【編集長の視点】OATアグリオは続落も東証1部上場の好需給思惑に実質好配当利回りもオンして押し目買い妙味

編集長の視点

 OATアグリオ<4979>(東1)は、きょう24日に東証第2部から第1部に市場変更され売買がスタートしており、祝日前22日の第2部大引け値に対して10円安の1585円と続落している。今年12月7日に株式分割の権利落ち後高値1800円まで買い進まれており、引き続き目先の利益を確定する売り物が続いている。ただ市場変更に伴う東証株価指数(TOPIX)算入によるTOPIX連動型ファンドなどの買い需要発生思惑が意識され、さらに明25日が配当権利付き最終日で、株主優待制度を勘案すると実質の好配当利回りとなることから押し目買い妙味も示唆している。

■今期業績は2度も上方修正され2期ぶりに過去最高純益を更新

 同社の今12月期配当は、今年6月30日を基準日に株式分割(1対2)を実施したことから27.5円(前期実績55円)に変更したが、株式分割勘案では前期の横並びを予定していた。これに対して今年11月10日に今12月期業績を再上方修正するとともに、株主優待制度の新設を発表した。100株以上の株式を保有する株主に1500円相当の家庭園芸用製品の同社グループ製品を贈呈するもので、実質で15円の増配となり、同制度込みの配当利回りは、2.41%に高まる計算になる。

 一方、同社の今12月期業績は、今年8月、11月と2回も上方修正されるなど好調に推移している。今期業績は、売り上げ121億円(前期比6.1%増)、営業利益11億円(同65.5%増)、経常利益11億円(同68.5%増)、純利益6億2000万円(同78.0%増)と増益転換幅を大きく伸ばし、純利益は、2014年12月期の過去最高(4億6600万円)を大きく更新する見込みである。北米・南米などの海外向けの農薬の出荷量が大きく増加し、円安が進行していることも要因となっている。続く来2016年12月期業績も、インドネシア、中国などでの新工場稼働や大筋合意したTPP(環太平洋経済連携協定)関連需要などで続伸が有力視されている。

■PERは13倍台と割安で、優待制度込みの配当利回りも市場平均を上回る

 株価は、昨年6月のIPO(新規株式公開)時の公開価格4200円に対してこれを下回る3935円で初値をつけIPO人気は不発となったが、即ストップ高で切り返し上場来高値4625円をつけ、前期業績の下方修正が響いて1966円安値と調整したが、今期業績の増益転換予想、株式分割と好材料が続いて2803円まで底上げして2610円で株式分割の権利を落とした。権利落ち後も、落ち後安値1170円から今期業績の2回にわたる上方修正、株主優待制度新設などが続いて落ち後高値1800円まで5割高した。PERは13倍台となお割安で、配当権利取りに加え値幅稼ぎの投資妙味も示唆しており、まず落ち後高値奪回を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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