【アナリスト水田雅展の銘柄分析】JSPは原油価格下落を好感して高値更新、割高感なく上値追い

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 発泡プラスチック製品のJSP<7942>(東1)の株価は、10月直近安値圏1700円近辺から切り返し、12月18日に1964円を付けて10月高値1949円を突破した。さらに12月22日には2034円まで上値を伸ばしている。原油価格下落による収益改善を期待する動きのようだ。フシを突破して強基調の形であり、指標面に割高感はなく上値追いの展開だろう。

 押出事業(産業用包装材、食品用包装材、広告用ディスプレー材、住宅用断熱材など)、ビーズ事業(自動車衝撃緩衝材、家電製品緩衝材、IT製品輸送用通い函など)、その他事業(一般包材など)を展開している。自動車部品用発泡ポリプロピレン「ピーブロック」や住宅用高性能断熱材「ミラフォーム」など高機能・高付加価値製品の拡販を強化するとともに、さらなる高機能新製品の開発を強化している。

 14年4月には、発泡ポリプロピレンビーズ(成型品「ピーブロック」用ビーズ)の新工場として北九州工場が生産を開始し、国内では栃木県鹿沼市、三重県四日市市との3拠点体制を確立した。

 14年6月には米国で電子線架橋法による発泡ポリエチレンシート事業に参入すると発表した。一般の発泡ポリエチレンシートに比べて、より均一で微細な気泡構造と表面性能が特徴であり、医療用、自動車部品用など高品質・高機能分野での需要が期待されている。ミシガン州ジャクソン工場内に新工場を建設して15年1月の生産開始を予定している。

 14年11月には中国・武漢およびタイで、それぞれ「ピーブロック」を製造販売する子会社の設立と新工場の建設を発表した。需要が拡大している中国およびタイにおいて「ピーブロック」の安定供給を図る。生産開始時期は中国が17年1月、タイが16年1月の予定だ。なお中国・武漢は中国における「ピーブロック」製造の4拠点目となる。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しについては10月30日に減額修正を発表し、売上高が前期比3.0%増の1155億円、営業利益が同1.5%増の60億円、経常利益が同4.8%減の62億円、純利益が同4.6%減の42億円としている。配当予想は前回予想(4月30日公表)を据え置いて前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。

 なお前提として、想定為替レートは1米ドル=104円(上期実績1米ドル=102円20銭、下期想定1米ドル=106円40銭)、想定原油価格(ドバイ原油)は1バレル=96ドル(上期実績1バレル=104ドル、下期想定1バレル=88ドル)としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比7.0%増収、同4.5%営業減益、同5.1%経常減益、同5.3%最終減益だった。自動車部品用発泡ポリプロピレン「ピーブロック」の採用拡大などが寄与したが、国内において消費増税前駆け込み需要の反動減が想定以上となり、さらに原燃料価格、電力料金、輸送費の上昇に対する製品価格是正の遅れが影響して、全社ベースでは営業減益となり期初計画を下回った。

 通期ベースでも期初計画に対して営業増益幅が縮小する見込みとなり、経常利益と純利益は減益見込みとなった。通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.5%、営業利益が44.6%、経常利益が47.4%、純利益が51.4%である。ただし「ピーブロック」の需要は好調であり、下期以降は国内での製品価格是正が進展し、原油価格下落もプラス要因となって収益改善が期待される。

 なお11月10日に、有形固定資産の減価償却方法を来期(16年3月期)から主として定率法から主として定額法に変更すると発表した。当社グループの生産設備は技術的陳腐化リスクが少なく安定的な使用が見込まれるため、定額法による期間損益計算がより合理的に使用実態を反映できると判断した。

 株価の動きを見ると、10月の直近安値圏1700円近辺から切り返しの展開となり、12月18日に1964円を付けて10月高値1949円を突破した。さらに12月22日には2034円まで上値を伸ばしている。原油価格下落による収益改善を期待する動きのようだ。

 12月22日の終値2034円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS140円88銭で算出)は14~15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1940円48銭で算出)は1.0倍近辺である。

 週足チャートで見ると1900円台のフシを突破してボックスレンジから上放れの形だ。指標面に割高感はなく、13週移動平均線がサポートして上値追いの展開だろう。

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