【編集長の視点】師走のポストFOMC相場は12月期決算会社の高配当銘柄・増配銘柄で和戦両建て投資に一考余地

 まさに諺通りに「家貧しくして孝子顕る」である。表彰状ものだ。オール兜町で表彰状を献呈したいのは、アサツー ディ・ケイ<9747>(東1)である。前週の12月8日に今12月期業績の上方修正とともに、未定としていた期末配当を238円(年間248円)とし、さらに自己株式取得を発表したからである。翌9日の株価は一時、13%高と急続伸して年初来高値3680円を射程圏に捉え、東証1部値上がり率ランキングの第2位に躍り出た。年間配当利回りが、一気に7.68%と全市場の高配当利回りランキングのトップに急浮上したとなれば当然の歓迎高であった。

 12月相場は、1日に日経平均株価が、3カ月ぶりに2万円台にタッチしたのも束の間、欧州中央銀行の追加金融緩和策が市場予想を下回り、さらに原油先物(WTI)価格が、6年10カ月ぶりの安値に落ち込み逆オイルショックを懸念して失速模様となって何とかキープしていた25日移動平均線を割ってしまった。このあと、前週末11日のメジャーSQ(特別清算指数)算出を終えイベント通過で戻したものの、米国市場ではその前週末に、WTI価格がさらに1バーレル=33.35ドルと安値を追い、ニューヨーク・ダウ工業株30種平均も310ドル安と急反落して戻ってきており、師走相場最大のイベントである今週15日~16日にはFRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公開市場委員会)を控えて、ポストFOMCで株価が上へ行くのかさらに下値を探るのか、また為替相場も、円高か円安か方向感が不透明化し、さらに新興国経済がもつのかどうかも重なって、リスクオフ懸念も強まろうとしているところである。

 そうした渦中で発表されたアサツーDKの大幅な株主還元策であり、年末に向け株価が波乱展開になればなるほど、救世主・お助けマン銘柄として見直され市場のラストリゾートとなるかもしれないのである。積極的な株主還元策銘柄は、2014年5月にアマダホールディングス<6113>(東1)が、2年間にわたる100%の総還元性向政策を発表してサプライズとなったのを皮切りに、今年6月にコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が投入されたことも手伝って、ROE(株主資本利益率)経営の推進に向け追随企業が相次いだ。ここにきて11月10日に日新製糖<2117>(東1)が、13日の東証第1部への市場変更に先立って、新資本政策に基づき今3月期配当を前期実績・期初予想の60円から155円へ幅増配し、株価はストップ高を交えて7割高と急騰したばかりで、いわば今回のアサツーDKの露払い役を演じた。

 アサツーDKと同じ12月期決算会社でも、JT<2914>(東1)などが今年10月以来、第3四半期決算の開示とともに、期末配当の増配を発表した銘柄が相次いだが、配当権利付き最終日の12月25日接近とともにこのアサツーDKの株主還元策に刺激され優遇策に踏み切る企業の増加も期待されるところだ。現に9日にはPALTEK<7587>(東2)が、普通配当を増配するととともに今年12月9日に東証第2部に市場変更された記念配当3円を上乗せし年間配当を15円(前期実績8円)にアップさせた。

 12月決算会社は、権利付き最終日まで9営業日を残すだけと「所有期間利回り」的に資金効率は抜群であり、さらに配当権利落ち後も、あるいは「配当の再投資」による好需給も期待できるかもしれない。インカムゲイン妙味に加えて、キャピタルゲインも狙えるとすれば、全般相場の先行きがなお不透明化するなか、リスクオフで調整色を強めようが、リスクオンで一発逆転の「掉尾の一振」で盛り上がろうが、和戦両様の両建て投資妙味セクターの浮上につながる可能性は十分となる。12月期決算会社の配当利回りランキング上位銘柄、ここにきて増配を発表した12月期決算会社は、要マークとなる。(本紙編集長・浅妻昭治)

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