【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ソフトクリエイHDはモミ合い煮詰まり感、EC関連やサイバーセキュリティ関連も注目

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東1)はECサイト構築パッケージソフトを主力としてソリューション事業を強化している。株価はモミ合い煮詰まり感を強めている。16年3月期増収増益予想や自己株式取得を評価してモミ合い上放れの展開だろう。EC(電子商取引)関連やサイバーセキュリティ関連のテーマ性も注目点だ。

■ECサイト構築ソフトで首位

 ECソリューション事業(ECサイト構築パッケージソフト「ecbeing」の販売・保守から、ECサイト構築・運用支援、データセンターでのホスティングサービス提供、ECプロモーション提供までの総合サービス)を主力として、SI事業(自社グループ開発ソフトの販売、基幹系システムの受託開発)、物品販売事業(法人向けIT機器販売など)も展開している。

 顧客のEC事業立ち上げ時の戦略コンサルティングから、ECサイト構築パッケージソフト「ecbeing」の販売・カスタマイズ・保守、ECサイト構築・運用支援、さらにリスティング広告・SEO対策などのプロモーションサービスまで、総合的なサービスを提供していることが強みだ。

 ECサイト構築実績は中堅・大手優良企業向けを中心に、国内断トツ首位の800社以上に達している。そしてECサイト構築実績の積み上げに伴う運用支援・保守などストック型収益が拡大基調である。

■中期成長戦略でeビジネス総合デベロッパー目指す

 中期成長戦略としては、単なるECシステム提供企業からeビジネス総合デベロッパーへの発展を目指してソリューション事業を強化している。またインターネット広告や運用支援などデジタルマーケティング市場にも積極展開してビジネス領域を拡大している。

 アライアンス戦略では13年5月に日本ユニシス<8056>と資本・業務提携、13年9月に東芝テック<6588>と業務提携した。

 15年5月には子会社ソフトクリエイトが、サイボウズ<4776>の「CYBOZU AWARD 2015」において「セールスアドバイザ・オブ・ザ・イヤー」を受賞したと発表した。本アワードは年間を通じてサイボウズ製品の提案・営業活動で際立った実績を残したSA認定者に贈られる。

 15年7月には子会社ソフトクリエイトが、Windows Serverのディレクトリ・サービス「Active Directory」をクラウドスタイルで提供する「SCCore Directory」のサービスを開始した。

 15年8月には子会社ソフトクリエイトが、社内ネットワークへの不正接続を検知・遮断するセキュリティシステム「L2Blocker」に、エンドポイントのセキュリティ対策「Endpoint Monitor Option」を有償オプションとして販売開始した。

 9月30日には子会社ソフトクリエイトがクラウドサービス分野で、アルテリア・ネットワークス社(東京都)の「VECTANTクローズドIPネットワーク」を15年10月から販売開始すると発表した。同社の閉域網サービス「VECTANT」で企業向け専用の閉域IPバックボーンを介したセキュアで高品質なネットワークを提供するとしている。

 また10月20日には子会社ソフトクリエイトが、10月28日~30日開催(幕張メッセ)の「2015Japan IT Week秋」の「第5回情報セキュリティEXPO秋」に出展すると発表した。社内ネットワークへの不正PCの接続を検知・遮断するシステム「L2Blocker」など、セキュリティ・ソリューションを紹介する。

■第2四半期と第4四半期の構成比が高い収益構造

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)27億22百万円、第2四半期(7月~9月)30億89百万円、第3四半期(10月~12月)28億17百万円、第4四半期(1月~3月)33億11百万円、営業利益は第1四半期2億81百万円、第2四半期3億86百万円、第3四半期3億51百万円、第4四半期4億48百万円だった。第2四半期と第4四半期の構成比が高い収益構造だ。

