日本エム・ディ・エムの大川正男社長に聞く

日本インタビュ新聞社

■日本エム・ディ・エムは自社製品比率が73.9%にアップ、今期大幅黒字転換

日本エム・ディ・エムの大川正男社長に聞く 日本エム・ディ・エム<7600>(東1・売買単位100株)は、『骨接合材製品』、『人工関節製品』、『脊椎固定器具製品』を日本を中心にアメリカなど海外で展開している。特に、国内市場は高齢化を背景に拡大の一途である。昨年、輸入販売から自社製造販売に切り換え直近の自社製品比率は73.9%に達している。これを受けて今3月期の営業利益は大幅黒字転換する。大川正男社長に近況と展望を聞いた。

■高齢化社会を背景に骨接合材等の需用は拡大

――ジョンソン&ジョンソン社との販売契約を終了され、自社品へ切り換えということですが、進捗状況はいかがですか。

 【大川社長】 ジョンソン・エンド・ジョンソン社とは約30年のお付き合いでしたが、昨年(2012年)6月末で契約を終えました。契約終了に備えて自社製品の開発を進めていましたから自社品への移行は順調に進んでいます。前期(2013年3月期)における自社製品売上比率は第1四半期45.8%、第2四半期累計53.1%、第3四半期累計57.4%と着実にアップし通期では60.7%でした。今期(2014年3月期)に入って、第1四半期(4~6月)での自社製品売上比率は73.9%と、さらに比率がアップしています。

――その結果、第1四半期の業績はいかがでしたか。

 【大川社長】 前年同期に比べて4.0%の減収、営業損益では2700万円の赤字でした。前年同期にはまだジョンソン・エンド・ジョンソン社商品の売上が6億1800万円計上されていました。自社製品で頑張りましたが僅かに及びませんでした。一方、自社製品への切り替えにより売上原価率が第1四半期は30.6%と前年同期に比べ9.4ポイント改善した効果で赤字幅は前年同期の5100万円から半減しました。

――骨接合材などは高齢化の進展で需用は拡大のようですね。

 【大川社長】 当社グループは、(1)骨接合材製品、(2)人工関節製品、(3)脊椎固定器具製品、の3分野の製品を日本とアメリカを中心に展開しています。日本国内では65歳以上の高齢者人口は2040年代がピークといわれています。そこまでは、まず間違いなくマーケットは拡大が続くとみています。ただ、2年に一度の償還価格改定が実施されるため金額的には数量ほどは伸びず金額ベースでは年2~3%の成長とみています。そのため、今後も原価引下げはいっそう重要となり自社製品強化にはさらに力を入れていきます。

■アメリカは『クオリティオブライフ』の人生観で人工関節手術等に前向き

――高齢になると骨折は増えると思います。高齢者の方々に意識の変化はみられますか。

 【大川社長】 そうですね、アメリカとの違いで説明するのがいちばん分かりやすいと思います。アメリカでは、『クオリティオブライフ』という考えがはっきりしています。人生は生きている間に活動的に楽しく生活をエンジョイするという考えです。このため膝、股関節などの人工関節手術などに対する抵抗感は少なく、進んで手術を受けて術後にゴルフ、テニスなどを楽しんでいます。最近では両膝の人工関節置換手術を受けた方がヒマラヤ登頂に挑戦される方のことが話題になっています。アメリカでは50歳代で人工関節などの手術を受けられる人がたくさんいますが、日本では痛みを我慢される方が多いため、アメリカに比べると手術を受ける年齢が高い傾向にあります。それでも、最近は徐々に進んで手術を受ける人が増える傾向にあります。

――アメリカでの需用も大きいのですね。

 【大川社長】 現在の売上のうち、日本が7割、アメリカを中心とした海外が3割という比率です。特に、アメリカでは、脊椎固定器具はほぼ横ばいですが、人工膝関節で年3%、人工股関節で同様に年3%程度、それぞれ伸びています。アメリカの人口は日本のほぼ2倍ですが、さきほど説明しましたように「クオリティオブライフ」の考えが定着していますから骨接合材、人工関節、脊椎固定などの関連マーケットの規模は日本の7倍程度とみられ、たいへん大きいマーケットです。今後もアメリカ市場には力を入れていきます。

――中国などはいかがですか。

 【大川社長】 人口13億人のマーケットは魅力的です。都市部の人口がその半分で、さらにそのうち1億人程度は富裕層といわれていますから有望なマーケットです。代理店方式で販売強化に取組んでいきます。早ければ今期中にも中国の売上が計上できる見通しです。先行き、中国が本格化すれば自社製品の増産が必要なってくると思います。現在の海外売上比率3割は早い時期に4割になると思います。もちろん、日本国内を伸ばしながら海外も伸ばしていくため今後の業績には期待していただいてよいと思います。

――今期の見通しと展望をお願いします。

 【大川社長】 前期は、自社製品の品質確保のための慎重な対応を行ったことにより、製品供給の遅れや、在庫不足がみられました。このため、一部製品には全国展開に対し遅れも出ました。現在では、ほとんどの製品において全国展開を果たすことができ、10月からの繁忙期に向かって万全の体制が整っています。今3月期は、売上は前期比15.6%増の94億円、営業利益では5億4000万円(前期赤字1億5200万円)の見通しです。配当は年5円の予定です。『自社製品強化』、『コンセプトの異なる骨接合材、人工関節、脊椎固定器具という3事業の強化』、『日本、米国、新興国を中心にグローバル展開』ということで当社は現在、大きい変化の転換点を通過中にあります。

――ありがとうございました。

 【編集後記】 筆者の身近にも股関節骨折の人がいる。手術に腰が引けているのも分からないではない。しかし、『クオリティオブライフ』というアメリカ人の考えを教えられると一度しかない人生ということから日本でも前向きに捉えるようになるだろうと思う。240円前後の株価は中長期投資にはぴったりだろう。先行き大きく居所を変えてくるだろう。

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