【近況リポート】テラスカイは下値固め完了、急反発のあと1万4000円台で推移、再反発へ

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■セールスフォース、AWSの2大プラットフォームのクラウドインテグレーター

 テラスカイ<3915>(東マ)はクラウド分野に特化してシステム導入コンサルティング・受託開発のソリューション事業を主力としている。株価は8月~9月の直近安値圏で下値固めが完了し、急反発したのち、1万4,000円台で推移している。株価の再反発が予想される。また、流動性向上に向けた株式分割期待も高まる。

 クラウド分野に特化して、企業向けクラウドシステム導入コンサルティング・受託開発のソリューション事業、および製品を開発・販売する製品事業を展開している。

 10年9月NTTソフトウェアと資本業務提携、12年8月米国カリフォルニア州に子会社TerraSky Incを設立、13年9月にはAWS(Amazon Web Services)に特化したクラウドインテグレーターであるサーバーワークスと資本・業務提携を行ったことで、セールスフォース、AWSの2大プラットフォームのインテグレーターとなる。14年5月クラウドに特化したMSP事業(企業が保有するサーバやネットワークの運用・監視・保守などを請け負う事業)の新会社スカイ365を設立、14年10月米セールスフォース・ドットコム社と資本提携した。

■クラウド世界大手セールスフォース・ドットコム関連の技術力に強み

 ソリューション事業では、セールスフォースを中心としたシステムの導入・保守、業務コンサルティングや企業システムのグランドデザインなどシステムコンサルティングの提供、クラウドによるERPシステムの導入・開発・保守など、クラウドを活用した最適なシステム開発支援および受託開発を行っている。

 製品事業ではクラウドに特化したサービスおよび製品の開発・販売を行っている。セールスフォースの画面を自由にユーザー自身でデザインできるSaaS型画面作成サービス「SkyVisualEditor」、クラウドサービス間や社内システムとのデータ連携をノンプログラミングで提供するシステム連携サービス「SkyOnDemand」、セールスフォースに特化したシステム連携ソフトウェア「DCSpider」の開発・販売を中心として、セールスフォースのライセンス販売や、クラウドシステムと親和性の高いサービスの紹介・仕入販売も行っている。

 クラウド世界大手の米セールスフォース・ドットコム社が主催する4つの認定資格の国内合格者が1番多く所属しているという技術力が強みで、クラウド世代のリーディングカンパニーとして業種業態を問わず2000件超(12月1日時点)という豊富なクラウド導入実績を誇っている。15年3月には日経BP社「クラウドランキング」パブリッククラウド導入支援サービス部門において6回連続でベストサービスに選出された。

■中期成長に向けてクラウド業界における「パラダイムシフトの勝者」目指す

 中期成長に向けて、IT活用については、所有から利用という流れに乗り、クラウド業界における「パラダイムシフトの勝者」を目指し、ハイブリッドクラウド事業への積極的投資、クラウドに特化したMSP(企業が保有するサーバやネットワークの運用・監視・保守などを請け負う事業)市場の確立、クラウドERP市場の創造と収益化、グローバルマーケットへの進出、IoTへの取り組みなどを推進している。

 ハイブリッドクラウド戦略では、各クラウドサービスの適材適所を組み合わせた「ハイブリッドクラウドソリューション」の提供を目的として戦略的提携を推進する。なお14年5月にはサーバーワークスと共同で、クラウドに特化した運用支援サービスを専業体制で提供する新会社スカイ365を設立した。

 15年8月にはNTTPCと連携して企業の生産性向上を支援するために、センサーデータと顧客データ(CRM)を掛け合わせたIoT利用を早期実現できるソリューションを提供すると発表した。なお両社はセールスフォース・ドットコム社が運営する「Salesforce1 IoT ジャンプスタートプログラム」に参加している。

 また9月1日にはパスロジが開発・提供するトークンレス・ワンタイムパスワード「PassLogic」の提供を開始すると発表した。セキュリティに関して認証機能のニーズが高まっているため「PassLogic」を採用する。アマゾン・ウェブ・サービス上で提供することによって強力な認証機能を含めたすべてをクラウドで提供できるようになる。この提携によってクラウドの多様なセキュリティに関するニーズや「PassLogic」のクラウド利用ニーズに応えるとしている。

