師走の「ジェットコースター相場」はまずGDP改定値を先取りし設備投資関連株から再チャレンジ=浅妻昭治
<マーケットセンサー>
何だかジェットコースターに乗っているようで、師走相場はスリル満点のスタートである。ニューヨーク(NY)・ダウ工業株30種平均株価は、252ドル安と続急落した翌日には369ドル高と急上昇である。為替相場も、円高、円安と上下に振れた。日経平均株価も、12月1日にほぼ3カ月ぶりに2万円台にタッチしたあと、約600円安と急落した。
急上昇するジェットコースターに首尾よく飛び乗れれば、望外のクリスマスプレゼントや早めのお年玉をゲットできるが、ジェットコースターから振るい落とされたり、飛び乗った途端にジェットコースターが急降下を始めるようなら、この年の瀬にきてまたまた高い授業料を払わされほぞを噛むことになる。
ジェットコースター相場は、師走相場が月初から重要イベントの目白押しで、この通過前と通過後に期待と失望が綯い交ぜになって一喜一憂どころか、十喜十憂したためだ。1日は、財務省が発表した7~9月期の法人企業統計で、全産業の設備投資額が、ソフトウエアを含めて市場予想を上回って前年同期比11.2%増と伸び、これで8日に内閣府が発表予定の7~9月期GDP(国内総生産)改定値(2次速報)が、上方修正され2四半期連続のマイナスからプラス転換する可能性が強まったとして日経平均株価は、2万円台を回復した。
続いて3日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会で決定された追加金融緩和策が、市場の事前予想を下回ったとして日米株価が急落し、4日に米国で発表された11月の雇用統計で非農業部門の雇用者の増加幅が市場予想を上回ったとしてNYダウは急反発した。週明け7日の東京市場は、このNYダウの急反発を受けてオープンするが、師走相場の重要イベントはこれで打ち止めではない。8日に前述の7~9月期のGDP改定値が発表され、11日にはメジャーSQ(特別清算指数)算出を迎え、15~16日にはFRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公開市場委員会)が控えている。
このうち最大のイベントとして注目されているのが、FOMCで、事実上のゼロ金利政策を解除して9年半ぶりの金利引き上げを決定するとするのがマーケットのコンセンサスとなっている。11月の雇用統計が市場予想を上回ったことで、その確度がより高まったとされた。金利引き上げは、今年前半は、新興国からの資金流出を招き、世界経済の撹乱要因になるとして株価にとって売り材料とされたが、ここにきて米国の金融政策の不透明感が払拭され、さらにFOMC以降の金利引き上げペースも緩やかになるとして買い材料に変わった。要するに「ドル高・株高」シナリオである。FOMCで実際に金利が引き上げられるのか、イベント通過後に「ドル高・株高」シナリオ通りとなるのか、それとも材料出尽くし感を強めるのかによって、ジェットコースターは、急上昇も急降下の可能性もあるということである。
師走相場は、こうした重要イベントの合間を縫って急ぎ働き、ヒット・アンド・ウエーを余儀なくされるが、まず明8日発表の7~9月期GDP改定値を先取りして投資スタンスを決めるところだろう。法人企業統計の設備投資大幅続伸がそのまま反映されて、GDP成長率が上方修正されプラス転換するようなら、設備投資関連株の好事業環境が再評価され急反発の可能性があるからだ。すでに関連株の株価は、12月1日の朝方寄り付き前に発表された法人企業統計が、ポジティブ・サプライズとなって急伸し、その後のECBの追加金融緩和策への失望で前週末にかけ往って来いとなっていたが、再度のジェットコースター発進が有力となる。なかでもこの10月~11月にかけて今期業績を上方修正した関連銘柄をセンター・ポジションに置きたい。(本紙編集長・浅妻昭治)