【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ストリームはモミ合い煮詰まり感、16年1月期業績増額含みで収益改善基調

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ストリーム<3071>(東マ)は家電やパソコンなどのネット通販事業を主力として、子会社の化粧品・健康食品販売事業のインバウンド需要対応も強化している。株価は戻り一服の形だが下値を着実に切り上げてモミ合い煮詰まり感を強めている。16年1月期業績予想は増額含みであり、収益改善基調を評価して上放れの展開だろう。なお12月8日に第3四半期累計(2月~10月)の業績発表を予定している。

■家電製品やパソコンなどのネット通販が主力

 家電製品、パソコン、デジタルカメラなどを販売するインターネット通販サイト「ECカレント」「イーベスト」「特価COM」の運営(インターネット通販事業)を主力としている。また他社のネット通販を支援する各種販売支援事業(ECサイト運営業務代行サービス)も展開している。

 14年2月には扶桑化学工業<4368>から、化粧品・健康食品の無店舗販売を展開するエックスワンの株式80%を取得して連結子会社化し、化粧品・健康食品を中心とした生活必需品の販売事業を開始した。

■子会社エックスワンの化粧品・健康食品分野でインバウンド需要対応を強化

 M&Aやアライアンス戦略での事業多角化、そして外国人旅行客のインバウンド需要対応も強化している。

 化粧品・健康食品を中心とした生活必需品の販売事業では、14年9月にラオックス<8202>と提携して、子会社エックスワンのコスメティック関連商品をラオックスの免税店で販売開始した。

 14年12月には、エックスワンが新発売した幹細胞コスメ・シリーズ「XLUXES(エックスリュークス)」について、免税店舗における販売でラオックス独占とすることに合意した。

 15年3月には、エックスワンがタカラバイオ<4974>の研究開発素材を用いた健康維持サプリ「Xフコイダン テルペン」を発売した。ガゴメ昆布「フコイダン」とキノコ「テルペン」を配合したサプリメントで、タカラバイオが30年前から研究を継続している機能性食品素材だ。

 15年5月にはエックスワンが、専用エステ・サロン「XLUXES AOYAMA」を青山・骨董通りに開設し、幹細胞コスメ「XLUXES」を主力としたコスメ・ブティック「XLUXES GINZA」を銀座八丁目に路面店として開設した。

 15年8月にはエックスワンがエイジングケアサプリメント「XELESANTE(エックスエレサンテ) BioxSuiso(バイオックス水素)」を発売した。日本を代表するビューティープロデューサー「王子」こと及川尚輔氏がプロデュースする「XELESANTE」シリーズ第2弾商品である。

 中国人観光客の大幅な増加も背景として、エックスワン製品の売上が想定以上に大幅伸長している。ラオックス店舗においては化粧品カテゴリーのトップシェアに成長しているようだ。

 なお15年9月東京・銀座5丁目にオープンした「イグジットメルサ(旧ニューメルサ)」のラオックス免税店においてもエックスワン製品が販売されている。15年9月現在、ラオックス国内免税店での販売は23店舗である。

■16年1月期は大幅増益予想で増額含み

 今期(16年1月期)の連結業績予想(3月13日公表)は売上高が前期比5.5%増の214億65百万円、営業利益が同33.7%増の3億74百万円、経常利益が同23.0%増の3億70百万円、純利益が同14.5%増の2億98百万円としている。配当予想は無配継続としている。

 第2四半期累計(2月~7月)は売上高が前年同期比8.9%増の117億44百万円、営業利益が同23倍の2億30百万円、経常利益が同9.0倍の2億36百万円、純利益が同94.5%増の2億03百万円だった。

 インターネット通販が好調に推移し、子会社エックスワンの化粧品・健康食品販売も想定以上に大幅伸長した。増収効果や粗利益率の改善で計画を大幅に上回る増収増益だった。売上総利益率は20.1%で同2.8ポイント上昇、販管費比率は18.1%で同0.9ポイント上昇した。

 セグメント別(連結調整前)に見ると、インターネット通販事業は売上高が同6.2%増の106億64百万円、営業利益が同74.7%増の1億56百万円だった。

 アイテム数の充実、在庫の適正化、市場価格への迅速な対応などの施策が奏功して、家電が同11.3%増収、パソコンが同14.5%増収、周辺機器・デジタルカメラが同21.7%増収と好調に推移した。1人当たり購入単価が上昇傾向を強めていることや、当初は厳しく見込んでいた粗利益率が想定以上に改善したことも寄与して大幅増益だった。

 その他事業は売上高が同61.9%増の12億29百万円、営業利益が74百万円(前年同期は77百万円の赤字)だった。売上高の内訳はパーソナルケア(化粧品)が9億69百万円、ヘルスケア(健康食品)が1億91百万円、その他が68百万円だった。

 訪日外国人旅行客によるインバウンド需要も追い風で、ラオックス免税店で販売している幹細胞コスメ「XLUXES(エックスリュークス)」など、エックスワンの化粧品・健康食品の売上が想定以上に大幅伸長した。

 なお四半期別に見ると、売上高は第1四半期(2月~4月)58億32百万円、第2四半期(5月~7月)59億12百万円、営業利益は第1四半期93百万円、第2四半期1億37百万円だった。営業損益は改善基調だ。

 通期会社予想は期初計画を据え置いている。売上は第3四半期(8月~10月)以降も順調に推移する見込みだが、コスト面でインターネット通販事業におけるサーバー機器入れ替えなどのシステム投資に係る費用、各種販売支援事業における店舗販売に係る費用、オンラインゲーム事業における技術・開発者の積極的な採用による人件費の増加などが見込まれるとしている。

 ただし通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高54.7%、営業利益61.5%、経常利益63.8%、そして純利益68.1%と高水準である。通期会社予想は増額含みだろう。

■20年東京五輪に向けてテレビ買い替え需要も期待

 重点戦略として、インターネット通販事業ではWEBマーケティングによる販促強化、ECサイト改善によるシームレスな購入導線の強化、販売効率の向上、販売価格の適正化と粗利益の確保、販管費圧縮などの施策を強化する。子会社エックスワンでは、訪日外国人旅行客をターゲットとする免税店での販売強化、新製品の開発・販売を推進する方針だ。

 今後は20年東京夏季五輪に向けてテレビの買い替え需要が本格化することも期待される。収益は中期的に改善基調だろう。

■株価は戻り一服だが、下値を切り上げてモミ合い煮詰まり感

 株主優待制度については、1月31日現在100株以上~2500株未満所有株主に対して優待割引券1枚(1000円相当)、2500株以上~5000株未満所有株主に対して優待割引券3枚(3000円相当)、5000株以上所有株主に対して優待割引券5枚(5000円相当)を贈呈する。

 株価の動きを見ると、10月19日の198円から反落して戻り一服の形だが、概ね180円近辺で推移して、7月安値145円、8月安値147円、9月安値157円から下値を着実に切り上げている。戻り歩調に変化はないだろう。

 11月16日の終値180円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS10円98銭で算出)は16~17倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS49円81銭で算出)は3.6倍近辺である。時価総額は約51億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、一方では13週移動平均線が下値をサポートする形となり、モミ合い煮詰まり感を強めている。16年1月期業績予想は増額含みであり、収益改善基調を評価してモミ合い上放れの展開だろう。

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