【インタビュー】京写の児嶋一登社長に聞く、徹底した製造の自動化で収益力が急向上

■2016年3月期に売上200億円、営業利益率6%目標

京写<6837>(JQ・売買単位100株)は、プリント配線板の大手で、とくに片面配線プリント板では世界No1の生産量を誇る。一般には目に触れ難いが、電気を使用する製品にはすべてプリント配線が使われている。グローバル生産拠点での徹底した自動化による効率化効果で業績は好調だ。2015年3月期を上方修正している。社長に就任して5年の児嶋一登社長に近況と展望を聞いた。

――今期(2015年3月期)を上方修正されるなど、最近の業績好調が注目されます。社長に就任されて今年で丸5年と思いますが、この間、どのようなことに取り組んでこられましたか。

【児嶋社長】 その前に先ず、当社の手がけている製品について説明します。当社は、片面プリント配線板と両面プリント配線板をグローバル生産拠点から世界中へ製品を供給展開しています。主力の片面プリント配線板では、月間の生産能力が九州工場で8万平方メートル、中国工場で22万平方メートル、インドネシア工場で15万平方メートルの合計45万平方メートルです。これは(月産)、東京ドーム建築面積の約10個分に相当し、世界No1の生産量です。一方、両面プリント配線板は、京都工場で1万5000平方メートル、新潟工場で1万5000平方メートル、中国工場で4万平方メートル、中国生産提携工場で12万平方メートルの合計19万平方メートルです。社長に就任して、これらの工場において徹底して自動化による効率化で安定して利益が出せる体質づくりに全力で取り組んできた効果が現れています。

――片面と両面を合わせた生産能力でみると、特に中国での生産が全体の59%ということですが、中国での人件費増に対応されたということですか。

【児嶋社長】 そうです。中国、インドネシアともに経済成長に伴い賃金は年々2ケタの高い伸びが続いています。このため、中国、インドネシアの両工場に自動化設備を導入することでコストダウンを図りました。また、香港の営業拠点において当社グループ全社で使用する資材を集中購買することにより、調達コストの低減も寄与し原価率が大幅に改善できました。

――需要についてはいかがですか。

【児嶋社長】 家電、自動車、事務機、映像、アミューズメント、産業機器など幅広い製品用途が特徴です。とくに、製品サイクルの長い自動車やLED照明等の環境対応の家電製品への注力、また防塵対策基板、熱伝導放熱基板、ファイン回路を印刷法の実現、実装搬送用治具における次世代搬送キャリアの開発なども幅広い用途と顧客を獲得している要因です。現在(2014年3月期)での需要先別では、家電製品が32%(5年前17%)、自動車27%(同11%)、事務機15%(同15%)、映像関連8%(同31%)、アミューズ7%(同7%)、他、という構成比率です。皆さんの目には触れませんが、電気を使用する製品にはすべてプリント配線が使われています。最近はLED市場の拡大に伴って需要が拡大していますし車載用にも拡大しています。

――2014年3月期から2016年3月期までの3ヵ年の中期経営計画についてお願いします。

【児嶋社長】 経営ビジョンとして、『社員が誇れる挑戦企業になる』、さらに、基本戦略として、『環境対応の技術開発に取組み、ボリュームゾーン商品で世界No1の企業になる』ことを掲げています。具体的戦略として、(1)環境対応戦略、(2)ボリュームゾーン戦略、(3)グローバル戦略、(4)収益力強化戦略、(5)新規事業戦略、という成長への5つの重点戦略によって、数値目標等を次のように計画しています。連結売上目標200億円、営業利益率6%で、事業別には片面基板事業で売上目標100億円(2014年3月期95億円)、両面基板事業で売上目標85億円(同56億円)、実装関連事業で売上目標15億円(同10億円)、既存製品の営業利益率6.5%以上(同5.0%)です。

――足元の業績についてお願いします。

【児嶋社長】 去る、7月31日に2015年3月期の第2四半期と通期見通しを上方修正しました。国内では消費税増税による駆け込み需要の反動からマイナス影響を懸念していましたが、前期に引き続き好調に推移し海外でも自動車関連及び家電製品分野が好調です。国内では在庫不足の状況です。今3月期通期では、売上は170億円(前期比5.4%増)と従来予想を据え置きましたが、営業利益は従来予想から3000万円上方修正の9億円(同12.7%増)、純益でも3000万円上方修正して6億5000万円(同25.1%増)としました。

――1株利益は45.35円(前期36.25円)の見通しで、年5円配当に対する配当性向が11.0%と非常に低くなります。配当については、どのようにお考えですか。

【児嶋社長】 これまで取組んできた生産の効率化やコスト低減などにより安定して収益を上げられる体制となってきたことから配当については前向きに検討します。先ず、配当性向20%を目安にしたいと思っています。

――ありがとうございました。

【取材後記】 社長に就任された時は、リーマンショックに見舞われた厳しい事業環境で2009年3月期の営業利益は1億5700万円まで落ちこんでいた。株価も2008年には62円まで下がっていた。それが、2015年3月期の予想営業利益は9億円(前期比12.7%増益)とすばらしい向上で、株価も今年9月1日には465円と評価されている。収益向上に伴い配当も年8~9円へ増配が見込めることから株価は中期で1000円を目指す展開が予想されそうである。

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