【宮田修 アナウンサー神主のため息】初詣に思う

まず、氏神様にお参りしよう

宮田修 アナウンサー神主のため息 初詣-どこの神社で何をお願いしますか

 新しい年を迎えて多くの日本人は神社に初詣に出かけることでしょう。人波に押しつぶされるようにしてご神前に近づき、お賽銭を奮発してさて皆さんは神さまに何をお願いするのでしょうか。

 家族全員が一年間無事に過ごせますように、健康でありますように、商売がうまくいき儲かりますようになどなどさまざまだと思います。ところで、今お願いをしている神社は何という神社ですか。たくさんの参拝者が押し寄せていることからおそらく誰でも知っている有名な神社なのでしょう。良く名の知られた神社で自分の叶えてほしい願いをたくさん神さまにお願いをする。これが最近の多くの皆さんの初詣だと思います。もちろんそれで宜しいのでしょう。

 しかし、本来はそうではないと私は考えます。まず、お参りに行く神社です。大きなそして立派な神社の方がよりご利益がありそうに感じます。しかし皆さんのお住まいの近くには必ず氏神さまがあるはずです。氏神さまは、産土(うぶすな)さまとも言います。その地域にお住いの方々をお守りしてくださる神さまです。氏神さまは当然のことながらその地域に住んでいる人たちは一人残らずご存知です。年が改まってまず自分を知ってくださっている神さまにご挨拶に行くのが宜しいと思いますがいかがでしょうか。

 私の神社の氏子さんたちにも正月はまず氏神さまにお参りしましょうと勧めています。大きな立派な神社にお参りしても、そこの神さまに「失礼ですがどちらさんですかね」と言われてしまいますよと話しているのです。神さまも急にご挨拶されてもすぐにはその人がだれかはわからなくても不思議はありません。まして正月にはたくさんの参拝者が押し寄せますから神さまもおそらく混乱してしまうでしょう。

 さてご神前で手を合わせ神さまに何を申し上げるのでしょうか。さまざまなお願いをするのでしょう。中にはお賽銭張り込みますから神さま是非頼みますよと宝くじの大当たりや競馬の万馬券をお願いする人もあるかも知れません。お正月、神さまに何をお願いするのでしょうか。結論を申し上げれば何もお願いしないのが良いと私は考えています。こんなことを言うと何をするために神社に行くのかわからないと叱られてしまいそうです。

 私は、日本の神さまには、本来、何かをお願いするものではないと考えています。

 何かをお願いしてそれの神さまが応えてくれるというのはどちらかというと西洋的な考え方です。西洋では私はこうしますので神さまはこう応えてくださいとお願いします。わかりやすく言えば神さまと契約を結ぶのです。自分とは別のところに神さまを考えています。

 これに対して日本人にとって神さまとは、常に自分と共にいてくださる存在であると考えます。したがって初詣の本来の意味は、そういう神さまにご挨拶をすることなのです。神さま明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたしますと年頭のご挨拶を申し上げるのが良いと私は思います。そしてその時、神さまが私たちの心の中に入ってきてくださるのです。一年間、私たちの心の中に神さまはいらっしゃって四六時中見守ってくださるのです。有難いことです。心の中で守ってくださると同時に私たちの日頃の行いを点検してくださいます。常に神さまは見ていてくださると考えるのです。

 ですから誰もみていないから悪いことをしてもわからないと日本人は考えません。神さまがご覧になっているからです。心の中に神さまを感じることで素晴らしい人間になれるのです。初詣をそのように考えてみてはいかがですか。(元・NHKアナウンサー/現在は千葉県長南町の宮司)

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