 また15年3月期の配当性向は28.7%だった。ROEは14年3月期比1.2ポイント上昇して15.4%、自己資本比率は同2.6ポイント上昇して15.4%だった。

■16年3月期増収増益予想

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月8日公表)は、売上高が前期比1.0%増の120億60百万円、営業利益が同1.3%増の14億85百万円、経常利益が同1.0%増の15億40百万円、純利益が同2.0%増の9億60百万円としている。配当予想は前期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)で予想配当性向は28.1%となる。

 ECソリューション事業では、中堅・大手優良企業のECサイト構築需要の増加に伴って、ECサイト構築パッケージソフト「ecbeing」の販売・カスタマイズ・保守が好調に推移する。ECサイト累計構築数は増加基調のためストック型収益も拡大基調だ。ネット広告需要の増加でデジタルマーケティングビジネスの拡大も期待される。

 システムインテグレーション事業では、企業のセキュリティ対策意欲の高まりやクラウドサービス需要の拡大が追い風となり、不正接続PC検知・排除システム「L2Blocker」が好調のようだ。物品販売事業ではウインドウズXPサポート終了に伴う入れ替え需要の反動影響が一巡する。

 費用面では、製品機能充実のための費用の増加、知名度向上のための広告宣伝費の増加、新卒社員の積極採用に伴う人件費の増加はあるが、増収増益基調だろう。

 第1四半期(4月~6月)は、売上高が前年同期比2.9%増の28億円、営業利益が同4.8%増の2億94百万円、経常利益が同13.1%増の3億42百万円、純利益が同39.5%増の2億78百万円だった。

 ECサイト構築パッケージソフト「ecbeing」を活用したECソリューション事業が順調に伸長し、企業のセキュリティ意識の高まりを背景にセキュリティビジネスや当社独自サービスである「SCクラウド」も寄与して増収増益だった。

 セグメント別に見ると、ECソリューション事業は売上高が同5.2%増の13億10百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が同23.7%増の3億03百万円、システムインテグレーション事業は売上高が同9.0%増の6億13百万円で、営業利益が同1.2%増の1億99百万円、物品販売事業は売上高が同4.1%減の8億76百万円で、営業利益が同59.6%減の6百万円だった。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が23.2%、営業利益が19.8%、経常利益が22.2%、純利益が29.0%である。やや低水準の形だが、第2四半期と第4四半期の構成比が高い収益構造のため特にネガティブ要因とはならない。通期ベースでも増収増益基調に変化はないだろう。

 またEC関連市場は拡大基調であり、国内断トツ首位のECサイト構築実績を武器として、中期的にも収益拡大基調が期待される。

■株価はモミ合い煮詰まり感

 株主優待制度は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は保有株数に応じてオリジナルQUOカードを贈呈(3000株以上保有株主に対してQUOカード3000円分など、詳細は会社ホームページを参照)し、2年超の継続保有株主に対しては長期保有優待制度も実施している。

 なお9月16日に発表した自己株式取得(取得株式総数の上限30万株、取得価額総額の上限3億円、取得期間15年9月17日~15年12月16日)については、9月30日時点で累計取得株式総数0株となっている。

 株価の動きを見ると、悪地合いが影響して8月25日に年初来安値818円まで下押す場面があったが素早く反発し、概ね900円~950円近辺のレンジでモミ合う展開だ。ただし徐々に下値を切り上げている。

 10月22日の終値935円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS71円15銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS486円45銭で算出)は1.9倍近辺である。なお時価総額は約129億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、徐々に下値を切り上げてモミ合い煮詰まり感を強めている。16年3月期増収増益予想や自己株式取得を評価してモミ合い上放れの展開だろう。EC(電子商取引)関連やサイバーセキュリティ関連のテーマ性も注目点だ。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  2. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…
  3. ■節約志向が市場を動かす?  日本の消費者は、節約志向と低価格志向を持続しており、これが市場に影響…
  4. ■投資家の心理を揺さぶる相場の波  日米の高速エレベーター相場は、日替わりで上り下りと忙しい。とく…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る