【アナリスト水田雅展の銘柄分析】新日本建物の16年3月期は収益改善基調、資産運用型マンション開発にも参入

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 新日本建物<8893>(JQS)は首都圏地盤の不動産デベロッパーである。事業再生計画を前倒しで達成して新規事業用地の積極的な仕入も進め、事業ポートフォリオ拡充策として資産運用型マンション開発事業にも参入している。16年3月期第2四半期累計は黒字化し、通期も増収増益予想である。株価は全般地合い悪化も影響して年初来安値圏だが、25日の年初来安値で調整一巡した可能性があり、16年3月期収益改善基調を見直して反発のタイミングだろう。

■首都圏地盤の不動産デベロッパー、事業再生計画を前倒しで終結

 首都圏地盤の不動産デベロッパーである。流動化事業(他デベロッパー向けマンション用地販売)、マンション販売事業(自社開発物件の分譲、新築マンションの買取再販)、戸建販売事業(戸建住宅・宅地分譲)、その他事業(不動産賃貸や建築工事請負)を展開している。

 10年11月に提出した事業再生計画に基づいて事業の選択と集中を行い、マンション販売事業の買取再販、流動化事業の専有卸、戸建住宅販売事業を主力として経営再建に取り組んだ。

 そして15年3月期には事業再生計画決定後4期連続の最終黒字を達成し、15年5月15日に事業再生計画の終結を発表した。18年3月末返済予定の事業再生ADR債務を、計画より2年度繰り上げて15年5月14日付で完済した。

■四半期収益は物件引き渡しで変動

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)11億38百万円、第2四半期(7月~9月)20億33百万円、第3四半期(10月~12月)14億51百万円、第4四半期(1月~3月)46億08百万円、営業利益は第1四半期1億07百万円の赤字、第2四半期21百万円の赤字、第3四半期87百万円の赤字、第4四半期8億96百万円の黒字だった。

 四半期収益は物件引き渡しによって変動しやすい構造だ。なお15年3月期に実施した仕入は合計16件(流動化事業3件、マンション販売事業4件、戸建販売事業9件)・計画売上高71億円だった。堅調な需要が見込まれる首都圏において事業規模・事業効率等を勘案し、優良な新規事業用地を選別取得している。

 また15年3月期の自己資本比率は44.6%で14年3月期比17.1ポイント改善した。有利子負債は14年3月期末比23億41百万円圧縮した。

■16年3月期第2四半期累計は黒字化

 今期(16年3月期)第2四半期累計(4月~9月)の非連結業績は、売上高が前年同期比24.7%増の39億54百万円となり、営業利益が2億03百万円(前年同期は1億28百万円の赤字)、経常利益が1億68百万円(同2億15百万円の赤字)、そして純利益が1億64百万円(同1億83百万円の赤字)だった。

 既存物件の売却、積極的な新規物件の取得を推進した。この結果、貸借対照表上では15年3月期末に比べて販売用不動産が減少し、仕掛販売用不動産が増加した。なお売上総利益率は20.9%で同4.4ポイント上昇、販管費比率は15.7%で同4.9ポイント低下した。マンション販売事業において自社販売体制へのシフトによる販売費の圧縮も寄与した。

 セグメント別に見ると、流動化事業は他デベロッパー向けマンション用地販売5件(前年同期は0件)で売上高が14億14百万円、営業利益(連結調整前)が2億84百万円だった。マンション販売事業は販売戸数60戸(同36戸)で売上高が同43.5%増の19億29百万円、営業利益が2億02百万円(前年同期16百万円の赤字)だった。戸建販売事業は販売棟数14棟(同51棟)で売上高が67.3%減の5億94百万円、営業利益が55百万円の赤字(同89百万円の利益)だった。その他は売上高が14百万円、営業利益が9百万円だった。

