【季節の一枚】大相撲にはアベノミクス行き渡らず

 大相撲・2016年初場所(1月場所)が始まった。初日(10日)、「両国国技館」を訪ねた。正しくは、中には入れなかったので周辺風景である。年初からドシャブリ降り状態の株式相場とは正反対に元旦から続く澄み切った青空に、色鮮やかな「のぼり」が、櫓(やぐら)に負けぬほど威勢よく立ち並んでいる。

 入場券売場を除くと、すべて売り切れ。それでも、通用口付近は相撲ファンでいっぱい。警視庁のマル暴担当らしき刑事が鋭い目を光らせている。協会は、取り戻した大相撲人気を再び壊すことのないように引き続き浄化に取り組んでいるようだ。著名力士は地下駐車場から館内入りするそうだが、若手のガンバリ中の力士が、一般出入口を通ると、ファンが分厚いサイン帳を持って取り囲む。将来、出世力士となったときには価値が高まることを狙ってのことだろう。新規公開銘柄に投資するのとどこか似ているようでもある。

 隣接のJR両国駅の構内に、「ステーションギャラリー」があるので立ち寄ってみるとよい。貴賓者特別列車の時に使われる特別ホームに通じる歩路の両側に昔なつかしい駅や車両風景写真が展示されている。民間の総武鉄道が1904年に開業した駅だそうで当時は房総地区への新聞輸送の重要な役割を担っていたことから、「新聞輸送鉄道」と呼ばれていたそうである。

 大相撲館内の歓声は外には伝わってはこないが熱気で盛り上がっていたことだろう。人気の盛り上がる反面、残念なこともある。日本の力士の優勝にはこのところ全くお目にかかれない。野球、テニス、ゴルフ、ラグビー、スケートなどでは日本選手が輝いているのに比べると実に物足りない。

 国技である肝心の大相撲には、まだ、「アベノミクス」が行き届いていないようである。日々の興行収入が重要であることは言うまでもないが、将来を見据えて、和製力士育成にもっと力を入れるところだろう。そうでないと、外国人に土俵を貸し出すだけの存在になってしまうのではなかろうか。それでもいいではないか、高い貸出・使用料金を取ればいい、という声も聞かれそうではあるが。

32

33

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■ガソリン・軽油の暫定税率廃止法成立  ガソリン暫定税率廃止法は11月28日に成立し、ガソリン税2…
  2. ■うつ・統合失調症・発達障害を脳から理解する、最前線研究を平易にまとめた一冊  翔泳社は11月25…
  3. 【新築マンションの短期売買を分析】  国土交通省は11月25日、三大都市圏および地方四市の新築マン…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■「大きく産んで小さく育てる」IPO市場、期待裏切る後半戦  48勝2分10敗である。2025年の…
  2. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  3. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  4. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  5. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  6. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る