【編集長の視点】テラは再生医療関連3法施行で「バクセル」の先行実績を見直し続伸

編集長の視点

テラ<2191>(JQS)は、17円高の1437円と続伸して始まっている。今年11月25日に再生医療関連3法が施行されたことを見直し、同社が特許実施権を独占保有する樹状細胞ワクチン「バクセル」の先行実績を評価し、再生医療製品としての早期承認を期待しバイオ株人気が増勢となっている。相場全般が、衆議院選挙で自民公明の与党が圧勝し、前日18日の米国市場でNYダウ平均が421ドル高と今年最大の上げ幅を記録したものの、なお原油先物価格の急落で世界的に波乱展開懸念が底流するなか、逆行高特性のあるテーマ株として同社株などにバイオ株に「掉尾の一振」思惑も続いている。

■世界トップクラスの臨床症例をベースに早期承認取得を目指す

樹状細胞は、細胞表面の突起(樹状突起)によって体内の異物を特異的に捕食し攻撃するとともに、この異物の特徴(抗原)を認識して体中の免疫細胞を総動員して抗原を攻撃することを可能とする。「バクセル」は、同細胞をがん患者から取り出して培養、患者の体内にワクチンとして投与して正常な細胞は傷つけず、がん細胞のみを攻撃する治療法で、外科的手術、抗がん剤、放射線治療に続く第4のがん治療法として脚光を浴びている。「バクセル」は、患者個々により異なるワクチン療法として患者ごとのテーラーメード医療となっており、同社は医療機関との連携により開発を進め、今年11月7日に新たな3医療機関と連携契約を締結し契約医療機関は、36カ所に広がり、症例実績も約8600症例と国内最多、世界でトップクラスとなっている。

今年11月25日に施行された再生医療関連法では、再生医療製品の早期承認制度などが盛り込まれており、同社は、国内最多の症例実績をベースにまずすい臓がんをターゲットに2015年内での保険承認を目指し臨床治験を進める。

業績は、今12月期業績が、こうした開発の先行投資や同ワクチン療法の認知度向上のための学会での学術活動、広報宣伝費負担のために今年8月に下方修正され、売り上げ20億4000万円(前期比32.5%増)、経常利益3億5100万円の赤字(前期は2400万円の赤字)、純利益3億2400万円の赤字(同5800万円の赤字)と水面下の推移が見込まれているが、「バクセル」の早期承認により様変わりとなる可能性を示唆している。

■「アベノミクス」の成長戦略の政策支援思惑も高まり上値チャレンジ

株価は、今期業績の下方修正で売られ1305円安値まで突っ込んだが、同時発表のM&Aを評価して1845円高値まで急反発、再度の1332円安値からは再生医療関連3法の施行とともに1686円高値をつけ、1400円台固めを続けている。再生医療は、「アベノミクス」の成長戦略の重要な一角も形成しており、政策支援も期待して再度の上値チャレンジに弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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