【決算記事情報】科研製薬は16年3月期第2四半期累計大幅増益、通期業績・配当予想を増額修正

決算情報

科研製薬<4521>(東1)の第2四半期(4月~9月)連結業績は計画を上回る大幅増収増益となり、16年3月期通期連結業績予想および配当予想を増額修正した。再増額の可能性もありそうだ。株価は外用爪白癬治療剤クレナフィンの競合品に対する警戒感で上場来高値圏から急反落したが、中期成長力や積極的な株主還元姿勢に変化はなく、調整が一巡して出直りの動きを強めそうだ。

■整形外科、皮膚科、外科領域を得意とする医薬品メーカー

整形外科、皮膚科、外科といった領域を得意として、農業薬品や飼料添加物なども展開する医薬品メーカーである。

医薬品・医療機器では、生化学工業<4548>からの仕入品である関節機能改善剤アルツを主力として、外用爪白癬治療剤クレナフィン、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルム、高脂血症治療剤リピディル、創傷治癒促進剤フィブラストスプレーなどを展開し、ジェネリック医薬品も急拡大している。

日本初の外用爪白癬治療剤クレナフィン(一般名エフィナコナゾール)については、日本では当社が14年7月に製造販売承認を取得し、14年9月に販売開始した。海外ではカナダのバリアント社が13年10月にカナダで承認を取得、14年6月に米国で承認を取得した。

なおグループ経営の効率化を図るため、全額出資の連結子会社である科研不動産サービスを16年3月31日付で吸収合併する予定である。

■歯周組織再生剤の製造販売承認を申請

歯周組織再生剤「KCB-1D」(一般名トラフェルミン(遺伝子組換え))は10月1日に製造販売承認を申請した。組換え型ヒトbFGFを有効成分とする歯科用薬剤で16年承認予定としている。国内には歯周組織の再生を効能とする医療用医薬品がなく「KCB-1D」は初めての歯周組織再生剤として歯周炎治療の新たな選択肢となることが期待される。

腱・靱帯付着部症を適応症とする「SI-657」(生化学工業と共同開発、アルツの効能追加)はフェーズ3を実施中である。

潰瘍性大腸炎を適応症とする「KAG-308」(旭硝子<5201>と共同開発の経口プロスタグランジン製剤)は15年9月にフェーズ2を開始した。

15年3月には、米ブリッケル・バイオテック社が米国において原発性局所多汗症を対象に開発している「BBI-4000」(外用抗コリン剤)の独占的ライセンス実施許諾および共同開発に関する契約を締結し、日本とアジア主要国における独占的な開発・販売・製造の権利を取得した。16年3月期中のフェーズ1入りを目指している。

■外用爪白癬治療剤クレナフィンが15年3月期第3四半期から寄与

なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)214億64百万円、第2四半期(7月~9月)227億68百万円、第3四半期(10月~12月)269億23百万円、第4四半期(1月~3月)227億34百万円で、営業利益は第1四半期40億85百万円、第2四半期47億21百万円、第3四半期78億05百万円、第4四半期40億20百万円だった。

第3四半期はバリアント社向けが寄与した。また15年3月期は13期連続の増配で配当性向は40.6%だった。ROEは14年3月期比2.2ポイント上昇して16.7%、自己資本比率は同3.0ポイント上昇して67.0%となった。

■16年3月期第2四半期累計は計画を上回る大幅増益

10月27日に今期(16年3月期)第2四半期累計(4月~9月)と通期の連結業績予想、および配当予想の増額修正を発表した。外用爪白癬治療剤クレナフィン関連の国内外の売上が計画を上回るペースで推移していることに加えて、研究開発費の発生が一部来期(17年3月期)にズレ込む見込みとなった。また科研不動産サービスを吸収合併することに伴う影響額も織り込んだ。

そして11月6日に発表した今期(16年3月期)第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比24.3%増の549億73百万円で、営業利益が同2.1倍の184億43百万円、経常利益が同2.1倍の185億73百万円、純利益が同2.2倍の124億83百万円だった。

主要医薬品・医療機器が堅調に推移し、14年9月発売の外用爪白癬治療剤クレナフィンの収益寄与が本格化して大幅増収増益だった。売上総利益率は同6.1ポイント上昇して57.4%、販管費比率は同7.6ポイント低下して23.9%となった。なお研究開発費は同12.1%減の29億65百万円だった。第2四半期累計では大型の導入契約に至らなかったとしている。

