【編集長の視点】東証1部指定替えの綿半HDは好需給思惑を上方修正業績がサポートして反発

編集長の視点

 綿半ホールディングス<3199>(東1)は、きょう25日に東証第2部から第1部に指定替えされたが、前日の東証2部終値に対して43円高の1292円と通算して3営業日ぶりに反発した。新規株式公開(IPO)からほぼ1年で早期に指定替えされたことに対する評価に加えて、指定替えによる東証株価指数(TOPIX)連動型のファンドの買い需要が発生するとの好需給思惑が続いており、今3月期業績の上方修正や同業の食品スーパーを子会社化したことも見直されサポート材料視されている。

今年12月の食品スーパーM&Aで上方修正の今3月期業績が再上ぶれも

 同社は、昨年12月24日に東証第2部にIPOされ、それからちょうど1年1日目での東証第1部への指定替えとなった。株価は、IPO時の公開価格640円に対して初値が680円とIPO人気は限定的となった。主力業態が、長野県を地盤にホームセンター事業を展開していることから、オールドエコノミーに属することが要因となったが、ただその後は、生鮮商品を扱う売り場も併設する食品スーパー事業や建設事業、天然原料を専門輸入する貿易事業も展開しているユニークな業態を評価してストップ高を交えて929円高値まで公開価格比45%高と急伸し、IPO後にセカンダリー人気を高め、1年目での東証第1部指定替えとなった。

 一方、今3月期業績は、今年10月15日に上方修正され売り上げ887億6800万円(前期比6.2%増)、営業利益13億8300万円(同35.8%増)、経常利益15億3700万円(同35.0%増)と消費税増税の影響を受けた前期業績からの増収増益転換を予想している。ただ純利益については、繰延資産の計上が、前期の6億円から今期に2億円に減少するため、12億6000万円(同5.5%減)と前期の過去最高からの減益転換を見込んでいるが、この要因を除外すると実質で連続過去最高更新となる。業績上方修正は、飲料、園芸用品の好調推移、食品のロス率改善、建設事業での大型工事の進捗などを要因としているが、今年12月4日には愛知県一宮市を中心に食品スーパー5店舗、100円ショップ1店舗を展開するキシショッピングセンター(愛知県一宮市)の株式を取得して子会社化しており、即戦力として業績再上ぶれ要因となる可能性もある。

公開価格比2.3倍もPERはなおPER9倍台と割安で最高値抜けへ再挑戦

 株価は、今年10月の今期業績の上方修正で1168円と上値を伸ばし、キシショッピングセンターのM&Aを追撃材料に上場来高値1535円まで買い進まれ、公開価格比2.39倍とまさに「小さく産んで大きく育てる」とするIPO株投資の鉄則通りの株価推移となった。その後は1300円台出没のもみ合いを続けているが、PERはなお9倍台と割安であり、指定替えに伴う需給好転の現実買いも加わって、最高値抜けから上値チャレンジが続こう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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