 9月10日にはSalesforce Lightningに対応した画面やアプリケーションを手軽に作成できる世界初のクラウドサービス「SuPICE(スパイス)」を開発し、初期バージョンを15年12月から米国で提供開始すると発表した。日本国内向けは初期バージョンを改良して16年春提供開始するとしている。

 10月1日には米サービスマックス社と日本国内における初めての販売代理店契約の締結を発表した。同社のフィールドサービス業務支援クラウドサービス「ServiceMax(サービスマックス)」の日本国内への販売および導入支援を15年10月から開始する。

 11月10日には、改正保険業法に対応した保険代理店向けソリューション「Insurance Agency Solution」(以下、IAS)の提供開始にさきがけ、既に2社の採用が決定したことを発表した。今後2016年5月に施行される改正保険業法への対応に向け、順次導入していく予定。
 今回、いち早くIASの採用を決定した2社は、株式会社アイ・ティ・コンサルティング、ジェイアイシーセントラル株式会社。

 11月13日には、コーディングすることなくマウスのドラッグ&ドロップ操作でSalesforceの画面開発が可能な「SkyVisualEditor」を、2015年12月13日(日)にV4.1へバージョンアップすることを発表した。

 11月30日には、複雑なデータ連携をコーディングすることなく短期間で実現する2つのシステム連携ツール「SkyOnDemand」と「DCSpider」を次期バージョンアップよりSalesforce Wave Analyticsに対応させることを発表。
 Wave Analytics は、ビジネスと同じスピードでデータを利用できる新しいタイプの分析プラットフォーム。データを自由に組み合わせてすばやく分析し、結果をチームと共有。あらゆる種類のデバイスを使って、データをどこからでもスピーディに活用することが可能。
 このWave AnalyticsにSkyOnDemandとDCSpiderが対応することにより、社内システムや他のクラウドサービスなどの外部データを簡単にデータソースとしてWave Analyticsで利用することができ、Salesforce上のデータと組み合わせたリアルタイムの分析などが実現できる。

 12月1日には、企業内の基幹システムとSalesforceやその他クラウドサービスとの複雑なデータ連携をコーディングすることなく短期間に実現するアプリケーション「SkyOnDemand」(クラウド版) を2016年2月、「DCSpider」(オンプレミス版)を2015年12月にバージョンアップすることを発表した。

 12月15日には、一般社団法人FinTech協会に法人会員として加盟した。

■16年2月期増収増益基調

 今期(16年2月期)の連結業績予想は、売上高が前期比40.5%増の23億04百万円、営業利益が同19.7%増の1億92百万円、経常利益が同14.0%増の1億76百万円、純利益が同29.4%増の93百万円としている。配当予想は無配継続としている。

 セグメント別売上高の計画はソリューション事業が同40.6%増の17億31百万円、製品事業が同40.5%増の5億72百万円である。ソリューション事業では大企業向けシステム開発案件を中心に10百万円超の大型案件が増加し、10百万円以下の案件も既存顧客の改修ニーズが増加する。製品事業ではセールスフォースの利用拡大に伴って当社製品の利用も拡大し、米国市場での当社製品の認知度向上効果も寄与する。

 売上原価ではシステム開発および製品開発に伴う労務費・外注費の増加、販管費および営業外費用では人件費の増加、事務所移転に伴う賃借料の増加、株式公開費用の発生があるが、増収効果で吸収する。

 第2四半期(3月~8月)連結業績は、売上高10億90百万円(予想比3.2%増)、営業利益68百万円(同21.4%増)、経常利益44百万円(同10.2%減)、純利益19百万円(同0.0%)と本社の業績好調により、子会社の発信の遅れをカバーしたことで、全体としては計画通りに吸いした。期初時点で下期偏重の計画であり、通期ベースで増収増益基調に変化はないだろう。

 MM総研の調査によると、国内クラウド市場規模は、14年度は7,749億円であった。今後は年間約22%の成長率が継続し、19年度には2兆679億円になると予測している。そのような市場環境の中で、主導的な役割を果たしている当社の業績は今後も収益の拡大が予想される。

■株価は1万4000円台で推移、1月発表予定の第3四半期の業績次第では再度の急反発も

 株価の動きを見ると、悪地合いも影響して8月25日に直近安値9490円まで調整する場面があったが、1万円~1万2000円近辺で下値を固めて急反発したが、その後は1万4000円台で推移している。1月発表予定の第3四半期の業績次第では再度の急反発も期待できる。流動性向上に向けた株式分割期待も高まる。

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