8億63百万円、純利益が同6.7%減の5億58百万円だった。

 法人事業「FT光」およびコンシューマ事業「ひかり速トク」を積極的に販売したが、従来のフレッツ光獲得時に得られる取次販売と異なり、ユーザーの利用に応じて毎月継続的に収益が得られるストック型サービスのため、一時的に売上および利益が減少した。

 セグメント別(連結調整前)に見ると、法人事業は売上高が同1.4%増の70億13百万円、営業利益が同13.1%増の10億71百万円、コンシューマ事業は売上高が同21.5%減の11億83百万円、営業利益が1億16百万円の赤字(前年同期は91百万円の黒字)だった。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が21.3%、営業利益が17.2%、経常利益が17.3%、純利益が18.6%である。低水準の形だが、法人事業においてはマイナンバー制度への対応やセキュリティニーズの高まりを受けて、ファイルサーバー・UTM(総合脅威管理システム)の販売が好調のようだ。ストック型収益の積み上げや積極的な事業展開で増収増益基調に変化はないだろう。

■16年3月期増配予想、15年10月1日付で株式3分割

 配当予想については7月17日に株式3分割(15年10月1日付)に伴う修正を発表した。修正後の配当予想は株式3分割前の第2四半期末が30円、株式3分割後の期末が14円で、第2四半期末30円を株式3分割後10円に換算すると年間24円となる。予想配当性向は28.2%である。

 株式3分割前に換算すると年間72円(第2四半期末30円、期末42円)となり、前回予想(5月14日公表)の年間70円(第2四半期末30円、期末40円)に対して2円増額、また前期の年間70円(第2四半期末30円、期末40円)に対しても2円増配となる。

 株主への利益還元については、企業価値の最大化を図り、当社の健全な財務基盤確立に必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続的に実施することを基本方針としている。

■株価は戻り歩調

 株価の動き(15年10月1日付で株式3分割)を見ると、9月末の配当権利落ちも影響して10月1日に622円まで調整する場面があったが、8月の年初来安値566円まで下押すことなく切り返しの動きを強めている。10月15日には715円まで上伸した。戻り歩調の展開だ。

 10月15日の終値709円を指標面(15年10月1日付株式3分割後)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS85円19銭で算出)は8~9倍近辺で、今期予想配当利回り(株式3分割換算後の会社予想の年間24円で算出)は3.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績に株式3分割を考慮した連結BPS296円83銭で算出)は2.4倍近辺である。なお時価総額は約255億円である。

 日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を素早く回復した。また週足チャートで見ると26週移動平均線に続いて13週移動平均線突破の動きを強めている。16年3月期増収増益予想、増配や自己株式取得などの株主還元積極姿勢、そして1桁台の低PERや3%台の高配当利回りといった指標面の割安感を評価する動きが強まりそうだ。

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