主要医薬品・医療機器別の売上高は、関節機能改善剤アルツが同0.4%増の156億59百万円、外用爪白癬治療剤クレナフィンが同6.9倍の98億04百万円、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルムが同6.3%増の56億41百万円、高脂血症治療剤リピディルが同4.4%増の22億37百万円、創傷治癒促進剤フィブラストスプレーが同5.0%増の18億16百万円、ジェネリック医薬品合計が同8.8%増の65億84百万円だった。

カナダ・バリアント社向けJublia関連売上(原体売上、製剤売上、ロイヤリティ収入、マイルストーン収入含む)は同2.5倍の34億74百万円だった。

なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)276億33百万円、第2四半期(7月~9月)273億40百万円、営業利益は第1四半期92億34百万円、第2四半期92億09百万円だった。

■16年3月期通期業績予想と配当予想を増額修正

今期(16年3月期)通期の連結業績予想(10月27日に増額修正)は、売上高が前期比14.9%増の1079億円で、営業利益が同56.1%増の322億円、経常利益が同58.9%増の324億円、純利益が同58.4%増の192億円とした。前回予想(5月12日公表)との比較では、売上高を94億円、営業利益を112億円、経常利益を113億円、純利益を52億円増額修正した。

販管費は同1.0%増の288億円、研究開発費は同9.0%増の83億円の計画だ。研究開発費の発生が一部来期(17年3月期)にズレ込む見込みとなったため、販管費は期初計画の322億円から34億円、研究開発費は期初計画の113億円から30億円減額した。なお科研不動産サービスを吸収合併することに伴う法人税等調整額25億68百万円(繰延税金資産取り崩し)も織り込んだ。

医薬品・医療機器の売上高計画は、関節機能改善剤アルツが同1.1%増の306億円、外用爪白癬治療剤クレナフィンが同2.6倍の175億円、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルムが同3.8%増の112億円、高脂血症治療剤リピディルが同5.2%増の46億円、創傷治癒促進剤フィブラストスプレーが同2.5%増の36億円、そしてジェネリック医薬品合計が同7.4%増の133億円としている。

外用爪白癬治療剤クレナフィンは期初計画の120億円から175億円へ、カナダ・バリアント社向けJublia関連は期初計画の50億円から60億円へ、それぞれ大幅に増額した。

通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.9%、営業利益が57.3%、経常利益が57.3%、純利益が65.0%と高水準である。外用爪白癬治療剤クレナフィンの販売が好調であり、通期会社予想は再増額の可能性もありそうだ。

配当予想も10月27日に増額修正した。5月27日の株式併合発表(15年10月1日付で2株を1株に併合)時に続く2回目の修正である。期末に記念配当10円を実施し、修正後の配当予想は第2四半期末34円、期末78円(普通配当68円、記念配当10円)とした。株式併合後に換算すると第2四半期末68円、期末78円の年間146円となる。前期の年間59円を株式併合後に換算した年間118円に対して実質的に28円増配で14期連続増配となる。

■株価は上場来高値圏から急反落したが調整一巡感

なお15年10月1日付で単元株式数を1000株から100株に変更するとともに、中長期的な株価変動等を考慮しつつ投資単位を適切な水準に調整することを目的として15年10月1日付で2株を1株に併合した。

株価の動きを見ると、外用爪白癬治療剤クレナフィンの競合品に対する警戒感で上場来高値圏1万2000円近辺から急反落して調整局面となった。10月22日には直近安値となる7240円まで下押した。10月27日付の16年3月期業績予想および配当予想の増額修正に対しても反応は限定的だった。ただし、その後は概ね8000円近辺で推移して調整一巡感を強めている。

11月25日の終値8400円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS463円66銭で算出)は18~19倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想を株式併合後に換算した年間146円で算出)は1.7%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績に株式併合を考慮した連結BPS1861円12銭で算出)は4.5倍近辺である。時価総額は約4069億円である。

日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んで調整局面だが、52週移動平均線がサポートラインとなって下げ渋る動きだ。中期成長力や積極的な株主還元姿勢に変化はなく、調整が一巡して出直りの動きを強めそうだ。

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