【アナリスト水田雅展の銘柄診断】山田コンサルティンググループは調整一巡して切り返し、中期成長力を評価して8月高値試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 経営・財務・M&Aなど各種コンサルティング事業を展開する山田コンサルティンググループ<4792>(JQS)の株価は、8月27日の年初来高値3450円から10月16日の2618円まで調整したが、足元では3000円台に戻して切り返しの動きを強めている。調整が一巡したようだ。3%近辺の高配当利回りや自己株式取得も支援材料であり、中期成長力を評価して8月高値を試す展開だろう。

 各種コンサルティング事業を展開するグループの純粋持株会社である。傘下の事業会社では、山田ビジネスコンサルティングが経営・財務・事業承継・M&A支援などの経営コンサルティング事業、山田FASがM&A・企業再編の財務アドバイザイリー業務や中堅・中小企業対応M&A関連業務などの資本・株式・株主に関するコンサルティング事業、山田不動産コンサルティングが不動産有効活用などの不動産コンサルティング事業、東京ファイナンシャルプランナーズがFP資格取得講座などのFP関連事業、キャピタルソリューションおよび投資事業有限責任組合が投資ファンド事業(事業承継ファンド)を展開している。

 中期経営目標としてROE(株主資本当期純利益率)20%以上を掲げ、重点戦略としては、大手金融機関・証券会社・地方金融機関・提携会計事務所との連携強化、事業再生・事業承継を切り口とした中堅・中小企業対応M&A関連分野の拡大、中国現地法人およびシンガポール支店を拠点とした中国・アジア展開の強化などを推進している。投資ファンド事業では、事業承継問題を抱えている優良な中堅・中小企業をターゲットとして、投資リスクを最小限に抑えながら投資案件を発掘している。

 コンサルティングニーズが「事業再生」に加えて「事業成長」も顕在化し、今後その傾向が高まってくると見込んでいるため、こうしたニーズに対応すべく「事業再生コンサルティング中心」から「事業成長コンサルティング」も大きな柱とするビジネスモデルへの変換も進めている。

 10月28日発表の今期(15年3月期)第2四半期累計(4月~9月)の連結業績(10月23日に増額修正)は、売上高が前年同期比20.0%増の41億45百万円、営業利益が同17.8%増の9億61百万円、経常利益が同27.5%増の10億44百万円、純利益が同12.4%減の6億47百万円の増収増益だった。案件受注が順調に推移して大型案件も寄与した。営業外での為替差益計上も寄与した。

 セグメント別売上高(内部取引含む)を見ると、経営コンサルティング事業はM&Aコンサルティングや事業承継コンサルティングの案件受注が順調で同11.4%増の28億85百万円、資本・株式・株主に関するコンサルティング事業は大型M&A仲介案件も寄与して同68.3%増の5億54百万円、不動産コンサルティング事業は提携会計事務所との連携による不動産売買仲介案件の受注が順調に推移して同64.4%増の3億61百万円、FP関連事業はFP関連講座が順調で同13.2%増の3億55百万円、投資ファンド事業は投資損益が発生せず同45.0%減の40百万円だった。

 通期の連結業績見通しも10月23日に増額修正し、前回予想(5月8日公表)に対して売上高を4億円増額して前期比8.3%増の84億円、営業利益を1億50百万円増額して同11.9%増の19億20百万円、経常利益を1億70百万円増額して同9.6%増の19億70円、純利益を1億20百万円増額して同26.0%減の12億円としている。配当予想は前回予想(5月8日公表)を据え置いて年間90円(第2四半期末45円、期末45円)としている。13年10月1日付の株式100分割を考慮すると実質的に前期比10円増配となる。

 純利益は前期計上した関係会社株式売却益や子会社間合併に伴う繰延税金資産計上の一巡で減益見通しだが、専門コンサルとしての認知度が向上した効果で、経営コンサルティング事業、資本・株式・株主に関するコンサルティング事業、不動産コンサルティング事業が順調に推移して増収増益見通しだ。修正後の通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が49.4%、営業利益が50.1%、経常利益が53.0%、純利益が53.9%と順調な水準である。大型案件の計上や投資ファンド事業のイグジットなどで収益が変動しやすい収益構造だが、通期ベースでも好業績が期待される。

 なお5月8日に発表した自己株式取得(取得株式総数の上限10万株、取得価額総額の上限20億円、取得期間14年6月1日~15年3月20日)については、9月30日時点の累計で取得株式総数が3万8500株、取得価額総額が1億1732万4400円となっている。

 株価の動きを見ると、8月27日の年初来高値3450円から利益確定売りなどで反落し、全般地合い悪化も影響して10月16日の2618円まで調整した。しかし足元では10月28日の3075円まで戻して切り返しの動きを強めている。調整が一巡して今期好業績を評価する動きだろう。

 10月30日の終値3015円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS248円93銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間90円で算出)は3.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1518円77銭で算出)は2.0倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を回復した。また週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から切り返してサポートラインを確認し、一旦割り込んだ13週移動平均線回復の動きを強めている。3%近辺の高配当利回りや自己株式取得も支援材料であり、中期成長力を評価して8月高値3450円を試す展開だろう。

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