【アナリスト水田雅展の銘柄分析】イワキは下値支持線に到達して調整一巡、低PBRも評価材料として出直り展開

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 医薬品・医薬品原料商社のイワキ<8095>(東1)の株価は、16日と17日の214円まで調整したが、足元では220円台に戻して調整一巡感を強めている。8月安値213円、10月安値215円、12月安値214円が下値支持線の形だ。低PBRも評価材料として出直り展開だろう。

 1914年創業の医薬品商社で、医薬品事業(医療用・一般用・動物用医薬品の製造・販売、調剤薬局経営)、医薬品原料・香粧品原料事業(医薬品・香粧品原料の製造・販売、化粧品OEM製造)、化成品事業(電子工業用薬品・表面処理用薬品・化成品の製造・販売)、食品原料・機能性食品事業(食品原料の製造・販売、サプリメントOEM製造)、その他事業(医療機器の販売、化粧品の製造・販売)を展開している。

 全国の医薬品卸・医療機関・ドラッグストアなどに医薬品や機能性食品などを供給する卸売機能、国内外のメーカーなどを開拓して輸出入する商社機能、グループ内に岩城製薬(ジェネリック医薬品・医薬品原料、医療機関向け化粧品など)やメルテックス(表面処理薬品など)というメーカー機能を併せ持つことが強みであり、卸売・商社・メーカー機能の連携を強化している。

 中期的な事業基盤強化と収益拡大に向けて、医薬品事業での共同開発・受託品の拡大、ドラッグストア向けPB商品など自社企画商品の開発強化、医薬品原料事業での市場シェア拡大、インド・グレンマーク社など海外サプライヤーとの連携強化、さらに岩城製薬の生産能力増強と新製品開発、メルテックスの新製品拡販、海外(タイ、韓国、中国)展開強化、日立化成<4217>とのアライアンスによる拡販などを推進している。

 前期(14年11月期)の連結業績見通し(1月14日公表)は、売上高が前々期比1.0%増の530億円、営業利益が同0.8%減の10億円、経常利益が同4.7%減の11億円、純利益が同13.9%減の6億50百万円としている。配当予想(7月10日に増額修正)は同1円50銭増配の年間7円50銭(第2四半期末4円50銭=普通配当3円+創業100周年記念配当1円50銭、期末3円)としている。

 第3四半期累計(12月~8月)は薬価改定の影響に加えて、円安進行に伴う輸入原材料価格の上昇なども影響して減益となり、通期見通しに対する利益進捗率もやや低水準だった。ただし売上面では外皮用剤などのジェネリック医薬品、およびジェネリック医薬品用原料、ドラッグストア向け自社企画PB商品、国内のプリント配線板向け表面処理薬品などが好調のようだ。

 今期(15年11月期)については、引き続きジェネリック関連やPB商品が好調に推移し、岩城製薬の生産能力増強効果やメルテックスの新製品拡販効果も寄与して好業績が期待される。中期的にもジェネリック医薬品・原料関連市場の拡大が追い風だろう。

 株価の動きを見ると、11月の戻り高値圏240円近辺から反落して12月16日と17日の214円まで調整した。ただし足元では220円台に戻して調整一巡感を強めている。8月安値213円、10月安値215円、12月安値214円が下値支持線の形だ。

 12月25日の終値221円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS19円24銭で算出)は11~12倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間7円50銭で算出)は3.4%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS499円78銭で算出)は0.4倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んで調整局面だが、52週移動平均線近辺で下ヒゲを付けて反発の動きを強めている。サポートラインを確認した形だ。低PBRも評価材料として出直り展開だろう。

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