【アナリスト水田雅展の銘柄分析】キムラユニティーは9月の戻り高値を突破、低PBRも評価材料で13年5月高値を目指す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 総合物流サービスのキムラユニティー<9368>(東1)の株価は、10月の直近安値920円から反発し、12月9日に996円、10日に997円を付けて9月戻り高値995円を突破した。1000円台を回復して13年5月高値1030円を試す展開だろう。0.5倍近辺の低PBRも評価材料だ。

 トヨタ自動車<7203>の補給部品・KD包装、および物流請負を主力とする総合物流サービス企業である。自動車販売・リース・整備などの自動車サービス事業、物流分野を中心としたシステム開発などの情報サービス事業、派遣・アウトソーシングなどの人材サービス事業、太陽光発電による売電事業なども展開し、13年12月には日本最大級の軽自動車販売専門店を運営するスーパージャンボを子会社化した。

 物流サービス事業ではネット通販市場の拡大も追い風として、物流請負のNLS(ニュー・ロジスティクス・サービス)事業の新規顧客開拓や生産性改善を推進している。14年4月にはスズケン<9987>の物流センター業務のうち庫内物流業務を請け負うため千葉県印西市に印西事業所、14年5月には東芝ロジスティクスの物流業務を請け負うため神奈川県川崎市に川崎事業所を開設した。NLS事業は新規顧客開拓が順調に進展して今期(15年3月期)売上高見通しが80億円強となり、中期目標としていた売上高100億円の達成が視野に入っている。

 海外はトヨタ自動車の海外生産拡大に合わせて米国、メキシコ、ブラジル、中国、タイに拠点展開している。米国子会社は13年7月、カナダの大手自動車部品メーカーMAGNAグループのDRIVE社から倉庫内物流請負を新規受注し、さらなる受注拡大に向けて14年7月に新倉庫が竣工・稼働した。また中国では自動車保有台数の増加に伴って、中期的に補修部品需要の拡大基調が予想されている。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しについては10月10日に売上高の増額と利益の減額修正を発表し、売上高が前期比10.7%増の452億円、営業利益が同0.6%増の17億円、経常利益が同10.9%減の19億円、純利益が同18.5%減の10億円としている。配当予想については前回予想(4月25日公表)を据え置いて前期と同額の年間25円(第2四半期末12円、期末13円)としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比10.6%増収、同27.5%営業減益、同26.4%経常減益、同40.4%最終減益だった。主力の物流サービス事業は同5.1%増収、自動車サービス事業は同24.9%増収と好調に推移したが、物流サービス事業における人件費上昇や新規事業所の生産準備不足による費用増加が影響して大幅減益だった。

 第2四半期累計の利益計画未達を勘案して通期の利益見通しを減額したが、下期については新規事業所の費用増加の影響一巡などで、営業損益は改善に向かうようだ。またドル高・円安が進行している現状を考慮すれば営業外での為替差益計上も予想され、下期の利益挽回が期待される。

 株主優待は毎年3月31日現在および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、保有株数に応じて「お米券」を贈呈している。さらに500株以上を継続2年以上保有している株主に対しては、保有株数に応じて長期優待が上乗せされる。たとえば1000株以上を2年以上保有している場合は「基本優待お米券5kg+長期優待お米券2kg=合計お米券7kg」を贈呈する。

 株価の動きを見ると、今期業績見通し減額修正も嫌気した10月17日直近安値920円から反発して水準を切り上げた。そして12月9日に996円、10日に997円を付けて9月の戻り高値995円を突破した。下期以降の収益改善を期待する動きだろう。

 12月22日の終値981円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS82円86銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は2.6%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1910円73銭で算出)は0.5倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調に回帰した。1000円台を回復して13年5月高値1030円を試す展開だろう。0.5倍近辺の低PBRも評価材料だ。

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