【業績で見る株価】JPホールディングスはアベノミクス追い風に売上、利益とも5年前比較で2倍増の高成長

■株価上伸のタイミング

 子育て支援最大手JPホールディングス<2749>(東1・100株)の業績が好調に拡大している。2016年3月期の売上は5年前比較で実に2.2倍の高い伸びで営業利益においても2.01倍と高成長だ。2010年1月に、「子供・子育てビジョン」が閣議決定され、認可保育所の定員拡大、3歳未満児の保育所利用率アップ、学児クラブ拡充などが示されたことを背景にマーケットが拡大、業界最大手である同社にフォローの風となっている。

 5年前、2011年3月期の売上は91億6600万円、営業利益8億3900万円に対し、今3月期は売上204億1100万円(前期比14.2%増)、営業利益17億4000万円(同21.5%増)の見通し。5年前に比べると冒頭紹介の通り、売上・利益とも2倍の高い伸びである。背景となる同社の子育て支援施設数が、2011年3月期には保育園、学童クラブ、児童館の合計で129カ所だったが、今期は第2四半期末時点で224カ所(内、保育園159園、学童クラブ55施設、児童館10施設)とこちらも5年間で約8割の大幅増加となっている。

 業界の課題は保育士は不足。同社では施設規模に対しフル稼働には達していないという。85%ていどという。「保育士を300人確保できれば設備の稼働率は100%になる。保育士1人当り年間売上1000万円として年30億円が今より上積みできるので今後も保育士獲得に積極的に取り組んでいく」(荻田和弘社長=写真)という。

 昨年、日本の産業界全体ではトップクラスの賃金引き上げを実施、手厚い住宅手当ても充実するなど保育士獲得において優位性を発揮している。保育士資格を持つ学生を即戦力に近い人材として採用、未資格の新卒者については業界初の保育士養成講座を設け保育試験にチャレンジさせる。一方、運営するすべての施設にAEDを設置するなどの安全面にも力をいれ保護者の信頼に結びついている。

 今後も年間15前後の施設増加に取り組んでいく。まだまだ、高成長が期待されるが、同社々長は既にその先を見据えて取り組んでいる。「いずれ、(子育て支援の)充足時代はやってくることに備え、グループ内で持っている給食、体操、英語、音楽などのノウハウがあるので外販に取り組んでいく。また、当社の持っている高い(子育て支援)レベルで自由度の高い無認可保育園にも取り組んでいく」(同社長)という。

 株価は昨年来高値400円(15年2月)から8月25日に中国ショック安で瞬間248円と昨年来安値に下げた。その後は切り返してほぼ26週線前後で推移し上昇のタイミングを窺う展開だ。右肩下がり相場にピリオドを打って反発入りを確実としている中でのモミ合い水準だけに押し目買いで注目したい。

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