【編集長の視点】日本スキー場開発は急続落も最安値顔合わせでは株式分割の権利取りからの出直り期待も再燃

編集長の視点

 日本スキー場開発<6040>(東マ)は、230円安の3650円と続急落して始まり、昨年4月22日の新規株式公開(IPO)時につけた上場来安値3650円に顔合わせしている。中国株急落を発端とした世界同時株安が続き、きょう8日の日経平均株価が、257円安と5日続落してスタートし3日連休を控えていることも重なって、同社株にも手仕舞い売りが増勢となっている。ただ、同社は、今年1月31日を基準日に株式分割を予定し、この権利付き最終日が1月26日に迫っていることから、この権利取りで出直る展開も想定され、突っ込み買い妙味を示唆している。暖冬で全国的にスキー場の雪不足が懸念されていたが、寒気の強まりとともに3連休前後から降雪予想が強まっていることもサポート材料となろう。

■連続最高純益更新を積極的なM&Aやインバウンド需要がサポート

 株式分割は、投資単位当たりの金額を引き下げることによって投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図るとともに同社株の流動性を向上させることを目的に実施するもので、1株を2株に分割する。株式分割に伴い昨年7月から導入している同社運営のスキー場の割引券などを贈呈する株主優待制度は、贈呈枚数などを据え置きとしており、実質的には優待制度は拡充される。

 一方、同社の業績は好調に推移、今7月期業績は、売り上げ65億5900万円(前期比11.5%増)、経常利益9億9300万円(同17.4%増)、純利益7億1800万円(同1.6%増)と予想され、純利益は、前期の過去最高を連続更新する。同社は、長野県、群馬県、岐阜県などに8カ所のスキー場を運営しているが、このうちHAKUBA VALLEYが、世界的に著名なスキーリゾートで構成される「The Mountain Collective」から日本で唯一のパートナーとして承認されて参加しており、豪州、香港や東南アジアなどからスキー客が増加、インバウンド(外国人旅行客)需要が好調に推移していることなどが要因となっている。さらに、昨年10月には交通至便の菅平高原スノーリゾートを運営しているハーレースキーリゾート(長野県上田市)の株式を2億900万円で取得して子会社化したことも上乗せとなる。

■往って来いの最安値水準で昨年4月、5月のストップ高の急騰特性を再発揮も

 株価は、公開価格3570円に対して3925円で初値をつけ即ストップ高、さらに昨年5月に発表した前期第3四半期業績が、7月通期業績に対して高利益進捗率を示したことを手掛かりにストップ高して上場来高値7030円まで買い進まれるなど急騰特性を発揮した。最高値後は、今期業績が市場コンセンサスをやや下回ることなどから下値確認が続き、株式分割発表では初値に並ぶ3930円から4450円と500円高したが、世界同時株安の波及でほぼ往って来いと最安値水準までダメ押しをしている。ディフェンシブ株人気と分割権利取りの再燃で急騰特性を発揮、再度の底上げに進もう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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