【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ジョルダンは下値固め完了してモミ合い上放れ、16年9月期収益改善基調

ジョルダン 3710

 ジョルダン<3710>(JQS)は経路検索ソフトなどの乗換案内事業を主力としている。株価は下値固めが完了してモミ合い上放れの動きを強めている。16年9月期の収益改善基調を評価して反発のタイミングだろう。

経路探索ソフトなどの乗換案内事業が主力

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乗換案内・時刻表・運行情報サービス

 乗換案内事業(無料版「乗換案内」、有料サービス「乗換案内NEXT」「乗換案内Plus」、総合旅行サービス「乗換案内トラベル」、および広告、グルメ・運行情報サービスなど)を主力として、マルチメディア事業(電子出版・紙媒体出版、ニュース、教育、その他コンテンツ)や、その他事業(受託ソフトウェア開発、その他新サービス)も展開している。

 有料サービス「乗換案内NEXT」「乗換案内Plus」の15年9月末有料会員数は約38万人で、無料を含めた「乗換案内」の各種インターネットサービス検索回数は15年8月に月間約2億2000万回となった。また当該サービスの月間利用者数は約1300万人となっている。

 なお15年9月にはスマートフォン向け経路探索アプリ「乗換案内」の累計ダウンロード数が2000万ダウンロードを突破した。

 乗換案内事業では、鉄道の経路検索にとどまらず、路線バスの経路検索にも対応している。さらに利便性の高い「乗換案内」を目指して、今後は「駅から駅」「バス停からバス停」の案内にとどまらず、徒歩ルートを含めた「地点から地点」「場所から場所」案内を強化する方針だ。

「移動に関するNO.1情報プロバイダー」目指す

 「移動に関するNO.1情報プロバイダー」を目指し、新サービス開発や機能充実に向けてM&A・アライアンス戦略も積極活用している。12年9月にグルメぴあネットワークを子会社化(13年4月吸収合併)、12年11月にネット旅行販売・情報提供のイーツアーを子会社化、14年7月に合弁で「ミール・プラス」事業のRemunera Jorudan(レムネラ・ジョルダン)を設立した。一方ではマルチメディア事業における不採算事業からの撤退を進めるとともに、新たな採算事業も模索している。

 15年4月には東京国際空港ターミナルと連携して、羽田空港国際線旅客ターミナルから目的地へ、また各地から羽田空港国際線旅客ターミナルへ、鉄道やバスを利用して移動する経路のアクセス検索サービス「TIAT ROUTE MASTER」のサービスを開始した。日本語だけでなく英語、中国語(簡体字・整体字)、韓国語の検索も可能だ。

 15年5月には訪日外国人旅行客をターゲットにしたルート案内ソリューション「乗換案内Visit」の提供を開始した。英語、中国語(簡体字・整体字)、韓国語に日本語を含めた5言語に対応する。乗換経路検索だけでなく、ゼンリン<9474>提供の多言語地図との連携により、多言語でのトータルルート案内サービスを実現した。

 15年5月にはVAIRON(東京都)と提携して、中国のTencentが運営するスマートフォン向けコミュニケーション・チャットアプリ「WeChat」の企業アカウント開設だけでなく、企業が効果的に「WeChat」を活用するための独自の開発を行う体制を整えた。訪日中国人の購買行動へ結びつけるブランドコミュニケーションを行うには、7億人ユーザーの「WeChat」への企業アカウント開設および運営が必須とされるため、共同で「WeChat」を活用するマーケティング活動をコンサルティングから開発まで提供する。

 15年6月には日本マイクロソフトのクラウド型グループウェア「Office365」と連携した「乗換案内Biz for Office」をリリースした。15年7月にはサイボウズ<4776>のクラウド型アプリケーション作成サービス「Kintone」と連携した旅費交通費精算用アプリ「旅費交通費精算with乗換案内Biz」をリリースした。いずれも企業における交通費精算業務の負担を軽減できる。

 15年8月には当社のスマートフォンアプリ「乗換案内」と、カーシェア・マップが開発したオリックス自動車専用スマートフォンアプリの連携を開始すると発表した。業界初の経路探索サービスとカーシェアの連携となる。

15年9月期は減収減益

 11月12日に発表した前期(15年9月期)連結業績は、売上高が前々期比0.5%減の42億95百万円、営業利益が同23.2%減の4億46百万円、経常利益が同24.3%減の4億63百万円、純利益が同22.1%減の2億95百万円だった。配当予想は前々期と同額の年間13円(期末一括)で予想配当性向は22.9%となる。

 売上高、利益とも9月17日の減額修正値を上回ったが、前々期との比較では減収減益だった。旅行関連は順調だったが、全体として乗換案内事業の売上高が期初計画を下回り、旅行関連の仕入高増加や新製品・サービス開発費用の増加で売上総利益が減少した。売上総利益率は42.3%で同4.8ポイント低下、販管費比率は31.9%で同1.8ポイント低下した。

 製品・サービス別の売上高は、乗換案内事業が同2.0%減の40億60百万円(内訳はモバイルが同6.1%減の10億05百万円、広告が同5.6%減の2億70百万円、個人向けが同11.7%減の90百万円、法人向けが同0.5%減の8億63百万円、旅行が同3.9%増の16億45百万円、グルメが同23.0%減の1億70百万円、他が同45.0%増の13百万円)、マルチメディア事業が同3.3倍の1億10百万円、その他が同11.7%減の1億24百万円だった。

 15年9月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(10月~12月)10億57百万円、第2四半期(1月~3月)11億76百万円、第3四半期(4月~6月)9億58百万円、第4四半期(7月~9月)11億04百万円、営業利益は第1四半期94百万円、第2四半期1億84百万円、第3四半期39百万円、第4四半期1億29百万円だった。

16年9月期増収増益予想で収益改善基調

 今期(16年9月期)の連結業績予想(11月12日公表)は、売上高が前期比1.3%増の43億50百万円、営業利益が同3.1%増の4億60百万円、経常利益が同1.4%増の4億70百万円、純利益が同1.4%増の3億円としている。訪日外国人旅行客の増加も背景として収益改善基調だろう。配当予想は前期と同額の年間13円(期末一括)で予想配当性向は22.6%となる。

 製品・サービス別の売上高については、乗換案内事業が同0.7%増の40億90百万円(モバイルが同2.5%減の9億80百万円、広告が同3.7%増の2億80百万円、個人向けが同11.1%減の80百万円、法人向けが同8.9%増の9億40百万円、旅行が同0.3%減の16億40百万円、グルメが同5.9%減の1億60百万円、他が同23.1%減の10百万円)、マルチメディア事業が同18.2%増の1億30百万円、その他が同4.8%増の1億30百万円の計画としている。

株価は下値固め完了してモミ合い上放れ

 株価の動きを見ると、安値圏750円~770円近辺の小幅レンジでモミ合う展開だったが、12月10日は792円まで上伸する場面があった。下値固めが完了してモミ合いから上放れる動きだ。

 12月10日の終値773円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS57円48銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間13円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS816円47銭で算出)は0.9倍近辺である。時価総額は約41億円である。

 週足チャートで見ると横向きに転じた13週移動平均線突破の動きを強めている。下値固めが完了して強基調に転換する動きのようだ。16年9月期の収益改善基調を評価して反発のタイミングだろう。

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