【株式評論家の視点】2007年誕生のかんぽ生命、日本一の生保を目指す、期末一括56円配当
かんぽ生命保険<7181>(東1)は、11月4日に東証1部市場に新規上場。同社は、2007年10月1日、日本郵政公社の民営・分社化により誕生した日本郵政グループの生命保険会社。同社は、「お客さまから選ばれる真に日本一の保険会社を目指す」という方針のもと、日本郵政グループの一員として、全国津々浦々の郵便局を通じて、簡易で小口な生命保険を顧客に提供し、サービスの向上、経営基盤の強化に取り組んでいる。
新契約は、学資保険による若年層の開拓、引受範囲拡大等による既存顧客層の深掘り、加入年齢範囲拡大による高齢者層の開拓などに注力し、郵政民営化以降、拡大している。2015年度においても、販売チャネルの営業力強化(郵便局渉外社員の増強等)や顧客ニーズに対応した商品開発・高齢者サービスの充実(加入年齢の引上げ・短期払養老保険の発売等)を図り、養老・終身保険を中心に新契約月額保険料の増加(490億円、前年比5%増)を予想。改定学資保険の発売(1014年4月)効果から高い伸びとなった2014年度(465億円、前年比12%増)に比べると、低い伸びになると予想している。
一方、保険契約が満期を迎えること等から保有契約件数(独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構から受再している簡易生命保険契約と同社が引き受けた保険契約の合計)が減少(3200万件、前年比4%減)すること等が響き保険料等収入は5兆4300億円(前年比9%減)を予想している。資産運用収益は、低金利環境が長期化する中、保有契約の減少に伴う総資産の減少などから、1兆3200億円(前年比10%減)を予想している。
今2016年3月・期第2四半期業績実績は、売上高が4兆8813億3600万円、経常利益が2187億8700万円、純利益が485億1500万円に着地。
通期業績予想は、売上高が9兆億5500億円(前年同期比6.1%減)、経常利益が3500億円(同29.0%減)、純利益が840億円(同3.3%増)を見込んでいる。年間配当は期末一括56円を予定している。
第2四半期純利益は前年同期比で4.5%減少したものの、通期予想に対する進捗率は57.8%と順調に推移している。個人保険の新契約年換算保険料は、前年同期並みの2381億円。第三分野の新契約年換算保険料は246億円となり、前年同期比17.7%増と回復傾向を示している。個人保険の保有契約年換算保険料は5兆0932億円となり、そのうち民営化後の契約(新区分)に属するものは2兆6970億円と5割を超える。足元の低金利環境を受け、リスク性資産(外国証券・国内株式)への投資を5兆1958億円 (総資産の6.1%)まで拡大。EVは、着実な契約獲得(新契約価値は前年同期比17.3%増)を背景に、前期末から668億円増加し3兆5681億円と着実に増えており、通期業績予想は達成できる見通し。
株価は、11月4日に公開価格2200円を33.1%上回る2929円で初値をつけ、た後、同5日に上場来の高値4120円と急騰。11月25日安値3155円と調整を挟んで12月7日高3430円と買われた後、モミ合っている。SMBC日興証券が投資判断「1」で目標株価4000円と強気の評価とした一方で、バークレイズ証券が同判断「アンダーウエート」で、同株価2900円と弱気の評価としていますが、ゴールドマン・サックス証券が同判断「中立」で、同株価3120円、野村証券が同判断「ニュートラル」で目標株価3400円、大和証券が同判断「3(中立)」で、目標株価3400円、JPモルガン証券が同判断「ニュートラル」で、同株価3500円とするなど総じて中立的な評価が目立っており、現時点の株価は妥当との見方が大勢と思われる。目先は高値形成後の日柄調整に入った感があり、新たに株価を刺激するような材料が出るまで3500円どころを上値としたモミ合いが続きそうだ。(株式評論家&アナリスト信濃川)