【忠田公夫の経済&マーケット展望】米10年債利回り2.5%越えればNYダウ反落のリスク強まる

忠田公夫の経済&マーケット展望

10月5日付けの当欄で「12月15~16日の年内最後のFOMCにおいて、今後、発表される10月や11月の雇用統計でよほどの好転がない限り、利上げは先送りされる可能性が強まってきた」と述べた。

10月2日に明らかにされた9月の雇用統計が悪化したことで、当面、利上げは遠のいたとの見方が高まり、NYダウはその前日の1万6272ドル(終値)から先週末の1万7910ドル(同)まで1600ドル余り反騰してきた。

しかし、先週末、発表された10月の雇用統計は予想を上回る好内容だった。非農業部門の雇用者の増加数が今年最大の27万1000人、かつ失業率も7年半ぶりの5.0%に低下。イエレン議長が完全雇用とみなす失業率は4.9%であり、ほぼその水準に達したと言える。また、平均時給の前月比上昇率は0.4%(前年比では2.5%)と、これも改善しつつある。

12月4日に発表される予定の11月の雇用統計を見極める必要があるが、10月の雇用統計から見る限り、12月15~16日のFOMCで11年ぶりの利上げに踏み切る可能性は出てきた、と受け止めるべきだろう。

すでに債券市場では米2年物国債金利が一時、0.94%まで上昇、5年半ぶりの水準をマークしてきた。つれて、日米金利差の拡大に伴い、ドル円も一時、123円27銭までドル高円安に振れてきた。

問題は今後のマーケットをいかに読むかだが、利上げ実施が予想される12月中旬にかけて、米国の長短金利がさらに上昇し続けるようなら、ドルの上昇もなお続くと見られることから、ドル高による米製造業へのデメリットを考慮せねばなるまい。

つまり、米10年物国債金利は現在2.32%だが、これが2.5%を越えていくことになると、NYダウの上値を圧迫するとともに、やがて下値を模索する動きに転じるリスクが高まるものと見ている。

日本株にとっては、当面、ドル高円安はプラスにはたらくと見られるが、米国株が反落に転じた場合には注意が必要となろう。(忠田公夫=ジヤーナリスト&アナリスト)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■ポケモンセンターヨコハマに続く2店舗目、地域活性化にも期待  丸井グループ<8252>(東証プラ…
  2. ■ベンチマークで高評価、企業向けLLMの新たな選択肢  リコー<7752>(東証プライム)は4月3…
  3. ■第1弾の渡航レポート公開、夢への挑戦を可視化  日本航空(JAL)<9201>(東証プライム)は…
2025年5月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

ピックアップ記事

  1. ■株価防衛の鍵を握る自社株買い  自己株式取得は企業の株価を下支えする手段として注目されているが、…
  2. ■トランプ関税が引き金?異例の自己株買いラッシュの内幕  さしものの自己株式取得ラッシュも、決算発…
  3. ■木徳神糧と三菱食品、逆行高の先駆けとなる動き  食料品の消費税減税関連株に新たな動きが見られる。…
  4. ■トランプ大統領「米国株は絶好の買い時」英国との関税合意後に発言  米国のトランプ大統領が、またま…
  5. ■スタンレー電気など年初来安値銘柄の業績見通しに焦点  日経平均株価が4月に大幅下落する中、年初来…
  6. ■トランプ劇場、急転換の舞台裏!米中摩擦、FRB人事…予測不能な変幻自在  「クルマは急に止まれな…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る