【鈴木雅光の投信Now】株価急落時でも資金流入続く「ひふみ投信」

 周知のように、今年に入ってから株価は急落しました。日経平均株価は、2015年大納会の終値から、1月21日の終値までで、実に3000円も下げたことになります。

 株価が下げると、投資信託からは資金が逃げやすくなります。特に、基準価額が順調に上昇してきたファンドほど、受益者は利益が残っているうちに逃げようとしますから、解約が急増します。

 しかし、一方で株価が急落すれば、新規で投資信託を購入しようという動きは鈍ります。もっと安いところで買った方が良い、という意識が働きますから、新規購入を手控えるようになるのです。そのため、解約額が設定額を上回り、ファンドからは資金流出が続くことになります。

 資金流出が続くと、運用に支障を来します。資金流出が生じたら、ポートフォリオに組み入れた株式を売らなければなりません。解約を求めている受益者に返す現金を作る必要があるからです。

 そして、何よりも将来の運用成績にとってマイナスの影響が生じます。資金流出が続いている限り、将来、成長が有望な企業の株式も、手放さなければなりません。それは、将来の運用成績を支える材料を手放すのと同じことです。しかも、株価が下がっている時に資金流出が続いていると、組入株式を安値で拾うことも出来なくなります。これも、運用成績にとってはマイナスです。

 逆に、株価が下落している局面でも資金流入が続けば、優良な銘柄を、より安い株価でファンドに組み入れられますから、将来、株価が上昇に転じれば、運用成績が向上しやすくなります。

 日本の中小型株投資で高い人気を持つ、レオス・キャピタルワークスの「ひふみ投信」と「ひふみプラス」は、今年に入ってからの株価下落局面でも資金流出に陥ることなく、着実に資金が流入し続けています。ひふみ投信とひふみプラスは、販売形態が異なるだけで、両者とも「ひふみマザーファンド」という同一のマザーファンドで運用されています。両者の受益権口数を合計した推移を見ると、今年に入ってから1月22日まで、1日たりとも資金流出していないのが分かります。

 これは、考えてみればとても凄いことだと思います。それだけ、レオス・キャピタルワークスという投資信託会社の運用哲学に共感している人たちが、両ファンドの受益者として大勢付いていることの、何よりの証拠と言っても良いでしょう。マーケットの下落局面でも安定的に資金流入を維持している点において、ひふみ投信は投資信託の理想形といっても過言ではありません。

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