【中期経営計画と株価】テクマトリックス快調に上値追い、高収益企業へ変身の中期経営計画を評価

中期経営計画と株価

テクマトリックス<3762>(東1・100株単位)が全般相場軟調の中、上値追いの展開だ。サイバー攻撃に対する次世代ファイアオールが大きく伸長、マイナンバー関連としての注目度も高まっている。脱労働集約を目指した中期経営計画で高収益企業に変身することが評価されている。

<足元の業績>

2015年3月期は6.1%増収、営業利益1.0%増益、純益26.3%減益、1株利益48.2円という成績で配当は年15円だった。今3月期・第1四半期は前年同期比22.8%増収、営業利益63.8%増益、純益42.8%の減益と、売上と営業利益は出足好調だ。純益の減少は事務所移転費用等が発生したことによる。

売上は大きく分けて、「情報基盤事業」と、「アプリケーション・サービス事業」からなる。第1四半期では、「情報基盤事業」が前年同期比26.0%増の33億0200万円、「アプリケーション・サービス事業」は16.4%増の15億4500万円という成績。売上構成比率は情報基盤事業が約68%、アプリケーション・サービス事業が約32%である。

情報基盤事業においては、主力の負荷分散装置が好調なほか攻撃型に代表されるサイバー攻撃関係の次世代ファイアオールが官需及び民需とも大きく伸長している。一方、アプリケーション・サービス事業においては、スマートフォン、ウェアブル端末向け開発案件が好調なほか教育事業において新卒者向けの技術支援等が好調。ソフトウエア品質分野では製造業や金融業でテストツールの受注が好調、医療分野では医療情報クラウドサービス『NOBORI』の好調が持続している。

今3月期通期では、売上10.8%増の204億円、営業利益15.0%増の13億円、純益43.7%増の8億4000万円の見通し。今期は売上から営業利益、純益までがそろって2ケタの伸びとなる。

<中期経営計画骨子と数値目標>

2016年3月期~18年3月期の3カ年の中期経営計画『TMX3.0』を作成した。基本方針は、「従来のIT産業の労働集約的な請負型ビジネスから脱皮し、自らITサービスを創造し、ITサービスを提供する, 『次世代のITサービスクリエイター』、『次世代のITサービスプロバイダー』への変貌を継続する、ということである。

事業戦略としてはクラウド関連事業の加速度的推進、セキュリティ&セイフティの追求を推進する。15年5月に本社を統合・移転し今後の成長を吸収できるオフィス・スペースを確保した。オフショア開発の積極的活用による原価低減やパートナーとのアライアンス強化、直販力強化、特に官公庁需要の深耕に努め、ダイバーシティの推進による戦力強化などに取り組んでいく。

2018年3月期には売上251億円(15年3月期比36.2%増)、営業利益23億5000万円(同比2.0倍)の目標。とくに、営業利益率は15年3月期の6.1%から18年3月期には9.4%と10%台目前に迫り高収益企業に変身する。配当性向20%以上が目標で利益の大幅増益に伴って増配が期待される。

<株価の歩み・位置と展望>

上場は2005年2月。株式分割修正チャートでみれば上場時初値367円に対し11年10月に219円まで調整したが、以後、ほぼ一本調子の右肩上がりの相場を展開している。8月のチャイナショックでは8月25日に770円まで下げたが、すぐに切り返し10月19日には1147円の高値に進んでいる。

今3月期は1株利益69.0円、配当1円増配の年17円の見通し。利回りは1.48%、PERは16.6倍と指標的にはまずまずの水準だろう。しかし、セキュリテイ関連、マイナンバー関連としての人気に3カ年計画での利益倍増見通しを見込めば、むしろ割安だろう。恐らく、18年には1株利益は100円近くが期待されるだろうし配当も年20円以上はほぼ確実とみられることなどから中長期では2000円相場は期待できるだろう。

短期的にはやや上げピッチが速いため調整も予想されるが押し目買いの好機だろう。中長期投資で報われる銘柄とみられる。

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