 また事業ポートフォリオ拡充策として資産運用型マンション開発事業に参入した。進行中のプロジェクトには、ルネサンスコート田畑(仮称、東京都荒川区、総戸数29戸、16年10月竣工予定)、ルネコートお花茶屋(仮称、東京都葛飾区、総戸数10戸、16年2月竣工予定)、ルネコート京成高砂(仮称、東京都葛飾区、総戸数16戸、16年2月竣工予定)がある。

 なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)25億47百万円、第2四半期(7月~9月)14億07百万円、営業利益は第1四半期1億78百万円、第2四半期25百万円だった。

■16年3月期通期も増収増益予想

今期(16年3月期)通期の非連結業績予想(5月15日公表)は、売上高が前期比14.8%増の106億円、営業利益が同4.3%増の7億10百万円、経常利益が同3.5%増の5億65百万円、純利益が同6.3%増の5億60百万円としている。配当予想は無配継続としている。

 新規供給予定のマンション2物件の売上を計画し、相続税対策向けの需要取り込みも寄与して増収増益見込みだ。15年5月に販売開始した新築分譲マンション「ルネサンス大宮土呂」(さいたま市、総戸数28戸、3LDK+W)は8月に完売した。戸建販売事業は物件の竣工・引き渡しが第4四半期に集中するようだ。

 新規事業用地取得については、15年8月西川口プロジェクト(仮称、埼玉県川口市、総戸数40戸、ワンルーム)、9月蒲田プロジェクト(仮称、東京都大田区、総戸数26戸、ワンルーム)、9月錦糸町プロジェクト(仮称、東京都墨田区、総戸数30戸、1R~1LDK)、10月上北沢プロジェクト(仮称、東京都杉並区、総戸数74戸、1R~1LDK)の取得を発表している。

 そして15年4月~10月累計の仕入物件の計画売上高は77億円(構成比は流動化事業29%、マンション販売事業50%、戸建販売事業21%)となった。

 11月30日には資産運用型マンション開発事業として周船寺プロジェクト(仮称、福岡県福岡市、総戸数49戸)の事業用地取得を発表した。九州大学伊都キャンパスへのアクセスの良い周船寺駅から3分に位置しており、学生を対象とした賃貸需要を取り込むマンションの開発を企画している。なお当プロジェクトの開発後は当社で保有・運用する予定としている。

 また12月7日には戸建販売事業における武蔵新城プロジェクト(仮称、神奈川県川崎市、12区画)の事業用地取得、12月22日には資産運用型アパート開発事業における金町プロジェクト(仮称、東京都葛飾区、木造2階建・2棟、総戸数16戸)の事業用地取得を発表した。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は、売上高が37.3%、営業利益が28.6%、経常利益が29.7%、純利益が29.3%である。低水準の形だが、四半期収益は物件引き渡しによって変動しやすい収益構造であり、今期は戸建販売の物件竣工・引き渡しが第4四半期に集中する計画だ。通期ベースでも好業績が期待される。

■15年10月1日付で株式併合

 発行済株式総数の適正化を図るため15年10月1日付で5株を1株に併合した。理論的には株式併合比率に見合う株価の上昇が見込まれるため、株価変動率が改善される可能性があり、株式市場において一層適正に評価されることが期待される。また投資単位の水準変更によって株主総数が若干減少し、今後の株主数の増加も抑制される可能性があるため、株式関連事務コストを年間数百万円程度削減できる効果も見込まれる。

■株価は調整一巡して反発のタイミング

 株価の動き(15年10月1日付で1株を5株に併合)を見ると、全般地合い悪化も影響して160円~180円近辺のモミ合いから下放れ、12月25日には年初来安値となる134円まで調整した。ただし素早く切り返しの動きを強めて29日には149円まで戻している。調整が一巡した可能性があるだろう。

 12月29日の終値149円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS28円12銭で算出)は5~6倍近辺、前期実績PBR(前期実績に株式併合を考慮したBPS106円40銭で算出)は1.4倍近辺である。時価総額は約30億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形で水準を切り下げたが、12月25日の年初来安値で調整が一巡した可能性があり、16年3月期収益改善基調を見直して反発のタイミングだろう。

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