【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ミロク情報サービスは戻り高値圏で堅調、中期成長力を評価して10月高値試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 財務・会計ソフトのミロク情報サービス<9928>(東1)の株価は、戻り高値圏580円~600円近辺で堅調に推移し、モミ合い煮詰まり感も強めている。指標面に割高感はなく、中期成長力を評価して10月高値644円を試す展開だろう。

 会計事務所(税理士・公認会計士事務所)と、その顧問先企業である中堅・中小企業向けに、業務用アプリケーションソフト開発・販売、汎用サーバ・パソコン・サプライ用品販売、運用支援・保守サービス、経営情報・コンサルティングサービスなどを展開している。

 システム導入契約売上とサービス収入が収益柱である。全国約8400の会計事務所ユーザーおよび約1万7000社の中堅・中小企業ユーザーを有し、サービス収入などのストック型収益構造を特徴としている。

 会計事務所が抱えている課題を解決することで中堅・中小企業支援にも繫がるトータルソリューションが強みだ。13年10月には連結会計システム開発のプライマルと資本・業務提携し、連結会計や連結納税までグループ経営支援ソリューションの提供を強化した。

 14年5月に発表した第3次中期経営計画(15年3月期~17年3月期)では目標数値として17年3月期売上高260億円、経常利益40億円、純利益24億50百万円、売上高経常利益率15%、ROE15%を掲げている。

 重点戦略として、顧客基盤拡大に向けた販売戦力増強と販路拡大(市場ポテンシャルに合わせた人的リソース配分適正化、販社M&Aも活用したエリア拡大、顧客サポート体制と経営情報サービスの充実など)、新規顧客を創造する新製品・サービス開発(マルチデバイス対応のクラウドサービスなど)、新規事業による新たな収益基盤確立(利益率向上に向けた事業ポートフォリオ再設計、中小企業の事業再生支援サービスへの参入など)を推進している。

 新規事業では、登録会員数約130万人の中小・ベンチャー企業支援ビジネス情報サイト「bizocean(ビズオーシャン)」のクラウド拡充とネットビジネスへの展開、マルチデバイス対応お金管理アプリ「マネトラ」による消費者間取引(CtoC)市場への参入、経済団体・FC企業への会計クラウドサービスの提供などを推進している。

 14年5月には全国商工会連合会の会員事業者向け「会計・税務のクラウド型アプリケーションソフト」を開発した。8月にはソフトテックス社から完全Web対応クラウド販売管理システム「商い哲人EX」を譲り受けた。9月には中小企業の事業承継や事業再生を支援する100%子会社MJS M&Aパートナーズを設立した。10月にはCtoC向けクラウド型会計アプリ「フリビズbyマネトラ」正式版の提供を開始した。

 10月には韓国トップクラスの電子金融専門企業であるWebcash(ウェブキャッシュ)社と資本業務提携した。韓国Webcash社および日本法人(11月MWIに社名変更)の株式を取得し、新たなクラウドサービスを共同開発して日本国内で事業展開する。

 また12月4日にはオフィス24グループとの業務提携を発表した。オフィス24のクラウド型POSシステムと当社の会計システムとの間でシームレスなデータ連携を実現したソリューションを展開する。

 今期(15年3月期)連結業績見通しは前回予想(5月9日公表)を据え置いて売上高が前期比2.3%増の225億90百万円、営業利益が同5.4%増の25億20百万円、経常利益が同4.8%増の25億40百万円、純利益が同8.7%増の15億10百万円、配当予想が前期と同額の年間15円(期末一括)としている。4期連続で最高益更新の見込みだ。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比6.1%増収、同12.6%営業増益、同13.4%経常増益、同20.6%最終増益だった。システム導入契約売上高が同4.5%増収、サービス収入が同7.7%増収といずれも好調に推移した。

 通期ベースでも、会計事務所向けシステムや中堅・中小企業向けERPシステムの拡販、新規顧客の開拓を強化し、ソフト保守サービス契約率の上昇なども寄与して、システム導入契約売上、サービス収入とも好調に推移する見通しだ。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が49.9%、営業利益が51.7%、経常利益が52.7%、純利益が53.9%と順調な水準である。ストック型収益構造であることを考慮すれば通期会社見通しは増額の可能性が高く、中期的にも収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、11月13日に直近安値となる536円まで調整する場面があったが、12月以降は戻り高値圏の580円~600円近辺で堅調に推移し、モミ合い煮詰まり感も強めている。中期成長力を評価する流れに変化はないだろう。

 12月24日の終値595円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS49円23銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は2.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS402円29銭で算出)は1.5倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を挟んでモミ合う形だが、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げている。指標面に割高感はなく、中期成長力を評価して10月高値644円を試す展開だろう。

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