【編集長の視点】K&Oエナジーは反落も業績上方修正を見直し下値には割安修正買いが根強い

編集長の視点

K&Oエナジーグループ<1663>(東1)は28日、2円安の1559円と4営業日ぶりに反落した。9月25日につけた年初来安値1378円から200円幅の底上げをし、目先の利益を確定する売り物が先行した。ただ下値では、同社が、今年8月に今12月期業績を上方修正し、減益転換率を縮めることを見直し割安修正買いも続いている。来年4月に電力小売りが全面的に自由化されることに対応して、子会社の大多喜ガス(千葉県茂原市)が、今年10月から電力事業に参入、事業を開始したことも側面支援材料視されている。

■通期純利益は前期計上の負ののれん益を勘案すれば実質増益

同社の今12月期業績は、第2四半期(2Q)累計業績が、期初予想を上ぶれて着地したことを受けて上方修正された。売り上げを期初予想より71億円引き下げたが、営業利益、経常利益を各1億円、純利益を4億円それぞれ引き上げ、営業利益は47億円(前期比13.6%減)、経常利益は56億円(同8.4%減)、純利益は38億円(同55.3%減)と減益率を縮小させる。

売り上げは、輸入エネルギー価格下落の影響を受けて一部のガス販売価格が低下して下ぶれるが、利益は、堅調な市況が続くヨード販売の増加や、子会社吸収合併に伴う特別利益計上などから上ぶれる。なお純利益の減益率が大きいのは、前期に負ののれん益46億1800万円を計上したことによる反動であり、これを除くと、実質では前期比22.0%増益の計算となる。またエネルギー価格も、今年8月に一時、1バーレル=38ドル台まで下落した米国の原油先物価格(WTI)が、10月に49ドル台まで戻し、前日27日の米国市場では43ドル台と続落したが、この動向次第では、業績の再上ぶれ期待も高まってくる。

一方、子会社の電力事業参入は、千葉県内の事業者から電力を調達して新電力向けに卸販売するもので、年間発電量は、一般家計6000件程度に相当する約2000万キロワットアワーを想定、ガス開発・販売会社から総合エネルギー企業への飛躍を目指す。

■高値からの調整幅の3分の1戻し水準でなおPERは11倍台、PBRは0.6倍

株価は、今期第1四半期業績が、期初予想の2Q累計業績対比で高利益進捗率を示したことをテコに年初来高値1980円をつけ、12月通期業績の上方修正には原油価格が下落し、世界同時株安も重なって反応薄で同安値1378円まで調整、子会社の電力事業開始とともにこの調整幅の3分の1戻しとなる1597円へとリバウンドし、1500円台固めを続けてきた。PERは11倍台、PBRは0.6倍となお割り負けており、半値戻し1679円抜けから全値戻しの高値奪回を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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