【どう見るこの相場】急落続く日経平均の行方

■日経平均また急落、日足・週足のチャートテクニカル通用せず月足で相場基調を考えるところ

 年初から下げていた日経平均は一時、下げ止まりを見せたが、20日は600円を超す暴落で再び下げがきつくなってきた。参加者は、アベノミクスで上昇相場に慣れてきたが、ここに来て曲がり角を迎えているようだ。

<Q>もう下げ止まるだろうと、知人の投資家は押し目買いした人は多いようだが、また下げた。どうなっているんだ。

<A>20日の日経平均は終値(632円安の1万6416円)で昨年9月29日(1万6930円)の中国ショック第1章の安値を下回った。さらに、聞きたくないだろうが、場中値では20日は1万6387円まで下げ、昨年1月の1万6592円を切って昨年来安値を更新した。たしかに、個人投資家は年初第1週だけで約5800億円買い越し、4週間ぶりに買い越しに転じるなど押し目買いを活発化させていた。

<Q>テクニカルチャートを武器にしている知人は、テクニカル的には底を打つところと言っているが。

<A>テクニカルは重要だが、今は、日足、週足でのテクニカルではなく、年足や月足での対応が必要のように思われる。最も注意すべきは、日経平均の月足が24カ月線を割りかけているということだ。もしも、下回れば2012年暮れの安倍政権スタート以来で初めてとなり、アベノミクスに対する成否が問われる状況となってくる。20日時点では24カ月線を約1060円下回っている状況だ。重要なのは月末値だから、仮に、日銀の金融支援政策があれば急反発も予想され24カ月線は維持できる可能性はある。ここから、月末までの7営業日が非常にポイントになってくる。

<Q>可能性はどうか。

<A>日銀が動くかどうか、こればかりは分からない。しかし、日銀の金融支援以外は相場を反発させる材料は見当たらない。最近の相場で気になるのは、指摘の通りチャート・テクニカルが通用しないということだが、この背景には、恐らく、オイルマネー等の相場にお構いなしの実弾売りが出ているように思われる。いわゆるチャート破りといわれる動きだ。

<Q>なぜ、今ごろオイルマネーの売りが出るのか。

<A>原油相場が1バレル・28ドル台へ急落していることで産油国は収入減となっているはずだ。産油国の生活は豊かになっているので国の支出も大きく増えているはずで、結果、産油国は資金不足から株、国債などを売っているのではないかと想像される。従って、オイルマネーの売りが、どこで一巡するかを見守るより仕方ない。ただ、どこかの時点で、日経平均が1000円近い急反発をするときがくれば、それはオイルマネーの売り尽くしといえるだろう。

<Q>もしも、1月末に日経平均が24カ月線を割った場合はどうなるか。

<A>考えたくはないが、その場合は、2012年末からの上げ相場は終り、中期的な調整相場に移ることが予想される。安倍政権スタートの12年暮れ頃の日経平均は約9300円で、そこから15年6月の2万0952円まで約1万1600円、率で約2.2倍に上昇した。上げ幅の3分の1押しは約1万7900円だが、既に下回っているから次は半値押しの1万5150円程度が下値の目安ということになる。以前にも紹介したが、原油相場からみた世界景気は、「厳しい冬景色」の状況だから、日本のアベノミクスが不振の世界景気の中でどう頑張ることができるかが問われる相場と位置づけることができるだろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  2. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…
  3. ■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場  日銀の金融政策を巡る不確実性が続く…
  4. ■選挙惨敗の石破首相に退陣要求、政局混迷の行方  まるで狂言の『乳切木』(ちぎりき)を観るようであ…
  5. ■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる  東京エレクトロンやアドバンテストなどの半…
  6. ■参院選で与党過半数割れ、石破政権の行方不透明に  7月20日投開票の参議院議員選挙は、大手メディ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る