【アナリスト水田雅展の銘柄診断】電算システムは調整一巡して強基調へ回帰の動き、7月高値を試す

銘柄分析

 情報サービス事業および収納代行サービス事業を展開する電算システム<3630>(東1)は10月30日、第3四半期累計(1月~9月)業績を発表した。株価は9月12日の戻り高値1650円から10月17日の1371円まで調整したが、10月30日には1500円まで切り返している。調整が一巡して強基調に回帰する動きであり、第3四半期累計の増収増益も評価して7月高値1696円を試す展開だろう。

 情報サービス事業(SI・ソフト開発、情報処理サービス、商品販売)と、収納代行サービス事業(コンビニ収納代行、郵便振替決済代行、ネットショッピング決済、電子マネー決済)を収益柱として、クラウドサービスや電子マネーへの対応を強化している。収納代行サービスではコンビニ収納代行を業界で初めてスタートさせ、年間取扱件数は1億3000万件以上に達している。

 中期成長に向けたM&A・アライアンス戦略も活発化している。13年10月にNTTドコモ<9437>と業務提携し、米グーグルの企業向けクラウドビジネスに関する戦略的パートナーとして連携を強化した。14年9月にはキャノンマーケティングジャパン<8060>グループのガーデンネットワークを子会社化した。ガーデンネットワークは全国約2000箇所のガソリンスタンド向けに勘定系システムや情報系システムを提供している。当社と商圏が競合していないためエネルギー業界向けITサービス提供拡大に向けてシナジー効果が期待される。

 10月30日に今期(14年12月期)第3四半期累計(1月~9月)の連結業績を発表した。売上高が前年同期比7.1%増の194億05百万円、営業利益が同16.1%増の8億49百万円、経常利益が同17.7%増の8億59百万円、純利益が同18.0%増の5億円の増収増益だった。

 セグメント別に見ると、情報サービス事業はSI・ソフト開発での大型案件の検収、情報処理サービスでの請求書作成代行やギフト処理サービスの順調推移などで売上高が同12.9%増の101億79百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同36.7%増の5億21百万円だった。

 収納代行サービス事業は売上高が同1.4%増の92億26百万円、営業利益が同7.4%増の3億60百万円だった。クレジットカード決済において売上とクレジット手数料を相殺した純額表示とした影響で小幅増収にとどまったが、新規顧客獲得や収納代行窓口サービスは順調に推移しているようだ。

 通期の連結業績見通しは前回予想(1月30日公表)を据え置いて、売上高が前期比9.9%増の270億円、営業利益が同10.2%増の11億20百万円、経常利益が同9.6%増の11億20百万円、純利益が同12.4%増の6億67百万円としている。配当予想は年間22円(第2四半期末11円、期末11円)で、13年7月1日付の株式2分割を考慮すると実質的に前期比2円増配となる。

 情報サービス事業ではオートオークション業向けシステム、広告出版業の販売管理システム、小売業向けギフトシステム、製造業向け情報管理システムなどの大型案件、米グーグルの企業向けクラウドビジネスの業務提携効果、ウインドウズXPサポート終了に伴う需要、請求書作成代行のアウトソーシング業務などが好調だ。収納代行サービス事業では新規顧客開拓が寄与する。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が71.9%、営業利益が75.8%、経常利益が76.7%、純利益が75.0%と概ね順調な水準であり、通期ベースでも好業績が期待される。

 中期経営計画では目標数値として、16年12月期売上高350億円(情報サービス事業194億円、収納代行サービス事業156億円)、営業利益18億20百万円、経常利益18億20百万円、純利益11億62百万円を掲げている。クラウドサービスを第3の柱に育成する方針であり、中期的に収益拡大基調だろう。

 なお7月30日に14年12月期末の株主優待品の詳細を発表している。対象は14年12月31日現在1単元(100株)以上保有株主で、奥美濃「郡上」特産品1~4および当社オリジナルQUOカードの中から1つ(3000円相当)を選択する。

 株価の動きを見ると、9月12日の戻り高値1650円から反落し、全般地合い悪化も影響して10月17日の1371円まで調整したが、10月30日には1500円まで戻して切り返しの動きを強めている。調整が一巡して今期増収増益見通しを評価する動きだろう。

 10月30日の終値1499円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS69円12銭で算出)は21~22倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間22円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS723円51銭で算出)は2.1倍近辺である。週足チャートで見ると一旦割り込んだ26週移動平均線を回復し、続いて13週移動平均線突破の動きを強めている。調整が一巡して強基調に回帰する動きであり、第3四半期累計の増収増益も評価して7月高値1696円を試す展開だろう。

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